心霊夜話 忌み地
夏を涼しくする企画として書いてみました。
最後迄、読んで貰えると嬉しいです。
これは、ホラー好きの私が、ある知人から伺った話である。
知人の鈴木真人、優子夫妻(仮名)は、根っからの山好きで、仕事の休日になると、良く二人で山歩きに行くそうだ。
山を歩きながら、新鮮な空気を吸い、緑を目で楽しむ事は、日々の疲れから身体を癒す、良いストレス解消法になっていたらしい。
そんな鈴木夫妻が、山に行くのには、もう一つの理由があった。
それは、春から初夏にかけて山菜を採りに行く事だった。
春先は様々な山菜が顔を出す。
ワラビ、ゼンマイ、タラノキetc・・・
これらを採って、料理して舌鼓を打つ。
山歩きをして良かったと思う瞬間だろう。
ところが、近頃の山菜ブームの影響もあり、山菜がめっきり減ってしまったらしい。
鈴木さんが、長い間、マル秘ポイントにしていた場所も、人に知れて採れなくなったという。
そこで、鈴木さんは、山歩きをしながら、新たな山菜ポイントを開拓する事にした。
普段なら、在住している県内で、山菜を採っていたが、今回は思いきって近県への遠征となった。
休日になり、真人さんが車を運転し、夫妻は自宅を出発した。
カーナビの付いていない車だった為、優子さんに地図を見てもらいながらの運転だったが、自宅を出発してから、二時間程で、目的地周辺まで、たどり着く事ができた。周りの景色は、すっかり山並みになり、道路も二車線から一車線へと変わっていた。
しばらく走っていると、優子さんがしきりに頭をかしげだした。
気になった真人さんが聞くと、どうもこの道が地図に載っていないらしい。
地図は最近買ったばかりで、詳細な地図だったので、真人さんは優子さんが見落としたのだろうと思った。
真人さんは、車を止め、地図を見る事にした。
しかし、現在地がさっぱりわからない。
一体どの辺りから、わからなくなったのか、聞いてみたが、優子さんは、地図は把握していたし、地図上では、道が途切れている為に、わからないのだという。
こうなると、もうお手上げである。
さて、どうしたものかと考えていると、ある物が目に入った。
それは、一本の木の電柱だった。
すぐに車を近づけてみる。
レトロで、どこか懐かしい、その電柱には、地名を書いた表示板が付けられていた。
表示板は、錆びており、読みにくかったが、古霧村と書かれている。
早速、地図で調べるが、該当する地名がない。
これでは、地名がわかっただけで、この道がどこに抜けているのかすら、わからない。
その為、もうここで、引き返そうかとも思った二人だったが、折角ここまで、時間も掛けて来たのだから、もう少しだけ先に行ってみる事にした。先に進むと、山道は舗装路から砂利道へと変わってゆく。
少しずつ霧も出始めた。
なんだか、二人共、少し心細くなる。
すると、霧の中から、ぼんやりと集落が現れた。
どの家も、茅葺きの屋根に土壁ばかりで見るからに古い。
外には、村人と思われる人が二、三人いたが、珍しそうにこちらを見ている。
ここが、表示にあった古霧村なのか。
真人さんは、これは珍しい物を見たと思いながら、ゆっくりと車を走らせていった。
この集落から、先に進むと、道の両側が林になっていく。
この時、真人さんは、車が停められそうな場所もないし、そろそろUターンしようと思い始めていた。
すると、道が徐々に広くなり始め開けた場所に出た。
その開けた場所は、奇妙な所だった。
これ以上の進入を禁じているのか、赤く塗られた木の柵が横にずっと続いている。
木の柵は、2m程の高さがあり、しめ縄が巻かれている。
真人さんは、柵の前に車を止めた。
二人は、車から降り柵の前に立った。
「この柵って、なんか変だなあ。何で、しめ縄なんか巻いてあるんだ?」
「ここ、何かを祭ってあるんじゃないの。神聖な場所だったりして」
「ふ〜ん。そうなのかなあ。でも、社だの、祠だの、そういった物は見当たらないぞ」
「そういえばそうね。でも、奥に行けばあるかも知れないし、ここには入らない方がいいんじゃないの」
「確かに立ち入りを禁じている様にも見えるな。ただ、良く聞く話で山村の人達は、よそ者が来るのを嫌うって言うじゃないか。ほら、ゴミを捨てたり、火の不始末があったりするとかさ。それで入るなって事じゃないの」
「そうなのかなあ」
「よく空き地に不法投棄を防ぐのに、小さな鳥居を建てたりするだろ」
「バチが当たるかも知れないっていう心理を利用したやつね」
「そうそう。ここも、それと同じさ。それに、あれを見て入らずにいられるかい?」
真人さんが、指差した先には、ワラビやウドが群生して芽を出しているのが見えた。
「凄いね」
「だろ。さあ、行こうぜ」
二人は、山菜採りの支度をすると柵をくぐって中に入った。
早速、山菜を採り始める二人だが、山菜の数は、半端ではなく、採りきれない程、生えている。
手前を採り終わっても、少し進むと、すぐに山菜が見つかる。
「これは、凄いね。この感じじゃ、あまり人が入っていないね」
「あまりと言うより、全然、人が入ってないんじゃないの」
二人は夢中で山菜を採りながら、奥へと進んでいった。
もう、二人の背負っているリュックは山菜で一杯になっていた。
「なあ、今、何時だ」
「え〜と、もう三時だわ」
「もうそんな時間か。山菜もかなり採れたし、そろそろ帰るか」
「そうね。もう疲れたね」
陽子さんは、そう言うと、何気無く近くの林を見た。
その時、ある物が目に映った。
陽子さんはビクッとした。
人がいる。
林の中から、じっとこちらを見ている。
「ねえ、あなた。誰かが、こっちを見てる」
「え、どこ?」
「ほら、林の中。あの大きな木の所」
陽子さんが見ている方向を真人さんも見てみる。
確かに誰かいる。
距離的には、自分達より30m程、奥に入った所に立って、こちらを見ている。
「本当だ。こっちをじっと見ている」
真人さんは、自分達がトラブルに巻き込まれ始めている予感がしていた。
こちらを見ている人物は、明らかにおかしかった。
まず、格好からして、山に行くには不釣り合いな服装をしている。
なぜか、真っ白な着物姿なのだ。
随分と髪が長く、前髪で目が隠れている。
口が大きく開き、笑っている様に見えるが、顔と口のバランスがおかしい。
明らかに口だけ異様に大きい。
真人さんは、陽子さんに小声で言った。
「あいつ、なんかおかしい。関わり合いにならない方がいい。陽子、車に戻るぞ」
「あなた、車まで少し距離があるわ」
「わかってる。いいか陽子、絶対に走ったりするなよ。気付いてないフリをして、ゆっくり歩いて戻るんだ」
「わかったわ」
二人は、車を停めてある方向へ歩き始めた。
後ろをチラリと見ると、そいつも林の中をゆっくりと歩いて、ついて来ている。
「あなた、ついて来てる」
「わかってる。そのまま、知らないフリをしているんだ」
二人は、マズイ事になったと思い始めた。
嫌な汗が流れてくる。
やがて、二人が入った赤い柵が見えてきた。
柵の前には、自分の車も停まっている。
真人さんは、少し後ろを見る。
奴と自分達の距離が、詰まってきている様に見える。
奴は、近づいて来ている。
後ろから、小さく笑い声が聞こえ始めた。
フフフフフフ
ゾッとする笑い声に陽子さんが怯える。
「あなた」
「落ち着け。大丈夫だ。いいか陽子、背中のリュックをゆっくり降ろすんだ。奴がリュックに気を取られたら、一気に車まで走れ」
二人は、歩きながら、山菜の入ったリュックを降ろし、地面に置いた。
真人さんは、ポケットから、車のキーを取り出し、手に握る。
地面に置かれたリュックサックを見つけたのか、奴はゆっくりと林の中から出てきた。
奴は、リュックサックの所迄来ると、かがんで中を物色し始めた。
その時、二人は赤い柵の所まで来ていた。
二人は、そっと柵をくぐり、外に出た。
すると、後ろから大声が聞こえた。
ドコニイク
「走れ!」
二人は、全力で車に走る。
すぐに鍵を開け、車に乗り込む。
奴が凄い勢いで車に向かって走って来る。
「ドアをロックしろ」
「早く車を出して」
真人さんは、キーを回し、エンジンをかける。
突然、ドンッと車に振動が来る。
奴がフロントガラスに飛びついてきたのだ。大きく開いた真っ赤な口から、ダラダラと涎を流している。
「きゃああっ!」
「陽子、足元にある剣ナタを取れ」
陽子さんは、助手席の足元に置いてあった剣ナタを取る。
真人さんは、アクセルを踏み車を走らせたが、奴は、車のピラーを掴み、フロントガラスにしがみついている。
唸りながら、今度は、フロントガラスに頭を何度も叩きつけ始めた。
唾液と血がフロントガラスに飛び散る。
陽子さんは、震えながら、手に取った剣ナタの鞘を外した。
鋭く光るナタの刀身が出てきた。
陽子さんは、両手でナタの柄を握る。
ギャアアアッ
突然、凄い叫び声が聞こえた。
急に奴の姿が消えた。
「奴はどこに行った」
「わからないわ」
「なんだか、わからないが、とりあえず助かったな。よし、とにかく山を抜けよう」
真人さんは、砂利道の運転に注意しながら車をとばした。
やがて、山村が見えてきた。
古霧村だ。
ところが、集落内に入った所で、急に車のエンジンの調子が悪くなり始めた。
まるで、プラグがかぶったかの様にエンジンの吹けが悪くなって、そのまま止まってしまった。
真人さんは、何度もキーを回すが、エンジンはかからない。
「おい、おい、嘘だろ。何で、こんな所で調子悪くなるんだよ。頼むよ。かかってくれよ」
結局、集落内で車は動かなくなってしまった。
外の物音に気づいたのか、家から住民が、四、五人出てきた。
住民達は、車を見ながら、何やらヒソヒソと話をしている。
すると、その中の一人の男が車に近づいてきた。
男は、車の窓を手の甲でコンコンと叩いた。
真人さんは、車のドアを開けた。
「どうしたの?」
「あの、車が動かなくなってしまって」
「いや、そうじゃなくて、これの事」
男は、血だらけになったボンネットを指差していた。
「あっ。これは、あの、その。話しても、信じて貰えるかどうか」
「話してみなよ。まあ、なんとなく、察しはつくがね」
真人さんは、さっき体験した一部始終を男に話してみた。
男は、話を聞きながら、さほど驚くふうでもなく、うんうんと頷いている。
「・・・これで話は全てです。あの場所に入らなければ良かった」
「そうかあ、やっぱり、あんた、あの場所に入っちまったかあ。村の仲間が、あの場所に向かう車を見たって言うもんだから、心配はしてたんだが。そうかあ、入っちまったかあ。」
「あの場所は、一体何なのですか。それに、奴は何者です?」
「あいつが何者なのかは、わしにもわからん。ただ、昔から、あの場所に住み着いている事だけは知っている。おそらく、荒神なのか、魔物なのかのどちらかだろうな」
「魔物か・・・」
「あんたらが入った、あの場所は、忌み地と呼ばれていてな、昔から、何人も殺られているんだ。だから、入らせない為に柵としめ縄をやっていたんだ。」
「奴を閉じ込めている訳ではないのですか」
「あいつを閉じ込められるもんか。けど、奴はな、あの場所に入った者しか、襲わないんだよ。だから、あの場所に入らなければ、大丈夫だったのさ。それより、あんたらナタを持ってて良かったな。あれがなきゃ、あんたら喰われてたよ」
「喰われていた」
陽子さんが身震いする。
「この剣ナタが身を護ったって事ですか。」
「まあ、そういう事かな。奴は、刀とか、刃の付いた光る物を嫌うからな。そのナタは、護身用に離さない方がいい」
「そうします」
真人さんは、剣ナタを腰に付けた。
「私達は、すぐにでも家に帰りたいのですが、この辺りで車を診て貰える整備屋さんは、ないですか」
「すまんが、整備屋はこの辺りにはないな。村で車を持っている者もおらんし、車自体が珍しいくらいでね」
「そうですか」
真人さんは、携帯電話を取り出して、整備工場を探そうとしたが、電波状態が悪いのか圏外になっている。
「電話も駄目か」
「整備屋が来た所で無駄だと思うよ」
「どうしてですか」
「それは、奴が足止めをかけているからさ。それより、陽も傾いてきたし、立ち話もなんだから、ウチに来いよ。すぐそこだからさ」
真人さんと優子さんは、顔を見合わせた。
「でも・・・」
「ずっと、ここにいても、しょうがあるまい。それに夜になると、また奴が来るぞ」
「ええっ!」
真人さんも優子さんも奴から逃げ切れたとばかりに思っていた。
「あれで、終わったんじゃないのか」
「ナタに驚いたから、一時的に姿を消しただけで、奴はまたやって来る。だから、早く家に入った方がいいぞ」
二人は、男の家に行く事にした。
男が言った通り、家は、すぐそばだった。
周りの家と同様で、茅葺き屋根に土壁で、かなり歴史のありそうな家である。
戸を開ける前に、男は言った。
「まだ、名前を言ってなかったな。俺の名は沢山源三だ」
「自分は、鈴木真人といいます。連れは家内の優子です」
「そうか、よろしくな。まあ、中に入ってくれ」
中に入ると、広い土間があり、その奥に囲炉裏のある部屋があった。
三人は、囲炉裏のある部屋に上がり、囲炉裏を囲んで座った。
「さあて、色々、聞きたい事があるんだろ」
「はい。まず聞きたいのは、私達が、奴から逃げ切れるかどうかって事です」
「逃げ切れるかどうか、ね。結論から言うと、難しいだろうね。まず、あんたらが逃げる為の車が使えない。でも、車が使えた所で逃げ切れるか、わからないけどね。次に奴は、あんたらの姿と匂いを覚えた。夜になれば、間違えなく、ここにやって来る。とても、まずい状況だ」
「なんとか、ならないんですか。ほら、神主を呼ぶとか、御札を使うとか、色々あるでしょう」
「神主は、奴に喰われて以来、後任がいない。神主では、奴には勝てない。御札も試した人がいたが効かなかった。奴の方が力が強いのだろう」
「じゃあ、刃物はどうです。光る物を嫌うんでしょう?」
「それも一時的なものさ」
「じゃあ、もう、どうしようもないと?喰われるのを待つだけって事ですか」
「いや、望みがない訳じゃない。過去には、助かった人もいた」
「どうすれば、いいんです?」
「それは、あんたらが姿をくらますのさ。どちらかと言えば、奴を騙す方が近いかな」
「騙す?」
「そうだ。気配と匂いをわからなくして、奴が察知出来ない様にしてしまうのさ」
「どうするんです」
「それはな、奴が覗けない様に窓のない部屋に立て籠るのさ。後は、お香を焚くんだ。これで匂いがわからなくなる。そして、じっと黙って気配を消す。これで、奴をやり過ごす。何日掛かるかわからないが、奴が諦めるまで根比べだな」
「根比べか。それでも助かるのなら」
真人さんは、優子さんを見る。
優子さんも頷いている。
「部屋は、ここを使え。窓を閉めれば、外からは見えない。お香も今から焚いておこう。日も暮れてきたから、そろそろ奴も来るな」
「源三さん、奴が家に押し入ったりはしないのですか」
「家の周辺は、匂いがするから、徘徊はするだろうが気配がわからなければ、迂闊には入ってこないさ。とにかく、気配を察知されない事だな」
「わかりました」
「それはそうと、あんたらが普段、身に付けている物を一つずつ、俺に渡して貰えないか」
「身に付けている物ですか」
真人さんは、腕時計を、優子さんは、ネックレスを外し、源三さんに渡した。
「どうするんですか」
「まあ、ちょっとね」
源三さんは、すぐに外に出ていった。
20分程して、戻って来ると、戸締まりを始めた。
「これで良し。これから奴との根比べだ」
外は日も暮れ、月が昇っている。
人の気配も無くなり、フクロウの鳴き声だけが響いている。
何処からともなく、ザクッザクッと足音がし始める。
白装束の奴の姿が現れる。
ニオイガスルナア
ウマソウナニオイガ
ドノイエダ
奴は家々を徘徊していたが、源三さんの家で立ち止まった。
ココカア
奴は、源三さんの家を覗き込もうとするが、窓が閉まっているので、中が見えない。
匂いも、お香の匂いしかしてこない。
奴は壁を這い上がり、まるでヤモリの様に壁を這い回り始めた。
奴は大きな、赤い口を開け、涎を流している。
クイタイナ
ドコイッタ
家の中に奴の声が聞こえてくる。
真人さんも、優子さんも震えている。
源三さんは、二人の肩の上に手を置いて頷いた。
二人も頷く。
奴がどんなに恐ろしい声を出そうと、三人は決して声を出さなかった。
すると、今度は、気配を探る為なのか、壁を叩き始めた。
激しく叩く音と唸り声が家中に響く。
それでも、三人は耐えた。
奴は一晩中、壁を這い回っていたが、夜が明け始めると、下に飛び降りてきた。
コイツニシテオクカ
奴は、何かを抱えて、飛び上がると、姿が見えなくなった。
少しずつ日が昇り始める。
こうして、恐ろしい夜が明けた。
「俺、外を見てくるわ」
源三さんは、立ち上がり、外に出ていった。
すぐに戻ってきた源三さんが、嬉しそうに笑っている。
「もう大丈夫だ。こっちに来てみなよ」
真人さん達は、恐る恐る外に出てみる。
源三さんの後について、家の裏手に回ってみると、血痕が落ちている。
「これは、いったい」
「身代わりだよ」
「身代わり?」
「ウチで飼っている二頭のヤギに、あんたらから預かった腕時計とネックレスを付けておいたのさ。奴は探しても、あんたらが見つからないし、諦めて、代わりにヤギを持っていった訳さ」
「じゃあ、俺達、助かったんですか」
「ああ。良く頑張ったな」
「ありがとう、源三さん。本当にありがとう」
「さあ、もう帰った方がいい。車のエンジンも掛かる筈だから」
真人さん達は、すぐに車の所に行ってみる。
真人さんが、キーを回してみると、エンジンは一発で掛かった。
「本当だ。一発で掛かった。これで家に帰れる」
鈴木夫妻は、源三さんに深々と頭を下げた。
「この御恩は忘れません。また、改めて、お礼に伺います」
「いやいや、お礼などはいい。それから、どうやって来たのかわからないが、もうここへは、こない方がいい。次は、助けてやれんかもしれん。さあ、行きなさい」
鈴木夫妻は、もう一度、頭を下げると車に乗り込んだ。
朝靄の中を車は、ゆっくりと走り出す。
バックミラーを見ると、古霧村は靄に包まれて見えなくなっていく。
真人さん達は、無事に山を下り、家に帰った。
その後も、真人さん達は、休日になると、山歩きをやっているらしい。
ただ一つ、変わった事は、あんな体験をしたせいか、もう軽はずみな行動はしなくなったそうである。
古霧村の事が、どうしても気になった真人さんは、色々と調べてみたが、結局、該当する地名は存在せず、場所もわからなかった。
しかし、真人さんは、間違えなく、あの場所に行った。
今もまだ、古霧村は、あの霧の中にあるのだろうか?
最後迄、読んで頂いてありがとうございます。
短編で7000文字まで書いたのは、初めてだったので、結構大変でした。この話を考えた時、ハッピーエンドとバットエンドの二種類のストーリーを考えたのですが、色々、考えてハッピーエンドにする事にしました。
ご意見、ご感想をお待ちしています。