3.映画 「思春の森」 に思う
「思春の森」
原題: Maladolescenza
制作年: 1976/1977
制作国: イタリア
「うろ覚え」の映画がかなりある。
子どもの頃に見かけてそのまま放っておいて何年も経ってしまった。
その中の一つがこれ。
「○○の森」って題名だけがうろ覚えで記憶に残っていたものの、いつも「妖精たちの森」がでてきてしまい、マーロン・ブランドーは出ていなかったはずだし、内容的にも違うと思いつつこないだ Net サーフィンをしていたら、やっと見つけた。
『西澤 晋 の 映画日記』 というブログでこの映画を発見できたのだ。
そうだ、そうだ、これに違いない。
このブログ主の西澤 晋さんも書いているが、月刊映画雑誌の「スクリーン」の映画紹介で載っていたものだ。それも、他のロードショウもののようにカラーで紹介されているのではなく、一ページの中に2本か3本の映画を縦書きのコラムで紹介していた中の一つであった。確かに★印で映画の評価がされていた。(このあたりも、西澤さんがブログで書いている。)
「映画の中の女の子がおしっこを人前でするという演技をやってのけた」ってコメントがあって、それ以外にもたぶん小学生の私の興味をそそる内容が書かれていたと思う、が親に言ったところで一緒に行ってもらえる内容でないことぐらいはわかるし、映画館によく連れて行ってもらってはいたが、歳の離れた姉妹にも、「見たい」とはなんとなく言えないような内容で、心の中でくすぶりながら何年も経ってしまっていた映画なのだ。
それが最近機会があって観ることができた。
その昔、私の関心を惹いた「おしっこをする」シーンも、エッチシーンもエロティシズムというよりはむしろ、子どもの悪戯の延長って感じで、一部のマニアの方たちを除けば、ただの排尿シーンです。しかし、小学生の私がこの映画を観ていたとしたら、それはそれなりに衝撃だったかもしれないけど、でもぉ、だいたいあの時代、小学生が映画館でこの映画を観ることなんてできたのかなぁ? R指定なんて厳密にあったのだろうか?
そのあたりの疑問も「思春の森」のWiki でだいたい察することはできますけどね。
映画の感想もいろいろ書きたいことは書きたいのですが、それなりに年齢を喰ってしまった私には他に言いたいことがたくさん出てきてしまったのでした。
ヌードになっていた少女。
セレナ・ゴメスを金髪にしたら似ているなって思って観てました。
彼女がエヴァ・イオネスコとはすぐに結びつきませんでした。
これも、『西澤 晋 の 映画日記』の中で述べられていたことでやっと結びつきました。
エヴァ・イオネスコ、イリナ・イオネスコで検索をかければすぐに出てきます。
更には、今年の5月にはエヴァ・イオネスコが監督として、彼女の幼少時代を描いた「ヴィオレッタ」が公開されるというので、たまたまこうして、この時期に彼女の初期の作品を見ることができたというのも何かの縁なのかもしれないと勝手に思いました。
加えて、「msn 産経ニュース」によれば、
「映画にはヴィオレッタの下着姿はあっても、ヌードやわいせつな場面はない。その理由についてエヴァ監督は『子供にヌードでポーズをとらせるなんて、とてもできなかった。私が撮る側に回ったとき、ハイヒールを履き、ガーターベルトを身に着け、開脚させるような少女を演じさせることはできなかった。』」
とのことです。
上記に書いてあることが事実であるなら、
写真集「鏡の神殿」(Temple aux miroirs)や、「思春の森」のDVDが再度市場に出回るってことは不可能ですかね。だって彼女にとっては屈辱的な訳でしょ?
ここまで来るためには、何年も何年もかかったってことですよね。
それを映画という芸術作品に昇華させるためには、長い長い時間がかかったのですよね。
少女ヌードで思い出すのが、
Sally Mann の写真ですが。
彼女も彼女の子どもたちの写真をヌードで撮っています。
芸術か、ポルノか?
それでは、「プチトマト」は?
宮沢りえの Santa Fe は?(撮影時点では17歳と記載。)
アメリカのジョンベネは?
彼女はヌードになりはしなかったけれど、貴重な子ども時代を奪われたのは同じだし、
虐待もあって、誰に殺されたのかもわからない・・・。
「児童ポルノ」以前に、親が、大人がどこまで(未成年の)子どもの人生、仕事に介入するのかが問題なんじゃないのかな。それは、児童ポルノに限ってないと思うけど・・・。
それにもう一つの問題としては、「需要」に対する「供給」だから。
求める人がいる限りは、無くなることはたぶん、ないと思う。
映画の内容として、シモーナ・ヴィンチの小説、『おとなは知らない』を若干彷彿させます。
この小説は、子どもの「遊び」の延長の先に「お金 (money)」が結びつく。現代だから?・・・。
シモーナ・ヴィンチ略歴(「BOOK 著者紹介情報」より):
「1970年生まれ。1997年、27歳のときにイタリアで処女作である本書を発表。たちまちベストセラーとなり、イタリアの文学賞のひとつであるエルサ・モランテ賞の新人賞を受賞した」、とあります。
小説「おとなは知らない」は、「思春の森」 の1977年から20年を経て、やはりイタリアで出版された本です。