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悪魔になった男  作者: 美味 レモン
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巻き込まれちゃったよ、どうすんのこれ

「あっ、また靴紐切れた。はあ……またかよ、靴紐じゃなくてオレが切れそうだわこれ」


そうぼやきながらオレは靴紐が切れたままの靴でいそいで扉に鍵をして走り出した。

今日は大学の入学式。目ざまし時計はちゃんとセットしていたがなぜか今日に限って故障しており、現在は式に間に合うか間に合わないかという瀬戸際。

走りながらもオレは周囲に目を凝らす。なぜか、それはオレがとてつもなく不幸だからだ。


小さい頃からオレは不幸だった。オレが食べるものはほとんど腐っていたり、じゃんけんでは必ず負ける。何もない道のはずなのにオレが足を下ろすところになぜか空き缶があったり。

他にも例をあげたらキリがない。

しかし、そのおかげで高校生くらいになってくるとオレの体は様々な病気に対して抗体を持ち、じゃんけんなどの運頼りのものでも動体視力と勘で勝てるようになってきた。(動体視力などは運に頼るのが嫌なオレが近くの偏屈爺さんがやっている道場で体を鍛えたおかげで身についた)

もちろんそこに至るまでには多大な犠牲を払ってきたが……。

まあ、過程はどうあれオレは一般人を越える体と運動能力を手に入れた。

もちろんそんなオレにも限度はあるけど。


そしてオレは周囲に一通り目をやり危険がないのを確認した。ホッと一息つく。

あとは目の前の交差点を抜けたら一直線で大学だ。信号が青に変わりオレは走り出した。

しかしここでオレは失念していた。

靴紐にひっかかったのだ。オレはバランスを崩し横断歩道の真ん中でコケた。

これだけならまだよかった。新品のスーツが汚れ、髪型が崩れるだけだったから。しかし、オレは不幸体質だ。もちろんこれだけでは終わらない。

このタイミングで信号無視をした車がやってきた。道の真ん中にはオレがこけたままの体制でいる。

暴走車はスピードをぐんぐんと上げながらオレの体を轢いた。


100kgを越えるものがオレの体を思い切りはねとばした。

オレは薄れゆく意識のなかで過ぎ去っていく車を見た。
















「いってええええええええええ」

思い切りオレは叫んだ。まさか人生において車に惹かれるとは思わなかった。



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