43.France Gall 「Quand le désert avance」 に思う (John Coltrane 「best off」に思う - その2)
アルバム: Babacar
リリース: 1987年
レーベル: Apache Records, WEA
収録曲: 1.Papillon de nuit 2.Dancing Brave 3.Babacar 4.J'irai où tu iras 5.Ella, elle l'a 6.Évidemment 7.La Chanson d'Azima (Quand le désert avance) 8.Urgent d'attendre 9.C'est bon que tu sois là
Mくんは音楽を録音したカセットをたくさん持っていました。
Mくんのお父さまは仕事の関係上、職場・自宅の双方にたくさんのレコードやCDを所有しているのだそうです。
お父さまのところで録音させてもらったミュージックテープをこのアパートにたくさん置いていました。私たち住人はそれをいつでも自由に聞くことができました。
そんな訳で France Gall の存在を彼のおかげで知ることができたのです。
Mくん所有の古い France Gall のテープを聴いていると、昔、『夢見るシャンソン人形 (Poupée de cire, poupée de son)』を歌っていた女の子だとわかりました。
私の時代とはちょっと違っていましたが、とにかくその女の子でした。
フランスのアイドル的存在だった彼女は、ずっと歌手生活を続けていて、
後年、大人になった私の耳にとまったラジオでかかっていた 『Papillon de Nuit』 の時にはもう熟年の立派な歌手でした。
その後、私は暇さえあればその共有スペースのデッキで、彼女の現在の CD も、過去の CD も交互に聴くようになりました。
『Papillon de nuit』 が入っているアルバムの中でも特に 『Quand le désert avance』 という歌が好きでした。
とってもとっても短い曲で、何度も似たような旋律が続くのですが、しっとりとした歌声に何を言っているのかわからなかったのにもかかわらず、とても惹かれました。
歌詞カードもないので、Mくんに歌詞を書いてほしいとたのみました。
Mくんは面倒くさそうに自分のノートのページを破って、汚い字で、それでも彼女の歌声を聞きながら素早く歌詞を書きだしてくれました。
私はその破られたページに書かれた歌詞を見ながら何度も歌いました。
ある夜、やはり私はいつも通り共有スペースの TEAC のデッキの前のソファを陣取り、一人で France Gall を聴いていました。
夜とはいっても眠るにはまだ早い時刻でしたし、それほど高音で聴いていたつもりでもないと思っていましたが、突然Mくんが部屋から出てきて、(各人の部屋が共有スペースに面しているので)
「今日は France Gall を聞く気分じゃない。」
そう言って、私に有無も言わせずにブチっと音を立てて、聴いていたカセットを止めてしまいました。
「やっぱ、自分専用のカセットデッキ付きラジカセを買わなくっちゃなぁ。」って思った時でした。




