6A列車 2階建て新幹線 MAX
レイは男湯の入り口の前で待っていた。
「悪い。ちょっと中ではなしこんでた。」
「誰と話し込んでたのよ。つうかなんで女より後に出てくるのよ。だいたいこういう場所っていうのは男のほうが先に済むじゃないのよ。」
「うるせぇ。」
こんな話をしていてもしょうがない。自分が腕にしている腕時計に目をやった。時間は14時20分。次の列車が来るまでにまだ1時間以上時間がある。どうする・・・。「つばさ」は1時間に一本単位で走っているが、高畠に止まる「つばさ」は2時間に一本単位。
「ちょっと駅の外に出るか。」
「寒いじゃん。」
「・・・。」
結局何もすることが見つからないまま時間が過ぎていった。
15時33分。「つばさ146号」東京行きが入線した。車両はE3系2000番台。まぁ、そうではないかと思っていたから、当然のものが来たということか・・・。列車は高畠を発車。途中米沢に止まり、米沢を出ると板谷峠に分け入る。
「・・・。」
外の景色に目をやっても、どこの山も白くなっているだけだ。時折、雪が広い範囲にわたって積もっていないところがある。そこは駅になっている。
(スノージェットかぁ・・・。)
僕はこれがなんなのかを知っている。役割としては家の屋根と同じだ。それのスケールが大きくなっただけの話だ。なぜこんなものがあるかというと、雪から駅の設備や利用する客を守るためにあるそうだ。
福島駅に戻ってくると「つばさ146号」は相方の「MAXやまびこ146号」と連結する。その光景は車内から見ることは当然できないが、しょうがない。
「シャーク。」
レイが僕を呼んだ。
「何。」
「今日は高崎に止まるんだよねぇ。」
「えっ。ああ。」
「明日の工程とか決まってるの。」
「別に・・・。」
「はっ。だからなんでそういうこと決めないのよ。昨日決めてなかったわけ。」
「だって昨日決めたのは今日の工程だけだもんね。」
「・・・。そういうことこういう暇な時に決めろよな。」
「今は暇じゃないんだよ。これはちゃんとした仕事だぜ。」
「どこがどう仕事なのよ。」
すると新青森のほうに向かって「こまち・はやて」が通過していった。それの通過を待ってからこっちが発車する。通過を待つ必要があるのは、この列車が発車しているときに下り本線を塞ぐからだ。
「車窓を見るっていう仕事。」
「仕事じゃない。それは。」
福島から先大宮までの間線路はそんな複雑ではない。大宮の到着まじかになると線路が複雑になる。これは上越新幹線が合流しているためだ。その線路の間を通り抜けて、大宮駅に入線した。大宮を降りるとたくさんの車両が行き来しているのが分かる。列車が入ると同時に出ていく。それを繰り返しているのだ。
「で、ここから高崎に行くんだっけ。」
「ああ。」
「高崎だったら在来線使えばいいじゃん。」
「それをやったら全線乗りつくしに・・・。」
と言いかけた。確かに。高崎と大宮の間はいずれのることになる。乗りつくしはある区間を1回でも乗ればそうなるのだ。そうすれば、ここで払う必要があった特急料金がいらないことになる。
(んっ。何か俺忘れてないか・・・。)
「ダメダメ。」
忘れているものを思い出した。
「それをやったら全形式に乗れなくなるだろ。」
「・・・。」
「まずはE4系に乗ること。それをやったらホテルに行く。そしたら、明日の工程作る。」
「明日の工程と合わせて、旅行全部の工程作っちゃいなさいよ。」
レイにツッコまれて終わった。
「17時38分に発車する「MAXとき337号」に乗って高崎まで行く。そしたら、今日の行動は終了だ。」
「はぁ。今日もようやっと終わるのね・・・。」
レイは疲れたようなこれを出した。まだ最低3日かかるというのに。
17時37分「MAXとき337号」新潟行きが入線。列車は8両のオール2階建て車両E4系。E4系はE1系の直接の好機に当たり、12両としたE1系よりもフレキシブルに混雑に対応できるようになっている。E4系を2編成連結したときの定員は1634人と世界を走る高速列車の中で一番多い座席数を誇る。
「レイ。狭くていいなら、2階。狭いのが嫌だったら1階のほうがいいけど、どっちがいい。」
ここ重要だ。
「えっ。シャークがいいなぁって思うほうでいいよ。」
(・・・。じゃあ2階だな。)
ドアが開いて、降りる人優先。切れたら乗り込んだ。車内には1階と2階に通じる階段がある。それを上のほうに上っていくと2階席がある。2階席は3列+3列の合計6列。このように座席が6列になっていることも収容欲を強化しているあかしだ。しかし、これを6列としたことにより、座席のほうが狭くなってしまっている。
そして、「つばさ123号」に乗った時を思い出してもらいたい。なぜサラリーマンがE4系ではなくE3系に乗っているのか。それはE4系の自由席が狭いというのが理由の一つだ。
2階席は当然のことながら、景色は抜群。その景色に見入っていたため、すぐに高崎に着いた。ホテルに入るとすぐに翌日の工程を練った。
(先に新潟まで行っちゃうかなぁ・・・。)
という思考でできた工程はこうだ。
まず8時37分発「MAXとき307号」新潟行きで新潟に9時51分。トンボ返りで10時13分発の「とき320号」で越後湯沢に11時03分。越後湯沢から隣のガーラ湯沢までを乗りガーラ湯沢から「たにがわ410号」でまた高崎まで戻る。高崎13時15分発の「あさま523号」で終点長野まで。またとんぼ返りで、14時26分の「あさま530号」で終点東京まで戻ってくるという工程で終了するというのがまとまった。
(さて、こんなのレイに話したら、また文句言われそうだ・・・。)
そして、明後日の工程もちょっとだけ考えてみたが、こっちのほうは乗り換えが大量にあって大変だということが分かった。
僕はMAXに乗ったことがないので、どれぐらいなものかというのがつかみづらいんですが・・・。