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58.近藤史恵 「ヴァン・ショーをあなたに – 憂さばらしのピストゥ」 に思う

フランス料理のことをよくも知らないくせに、あれこれと注文だけはうるさい客をちょっと騙していた若いシェフの話なんですけど。そのことに対して主人公のシェフが、料理の腕云々以前に料理を冒涜しているって一言ガツンと言うんです。


この話を読んでいて、あることを思い出しました。

私がある外国で、ある日本料理店を手伝っていた時のことです。

お客さん層はその国の人たちで賑わっていました。

忙しいさなかで、たぶん何かが足りなかったのでしょうか。

そこの店長 兼 料理人のおっさんが、

「どうせあいつらは味なんてわかりゃしない。」って言いながら料理の皿を出してきました。

その日、私はその店をやめました。

空いている割烹着が見つからなかった時に適当に誰かの割烹着を使っていたら、「それは、お前のじゃないだろう。」って怒鳴るような人物です。以前から私のことを名字・名前ではなく「お前」って呼ぶような人物です。奥さんは腰の低い、いい女性ひとのようでしたが、そんな旦那さんに文句も言わずにただひたすら陰で支えてる感じでした。

あの店はまだあそこに留まっているのでしょうか・・・。


日本にいても、そのようなことが時々あります。

ある外国料理のお店です。

本国だったらきっとあり得ない話でしょう。

私たちが注文したメニューには、本来なら付いているはずの、付け合わせのポテトもタマゴも、オリーブもありませんでした。

(例えばそばを注文して、薬味もそばつゆも付いてこなかったらどうでしょう?)

その時はたぶん、私と、私と一緒にいた人が日本人だったからです。

料理を出す側は、私たちがどうせわからないとでも思ったのでしょうね。

私たちは知ってはいましたが、特に文句を言いませんでした。

(こーゆーところ、ダメですよねぇ。)

後からやって来た外人の彼が驚きました。

「ポテトもタマゴも、オリーブも付いていなかったの?お金なんて払わなくてもいい!」って怒り出したのです。

「でも、さすがに一流っていわれているだけあるね。味はすごくよかったよ。」と呑気に言っていた私たちでしたが、

「金輪際、二度とこういった店には来ない。」という彼の意見に同意することとなりました。

ただ、その時の状況を誤解なく知って頂きたいのですが、厨をあちこち動き回っていた若い人は、私たちにも気を使いながらとても一生懸命働いていました。問題は、オーナーと呼ばれる人と、他数人のお偉いさんたちが、本来ならば客に提供すべき料理を自分たちで食べてしまっていたのです。


ちょっとニュアンスが違うかもしれませんが、こんなこともありました。

東京にある店でしたが、外国に本店のあるちょっとした有名なカフェでした。

大きいまま皿に載ってきたバゲットのサンドイッチを「カットしてください。」と私が頼んでも聞き入れてはくれなかったのに、外人の友人がそのことについて注意をしたら、サッサと厨房に戻ってカットをしてきてくれました。ウェイターは日本人でした。




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