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30.映画 「シネマパラダイス」 に思う

原題: Nuovo Cinema Paradiso

公開年: 1989(日本)

制作国: イタリア、フランス


寂しさを紛らわすためでしょうか。

外国で一人で暮らしていた時はやたらに手紙を書いていました。 

現在のようにSNSが存在していた時代ではありません。

かと言って電話で話すほどの内容でもないし、ただただ自分の想いを綴っていただけのものでした。私と同様、日本ではない異国で暮らす友人にはなんとなく心を割って何でも書けるような気がしていました。私が手紙を送ると、すぐにハガキで返事をくれる友人がいました。定期的ではありません。私はもともと筆まめといった訳ではなかったのです。私がしばらく書き送っていない間は、その人からのハガキはきません。私が送ると、またすぐにハガキで返事を返してくれるのです。つかず離れずとはそういったことでしょうか。いつの間にやらそれがルールとなっていました。彼が書いてくることはいつも決まって仕事のことや、友人たちとどこどこへ出かけたといった類のことでした。私に意見をするなんてことはありません。いつも最後は、『元気でね。頑張って。』、と締めくくられていました。短い文章でしたが、すぐに返信してくれることを優しさと思いました。当時、本当に私は彼が送ってくれる絵ハガキに助けられていたのです。 ハガキに貼られた切手もいつも美しいものでした。

それなのにしばらく経つと、異国に慣れてきた忙しさのためなのか、私は書き綴ることを忘れていました。

ある日、その人から手紙が来ました。ルール外のことでした。

その手紙に対して私は返事を書いたのでしょうか。覚えていません。

せわしない日々の中で、一人暮らしの寂しさも忘れていったのだと思います。

彼からの手紙は何かの本の間に挟まれたままどこかへ行ってしまいました。

自分勝手ですね。


     *


先日、ラジオから「シネマパラダイス」の映画音楽が流れていたので、そのことについてお話したいと思います。


この映画は、外国に一人で住んでいた時に一人で観ました。

観終えた後、「大切な人と一緒に見たかった映画だな。」と思い、映画館を出た後もなんとなく泣けてきてしまった映画でした。

東京では何年か前には公開されていた映画でしたが、元来あまのじゃくの私は、前評判が良かったことに逆に反発を覚えて観ていなかったのでしょう。

大して期待もせずに時間をつぶすために入った映画館だったのかもしれませんでした。

外国では日本では考えられない格安の値段で映画を観ることができましたし、部屋にはテレビもなかったので、私は度々映画館に足を運んだものでしたから。


その後、何年過ぎても、この音楽を聴くたびに胸が熱くなるのはどうしてかな、って思います。





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