0x2D 真相の告白
玄関の空気が張り詰める中、蜜柑は息を切らしながら透華たちを見つめていた。
その隣に立っていたのは――透華の母に他ならなかった。
透華は、その姿を見た瞬間、言葉を失った。
「……お母さん?」
朔や凛、バルスも驚きの表情を浮かべる。
蜜柑は唇を噛みながらスマホをぎゅっと握りしめた。
透華の母は一歩前に進み、静かにため息をついた。
「やっと……会えたわね。」
透華の胸に微かな緊張が走る。
「どうして、ここに……?」
すると、朔の母が申し訳なさそうな顔をして口を開いた。
「……透華さん、ごめんなさいね」
透華はじっと朔の両親を見つめる。
「何がですか?」
朔の父が椅子に腰掛けながら、重々しく言葉を継いだ。
「実は……君のお母さんから、相談を受けていたんだ。」
透華は息をのんだ。
「相談……ですか……?」
透華の母は、微笑みながらもその瞳にかすかな不安を宿していた。
「透華、あなたと、なかなか会えなかったでしょう?」
透華は沈黙する。
確かに、最近母と会う時間を作れていなかった。それは、母が忙しかったせいでもあるし、透華自身があえて距離を置いていた理由もあった。
透華の母は静かに続ける。
「それで……朔くんの両親にお願いしたの。
蜜柑ちゃんを『いなくなった』ことにして、あなたに会うきっかけを作ってもらえないかって。」
透華の瞳が揺れる。
「そんな……。」
朔は混乱したように母親を見つめた。
「つまり……この『失踪事件』は、ただの八百長だったってこと?」
すると、朔の母は申し訳なさそうに目を伏せた。
「ええ……。透華さん、騙すような事して本当にごめんなさい。朔、あなたにも……」
蜜柑がじっと透華を見つめながら言った。
「実は私も、加担していたの。
スマホの位置情報を操作できるアプリを持っていたから、家にいるのに『いない』ことにして……」
透華はゆっくりと息を吐いた。
「お母さん……そこまでして、私を呼び出したかったの?」
すると、透華の母は寂しそうに呟く。
「あなたがどうしても会ってくれないから……。」
その場に、静かな緊張が漂う。
透華はしばらく目を閉じたまま、深く考え込んでいた。
(母は私に会うために、ここまでの芝居を打った……)
そして、ゆっくりと目を開け、母の瞳を見据えたまま、しばらく沈黙した。
……。
そして、ピリピリと張り詰めた空気に、
透華は再び口を開く。
「……話があるなら、普通に言ってくれればよかったのに。」
透華の声は冷静だった。
しかし、母の瞳を見据え続けるその視線には、当の本人・透華自身でさえ抑えきれない、微かな動揺が滲んでいた――。




