0x23 疑念の影を追う
イベント会場の賑わいの中へ、透華と朔は舞い戻った。
先ほどまでの張り詰めた空気とは裏腹に、そこには人々が楽しげにブースを巡り、景品を受け取る活気に満ちた雰囲気がある。
しかし、透華の視線は変わらず鋭い。
何気ない違和感を拾い上げるように、彼女はあたりをくまなく見渡していた。
その隣では朔が気まずそうに咳払いをする。
「……で、何から調べるんだ?」
すると透華はポスターの内容をじっと確認しながら答えた。
「まずは、ここで配られていたUFOキャッチャー無料利用券ね」
そして、思考を巡らせる。
「凛さんと草日君がこのキャンペーンに参加していたのなら、きっとゲームセンターへ行ったはずだわ……」
朔は腕を組みながら言った。
「それなら、ここで奴らの足取りを確認した後、後からゲームセンターにも行ってみるべきだな」
透華は迷うことなく、スタッフの方へと歩を進めた。
「すみません、少しお伺いしたいのですが」
彼女が声をかけると、イベントブースのスタッフは明るい笑顔を透華に向けた。
「はい、何でしょうか?」
透華はスマホを取り出しながら、質問を投げかける。
「ここでアンケートに答えた人たちにはUFOキャッチャーの無料利用券が配られたと聞いたのですが……どんな感じで配布されましたか?」
スタッフは快活に答えた。
「はい、そうですね。アンケートに答えてくれた学生さんに、エナジードリンクと一緒に無料券を渡していました。
ただ、今日はかなり人が多くて、あっという間に景品がほとんど無くなってしまいましたね」
透華の眉がわずかにぴくりと動く。
「かなり多くの学生が集まったということですね?」
「そうですね、特に午後からは人だかりができていましたよ」
朔は透華の横で、深く考え込むような顔で口を開いた。
「午後って、ちょうど凛たちが姿を消した頃だよな?」
透華は静かに頷く。
「ええ、偶然にしては出来すぎてるわね……」
透華はスマホを操作しながら、次の可能性を口にした。
「この時間帯にアンケートを受けた学生の証言を集めれば、凛と草日君の足取りが掴めるかもしれないわ」
朔も力強く頷き、提案した。
「じゃあ、ゲームセンターにも行って、無料券を使った人がどんな動きをしていたか確認しようぜ」
透華は短く、「ええ」と応じた。
次の目的地は、ゲームセンターに定まった。




