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1A列車 スタート

旅は2012年の1月という設定でやっていますが、家にある時刻表が2011年4月と古いものですから、現実との矛盾が生じております。ご了承ください。

「うーん。ようやっとかぁ。」

レイが伸びをした。今僕たちがいるのは新青森(しんあおもり)駅前。新青森(しんあおもり)は2010年12月4日に全線開通を果たした東北新幹線(とうほくしんかんせん)の終点。そして、青函トンネルを渡り北海道(仮)新函館(しんはこだて)にのびようとしている北海道新幹線(ほっかいどうしんかんせん)の始発でもある。

「シャーク。「はやぶさ」の「グランクラス」ぐらいいいよねぇ。」

「・・・。」

出る言葉がなくなった。まずは分かりやすく説明しよう。「はやぶさ」は本来2008年3月に廃止された「寝台特急」が本家であるが、東北新幹線(とうほくしんかんせん)全通に伴い新しい名前が募集された。その中で飛行速度が一番早いになぞらえて「はやぶさ」という名前が付けられた。そして、このE5系「はやぶさ」の10号車に連結されている「スーパーグリーン車」の名称が「グランクラス」なのだ。もちろん、こんな言い方をしても理解できるわけはなかろう。「グランクラス」を分かりやすくいうには「航空機のファーストクラス」という感じ。いわゆる「新幹線のファーストクラス」だ。

「あのなぁ。売り切れるのに1分もかかんない切符なんて取れるかよ。」

「そこをどうにかしてよ。」

「どうにかなってたら旅が一か月延びるだろ。一か月も伸びてる間に在来線で移動すれば、それだけでも鹿児島中央(かごしまちゅうおう)に行けるじゃねぇか・・・。」

そう言って聞かせた。まぁ聞くとも思えないけど・・・。

 簡単に自己紹介しよう。僕の名前はシャーク。なんでこう呼ばれているのかということを言ってしまったら「なるほど」で終わってしまうから、ここは僕も持っている人間の想像力というものを頼りにしてもらおう。

 そして、このたびを一緒にしてくれるのが幼馴染のレイ。彼女とは幼稚園の時からの中。鉄道に興味があるわけではないけど、旅が大好きな女の子だ。

 今回は親に内緒でためにためたお金とバイトで稼いだお金をすべて使い切る覚悟で来た。青春18切符で旅をするのもいいけど、まだ自分が一度もやったことがない新幹線の乗りつくしをやってみるものわるくないと思った。

「レイ。行くよ。」

「あっ。ちょっと待って。ここで食べ物食べてないじゃん。」

「・・・。食いもんのことなんかどっちでもいいだろ。まずは「はやて」。」

レイの顔はどうしてもここでご当地グルメを食べておきたいという顔をしている。だが、僕はそんなのお構いなしだ。本当なら一人で行く予定だったところにレイが無理やりついてきたからだ。

「分かったよ・・・。」

レイのほうが折れてくれた。僕はレイに切符を渡した。新青森(しんあおもり)から発車する新幹線には自由席が連結されていない。全車指定席だ。だから、「はやて」・「はやぶさ」には指定席券がないと乗れない。僕がレイに渡したのは東京(とうきょう)までの切符じゃなく盛岡(もりおか)までの切符。なぜこうしたのかは後々わかることだ。

 時間は11時20分。僕たちが乗り「はやて24号」東京(とうきょう)行きまではまだ時間がある。僕の第一の目的は「新幹線を乗りつくすこと」ではあるが、0系と400系以外のすべての新幹線に乗車する、もしくは撮影することも目的の一つだ。11時22分。この時間がヒントだ。

 改札口をぬけて、上の新幹線ホームまでやってきた。新幹線ホームに上がったのは少なくとも2分経った後のはずだ。もうすでにいるはずだ。

「おっ。シャークなんかいるよ。」

レイの声がした。その時にはもう僕の目にも入っている。

「E5系・・・。」

実車を生で見るのは初めてだ。ただ、エスカレーターがついているのは編成の真ん中あたり、どちらか近い方をと思ったが、どちらからも中間に位置しているから、走って先頭まで行ってみた。

 そこにあるのは先ほど形式を口にしたE5系新幹線。「はやぶさ」。形式のE5系とは国鉄が分割民営化されてからつくられた新幹線(JR東日本)の中で5番目というただそれだけ。それまでの新幹線に90パーセント入っていた白というとそうはされておらず、緑色の鮮やかな車体である。ラインはピンク色で「はやて」のE2系(イーツーけい)と同じにしてあり、その下はシルバーメタリックという斬新な色。斬新と言えば顔の形も斬新だ。E2系(イーツーけい)の鼻を前に伸ばしたようなロングノーズは空気抵抗を考えてのこと。またトンネルに高速でツッコんだ場合に反対側の出口で起きるトンネル微気圧波トンネルドンを抑える効果を持つための先頭である。

「乗ってみたいなぁ・・・。」

レイはそうつぶやいた。乗れるわけないのに・・・。

「まぁ、乗れるわけないんだからな。」

「なんで。掃除してるなら、掃除してるところ見たいんですが、って言って乗っちゃえばいいじゃん。」

「迷惑だからやめろよな。」

「まぁ、する気ないけどねぇ・・・。」

E5系を撮影するために集まった鉄道ファンも多かった。しかし、E5系がホームからいなくなるとその鉄道ファンも一気に引いていった。

「さて、俺たちは「はやて」のほうに行くかぁ。」

そう言ってレイを促した。僕たちが持っているきっぷは「はやて24号 7号車の13番E席とD席」。そちらのホームに身を変えてみれば、今から発車が待てないE2系(イーツーけい)がいた。1号車に急ぎ足で回って1号車から乗り込み、車内を伝って7号車に行った。そこには先にここに来ていたレイが席に座っており、僕は荷物を窓側の席のほうにおいた。すぐにデッキまで行って外に出た。6号車に取り付けられているパンタグラフの形を見ておきたかったのだ。

 その方向を見上げるとパンタグラフカバーと呼ばれる大きくてグレーのカバーがない。

(E2ダッシュの1000番台かぁ・・・。)

心の中でつぶやいてからすぐに車内に戻った。

「何確認してきたの。」

「えっ。パンタグラフ。」

「あんなの確認してどうするのさ。」

確かに。他の人からすればあんなもの付いていて当然だ。そして、わざわざ確認するようなものでもない。ただ、ここは鉄道ファンの端くれとしてどうしても見ておきたいところなのだ。同じ理由で車体側面に表記されている形式もね。

 11時42分。「はやて24号」東京(とうきょう)行き。発車。僕たちが利用する盛岡(もりおか)までの停車駅は八戸(はちのへ)のみ。途中の七戸十和田(ひちのへとわだ)二戸(にのへ)、いわて沼宮内(ぬまくない)は通過する。もちろん、この「はやて」が通過するだけであって、他の速達ではない「はやて」が停車するから問題はない。

 新青森(しんあおもり)を発車するとあたりが真っ白になった。雪だ。

「わぁぁぁぁ・・・。あたしこんなにたくさんの雪見たの初めて。」

レイは子供みたいなことを言ってるけど・・・。僕だってこんな量の雪を見たのは初めてだ。まぁ、これは北陸とかそういうほうの人にとってはふつうなのだろう。

「来るときに見ただろ。初めてじゃ・・・。」

「あたし寝てたんだよ。見てるわけないじゃん。」

「じゃあ、ホテルいくまでの間に見ただろ。」

「寝ぼけてて、何が何だか覚えていません。」

もうそのあとはレイの話を受け流すことにした。対向列車のない山側を見ているとだんだん視界が白に染まっていった。これは走ったことにより下の雪が巻き上げられているせいだ。

 そうだ。雪の季節東海道新幹線(とうかいどうしんかんせん)はよく遅延するが、東北新幹線(とうほくしんかんせん)など豪雪地帯に向かっている新幹線が遅れないのはなぜかということを考えたことがあるだろうか。もちろん、雪の多い東北地方に新幹線を通すというのはいまではそう難題ではないが、開業当時からすれば大きな問題だったらしい。その問題をどのように打開するか。車両設計担当だった人の結論は列車自体を除雪車にしてしまおうという考え方。しかし、ただ除雪機能をつけただけではダメなのだ。なぜなら、もし対向車があった場合ものすごいスピードで飛散した雪が対向車の窓を突き破るからだ。そうならないように改良に改良を重ねて東北地方の新幹線では当たり前の「スノープラウ」が開発されたのだ。

 これ以上説明のしようが僕にはあるけど、このままいったらストーリーではなく全部説明だけで終わってしまいそうな気がする。ここで打ち切ろう。さて、僕たちはもうすぐ盛岡(もりおか)というところまで来た。

「レイ。もうちょっとで盛岡(もりおか)だぞ。」

「えっ。もう。早くない。」

「・・・。」

「って新幹線だから当たり前かぁ。」

レイはそう言いながらスマートフォンをポケットの中にしまった。誰かとメールをしていたようだ。必要最低限の荷物をまとめて、僕とレイはデッキのほうに向かった。そこにはもう降りるのを準備する人が数人。盛岡(もりおか)のホームに停車するとドアが開いた。

「レイ。降りたら10号車のほうに走るよ。」

「えっ。なんで・・・。」

盛岡(もりおか)。「はやて」の10号車。理由は一つしかない。


旅人

シャーク

レイ

僕はまだ一度も新幹線を全線乗りつくしていません。ちょっと理想を織り交ぜて、作品を作ってみることにしました。


なお、タイトルの付け方が「1A」でもMAIN TRAFFICの続編でも何でもありません。

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