表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/52

0x25 探索バイアス

ゲームセンターを出た透華と朔。


夕暮れの街は、ほんのりと赤紫に染まり、日が沈む気配をまとっていた。

店の外では人々が行き交い、賑わいはあるものの、昼間ほどの喧騒は感じられない。


透華はゲームセンターの出口付近で足を止めた。


「防犯カメラの映像がないとなると、私たちの手がかりは、現場に残された痕跡に限られるわね」


「何か、まだ見落としてることはないか?」

朔は腕を組みながら問いかけると、

透華は目を閉じ、一度深呼吸する。

そして……。


「探索バイアス……」

突然呟く。


「探索……バイアス?」


「そう。人は、特定の情報に意識を集中しすぎると、肝心なところを見落としてしまうことがあるの。

今まで私たちは、店内の証言やカメラ映像ばかりに気を取られていた。

だけど、本当に必要な手がかりは、もっと単純なところに隠れているかもしれない――」


「単純なところ……か?」


「あ、朔、足元!」

透華は咄嗟に朔の足元を指差す。


「お、おお……、サンキュー!」


朔の足元には誰かが吐き捨てたガムが落ちていた。


"落ちて……いる"


透華は無意識にその思考を巡らせるうちに、

自然と視線が足元へと移る。


そして、歩道の隙間に――。


「……これは?」


路上に光るもの。


彼女はしゃがみ込み、指先でそれを拾い上げる。


それは、「とろにゃんこ」のキーホルダーだった。


凛のポーチにつけていた、お気に入りのマスコットキャラのグッズ。

だが、ボールチェーンの部分からちぎれていた。


透華はキーホルダーの傷を指でなぞりながら、その異常さに気付く。


「ただ落としただけじゃない……これは、無理やり引きちぎった痕跡がある」


朔もキーホルダーを覗き込む。

「確かに……普通に落としたなら、ストラップ部分が切れるなんてことはそうないよな」


透華は真剣な顔でキーホルダーを握りしめる。


「凛が自分が大切にしている物を引きちぎるなんて。

これは咄嗟に残したSOSのメッセージのようなものかも……。

凛は、何かの犯罪に巻き込まれた可能性が高いわ……」


彼女の言葉には確かな確信があった。


朔は透華の決意に押されるように、改めて街を見渡す。


「なら、この周辺でもっと詳しく調べるべきだな」


そして、二人は新たな手がかりを探すため、歩道の周囲を慎重に調査し始めた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ