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54.日比野勝彦 「段ボールアート」に思う 

視界に入るのはギターとテレビしかない、だだっ広い彼の部屋に遊びに行った時のことです。

一週間ぶりに入った彼の部屋で、段ボールで組み立てた家具を見つけて、私は思わず声を上げました。


「すごーいっ♥。 カッコいいっ。よくできてるね。」


「バカにしてんのか。

 金が無いんだ。」


そんなつもりじゃなかったのです。

本当に上手にできていて、私にとってはすごい発見だったのです。

彼と一緒に私ももっと他の物もつくって作ってみたいと思ったのですが、

それ以上言うともっともっと怒られそうだったのでやめました。


彼はその他にも、捨ててあったテレビを修理して売ってきたり、とにかく生活の知恵をいろいろと持っている人でした。(当時はゴミの規制が今のようになく、捨ててある物品は勝手に持ってきても罪にはならなかったのです。本当にいい時代でした。)


彼は、そのような私が気づかない素敵なことを発見することが実に上手で、

彼自身は気づいていなかったのかもしれないですが、

私は彼のそんな閃きや器用さが大好きでした。


段ボールアートを始めた日比野勝彦という人の存在を彼は知っていたかしら? 

日比野勝彦の存在を彼に話してあげたんだっけ・・・?


     *


その後、彼との別れがあり、私はある会社に勤め始めましたが、その会社はちょっとした有名な企業だったのにもかかわらずすごいケチケチ会社で、文房具等の物品の使いまわしは当たり前、ボールペンやクリファイルにしてもなかなか新しいものを与えられることはありませんでした。ましてやデスクに置く仕訳用のトレイなんて買ってもらえる訳もないので、フロアー一帯の退社した人の文具を探してはみたもののやはり見つかるはずもなく、仕方がないので、コピー機脇にいつも積み重なっているA4用紙が入っていた空き箱を拾ってきて、切ったり組み立てたりして、自分で作った段付きトレイを使用していました。

その様子を見ていた隣の席の人が、どこからか探し出してきたプラスチック製のトレイを後日持ってきてくれました。 

私は手作りの段ボールトレイを結構気に入っていたんですけど、結局はプスチック製のそれを使うことにしました。

しばらくデスク脇に放置しておいた段ボールトレイを見て、バイトで来ていた大学院生の子が

「私、これ好きですよ。よくできてますよ。」って、自分のデスクで使ってくれるようになりました。

そうなんだなぁ。私も好きだ・・・。


あれから何年?

今ではその辺の100円ショップでも、段ボール(厚紙)での組み立て式 CDBoxとか見かけるようになりました。



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