0x20 二人の足どり
一方、透華と朔は——。
透華はスマホを握りしめ、凛の番号を押した。
すると、コール音すら鳴らず、機械的な音声が流れる。
「おかけになった電話は、電源が入っていないか、電波の届かない場所にあるため……」
透華は静かに画面を見つめ、眉をひそめた。
「繋がらないわね……」
「俺はバルスにかけてみる」
朔が隣で腕を組みながら自分のスマホを取り出す。
しかし――結果は同じだった。
「くそ、バルスもかよ!」
朔は苛立ったようにスマホを閉じる。
「なぁ、透華。とりあえず凛の家に行こうぜ。親御さんが何か知ってるかもしれないだろ?」
「それはやめたほうがいいわ」
しかし、透華はすぐに首を横に振った。
「なんでだよ?」
「今の段階で二人の親御さんに知られたら、状況がより複雑になりかねないわ。
まだ事件の全貌は見えていないんだから。
今はもっと確実な方法で足取りを追うべきよ」
「……確実な方法って?」
朔は渋い顔をしながら問いかける。
透華は静かに考えながらスマホをスクロールし、凛とバルスの普段の行動について確認するように口を開いた。
「土曜日。二人が今日どんな行動をしていたか、それぞれ思い出しましょう。
それが手がかりになるかもしれない」
「そういうのはお前のほうが詳しいだろうけどな」
朔は頷き、そう言いながらも考え始める。
「凛は勉強会に遅れるってきただろ。バルスも同じ。
それなのに、二人は俺たちを尾行していた」
「その後は……音沙汰無しね……」
透華は指を組みながら続ける。
「その流れの中で何が起きたのか……、
行動パターンを確認して、可能性を考えましょう」
透華はスマホの画面を見つめながら、指先で軽く机を叩いた。
朔は腕を組みながら考える。
「でも尾行してたなら、途中で誰かに目撃されてる可能性もあるよな?」
透華は頷く。
「ええ。だから、二人がいたとされる場所に行って、証言を集めましょう」
「証言?」
「そう。周囲にいた人や、店員、監視カメラ……何かしらの手がかりが残っているかもしれない」
朔はため息をつきながらスマホを取り出す。
「じゃあ、どこから調べる?」
「貸衣装店から朔の家付近までに通る店をいくつか見てみるわ」
「確かに、他に立ち寄っていた可能性があるかもな」
「ええ。今日の彼らの行動パターンを考えると、空白の時間に途中で何かをしていたはず。
だから、それを一つずつ洗い出すの」
そして、二人は凛とバルスの足取りを慎重に追い始めた――。




