0x2 朝比奈凛
透華と朔の二人は昼休みに体育館に来ていた。
体育倉庫の鍵を管理している先生から話を聞いたものの、手がかりはまだ少ない。
そこで、二人は手がかりを求めて、事件のあった体育館を改めて調べることにしたのだ。
体育館の扉を開けると、中にはすでに一人の女子生徒の姿があった。
彼女は何やらキョロキョロと挙動不審に辺りを見回しながら、体育館の中をぐるぐると歩き回っている。
「凛?」
透華は彼女に声をかけた。
そこにいたのは、クラスメイトで透華の親友の朝比奈凛だった。
「透華?それと、え……と、朔くん?
ねえねえ透華、いつも聞こうと思ってたんだけど、朔くんとはどういう関係なの?」
「こ、こいつはただの私の雑用、
エロくて、頼りない、マゾのドM男。
そう、略して(ATM)よ……」
透華はそっぽを向きながらたどたどしく答えた。
「エロなら普通そこは"E"だろ!?」
「いちいちうっさいわね!
どうしてもあんたがエロいのは
説明しなきゃ気が済まなかったの」
「はいはい、俺はどうせお前の財布代わりでドMなエロ男ですよ」
朔は苦笑しながら答えた。
「クスクス♪
二人とも仲がいいんですね」
凛はそう言うと、朔の顔を上目遣いにまじまじと観察し、彼に向けてにこやかに会釈した。
「凛さん、ところでさっき何か探してたの?」
朔が尋ねると、彼女は少し困ったような表情で答えた。
「実は……、ソフトテニスボールが見つからないかもう一度よく探しに来たんです。
だけど、やっぱり見つからなくて……」
「そうだったんだ。私たちも、その件で体育館に来たんだけど……」
透華はそう言うと、朔に視線を向け、そして続けた。
「凛はね、ボールが無くなる直前にそのボールを使って大会の練習をしていたの。
だから体育の先生から紛失に心当たりがないか聞かれたらしいのよ。
それで、責任を感じた凛は、何度も体育館に足を運んでボールを探してたけれど、なかなか見つからなかった。そこで私が相談を受けたって訳よ」
「あのさ、話の途中に割り込んでごめん、透華」
「突然どうしたのよ、BTC?」
「俺はビットコインでもねぇーよ!」
「あの……透華?」
朔は、凛が透華にある資料をずっと渡したそうにしていた為、透華の話を遮ったのだった。
「これ、ボール探しの参考になればなと思って……」
凛はそう言って、A4で印刷された資料を透華に手渡した。
「なるほど、学内で過去に紛失した備品の記録ね」
「ねえ透華、それ役に立ちそう?」
「もちろんよ。
ありがとね、凛」
透華はにっこりと笑い、凛に力強く答えた。
その言葉に、凛はほっとしたように息を吐き出す。
「じゃあ、さっそくはじめるわよ!」
透華は顔を上げそう言った。
その表情は真剣そのものだ。
「今更他に何を?」
朔は、これから始まるであろう透華の推理に、若干引き気味に質問した。
「決まってるじゃない。
先ずはプロファイリングよ!」
透華は朔の言葉に、自信満々に応じた。
その言葉を聞いた朔は、その台詞は過去にも聞いたことを思い出し、背筋がゾクゾクするのを感じた。




