0xC 怪盗のコラージュ文
「ねえ、透華さん。これ、どう思う?」
凛が連れてきた女子生徒、小鳥遊さんは、不安げにそう呟く。
彼女が差し出したのは、新聞の切り抜きを貼り合わせた、奇妙なコラージュメッセージだった。
"明日の夕方、お前の宝を盗みに行く"
「宝?私、そんなもの持ってないのに……」
小鳥遊さんは困惑した表情を浮かべる。
透華はコラージュをじっと見つめた。切り抜きの文字はバラバラで、裏面には対応する位置に意味不明な英数字の羅列がある。
(……何か、引っかかるわ)
透華の五感の歪みが、微かな違和感を捉えていた。
「何か分かったのか、透華?」
朔が尋ねる。
「まだ何とも。でもね、この文字の並び、何か意図がある気がするの」
透華は小鳥遊さんに尋ねた。
「最近、何か変わったことはない?
例えば誰かに尾行されたりとか……」
すると……。
小鳥遊さんはしばらく考え込んだ後、恐る恐る口を開いた。
「実は……クラスで少しトラブルがあってね。
私、少し星野さんに言いすぎてしまって……、
そのまま星野さんと口論になってしまって、
そのときについ、私はきつい言葉を浴びせてしまったかもしれない」
透華能力発動中。
(小鳥遊さんは嘘をついてる。
だけど、表情や仕草だけじゃ具体的なところまではわからないわね……)
「もしかして、星野さんが……?」
凛が呟くが、透華は首を横に振った。
「違うわ。星野さんはこんなことしない。
これには、もっと別の力が働いているはずよ……」
透華は職員室でコラージュ文を両面コピーさせてもらい、文字を全て切り抜いて、セロハンテープでホワイトボードに貼り始めた。
その夜、透華の自宅——
「ルンルンルンルン♪」
*透華の鼻歌です。
「LIN I」
突然透華のスマホが鳴る。
「誰かしら?」
透華はシャワーを浴び終わると、
ドライヤーで濡れた髪を乾かしながらLIN Iをみる。
「凛からのLINIだわ」
『透華、見て!この顔文字、なんか変じゃない?』
凛から送られてきた顔文字の羅列を見た瞬間、透華の脳裏には、まるで電流が流れ込むかのように、あのコラージュメッセージの光景が鮮明に映し出された。
「分かった!この文字の並び、顔文字と同じなんだわ!」




