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薬草令嬢はキラキラした夢を見る いつの間にか断罪を免れていたようです  作者: 月野槐樹


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第4話 思いがけない再会

そうして到着した文房具店は、エミリが言った通り羽根ペンの種類が豊富だった。

マティアスに贈る予定の羽根ペンと同じ種類の羽根を使った商品がないか、念の為見て回ったけれど同じ色の羽根ペンは見つからなかったのでちょっと安心した。


「どのようなお色のインクをお探しでしょうか?」

「赤系の色と青系の色のインクが欲しいの」

「畏まりました」


ノートに重要なことを書き添える為に黒以外の色のインクが欲しいと思っていた。

そういった要望が多いのか、店主はすぐに用意をしてくれた。

赤い系統と青い系統のインク三種類ずつだ。試し書きもできるらしい。

羽根ペンと羊皮紙の切れ端が準備されていた。


「あら、これは思ったより色が薄いのね」


最初に試したのは、アプリコットのような色のインクだ。華やかで目を引いたので手に取った。

しかし、羊皮紙に試し書きをして見ると思ったよなインパクトがない。茶色がかった羊皮紙の上だと全く目立たなかった。


「華やかな色合いでお手に取られる方は多い品なのですが、おっしゃる通り淡いお色ですので、羊皮紙に書くとあまり目立ちません」

「試し書きできて良かったわ」


いくつか試し書きをして、気に入ったインクを購入した。

購入した商品を包装している間に、店員がベラドンナが興味を持ちそうな店を紹介してくれる。


「もしご実家にお手紙を書かれる為のレターセットをお探しでしたら、ここから七軒先に人気のお店がございます」

「ありがとう!行ってみるわね」


紹介された店に赴いて、送る相手を考えながらレターセットを選ぶ。

ふと、マティアスのことを思い浮かべた。

マティアスに送る手紙の便箋はどのようなデザインの物が良いか……。


「……シンプルな物で良いかしらね」


イメージに合ったものをと考えたが、マティアスのことをあまりよく知っているわけではないので

無難そうなものを選んでしまう。


「マティアス様ぁ〜!」


会計を済ませていると、通りの方から声が聞こえてきてドキッとした。

婚約者と同じ名前の人物が呼ばれている。


「あっちにぃ、最近できたカフェがあるんですぅ〜。クラスの人が行ったって言ってましたぁ!」

「そうなんだね。では行ってみようか」

「ヤッタァ! 嬉しい。気になっていたの!」

「ハハッ。言ってくれれば、いつでもご一緒するよ」

「マティアス様、やさしーい! 行きましょ、行きましょ!」


婚約者と同じ名前だったこともあるが、店の前でよく通る声で話していたのもあって、会話の内容を聞いてしまっていた。

はしゃぐ令嬢の声が遠ざかっていくのを聞きながらベラドンナは考えていた。


「近くにカフェがあるのね」


王都のカフェには興味があった。以前、公爵領のカフェで薬草茶を出している店があった。

王都のカフェでも薬草茶を出しているのか気になる。

買い物の休憩がてら行ってみるのも悪くない。

早速カフェに行ってみることにした。


文具店の店員にも確認したところ、通りを渡った先に最近できたカフェがあるという。

色取り取りのソーダ水が学生に人気なのだそうだ。


「エミリも一緒にお茶できるかしら」

「はい、もちろん」


自宅では基本的に使用人はテーブルを共にしないのだが、街中でレストランやカフェに入る場合などは侍女のエミリも同席をしてくれる。公爵領で学園に通い出してからの習慣だ。

後ろの侍女が控えている状態で一人で食事をしていると目立つからという理由で、

エミリにも席についてもらったのが最初だが、カフェで一人で食事をするより他のメニューの感想も聞けてことのほか楽しかったのだ。


通りを渡ると、文具店の店員が案内をした通り、赤い看板のカフェがあった。

軒先にもテーブルが置かれていて、開放的な雰囲気だ。


「マティアス様ぁ! ユリアは外のお席が良いわぁ!」

「ああ、天気も良いから、外も良さそうだね。……案内を頼む」

「うふふ!」


カフェに近づくと、店内から先ほどのカップルの声が聞こえてきた。通りに近い位置にいたのだろう。

カフェの入り口に足を向けながらなんとなく、チラリとみるとカフェの店員に案内されて二人の人物が軒先のテーブル席に向かっていた。

ふんわりとしたアプリコットピンクの髪をした令嬢と、くりくりの緑の巻毛をした青年が歩いているのが見えた。

ベラドンナは思わず足を止めた。


くりくりの緑の巻毛には見覚えがあった。

ベラドンナの婚約者のマティアスも緑のくりっくりの巻毛をしていたのだ。

しかし、最後に会ってからかなりの月日が経っていた。ベラドンナの記憶にあるマティアスより、視線の先の人物は背が高い。それに声も低い。

アプリコットピンクの髪の令嬢をエスコートしている人物が、ベラドンナの婚約者のマティアスかどうかが確証が持てなかった。


「お嬢様……。」


エミリが察したらしくて小声で話しかけてきた。


「今出てきた騎士は、デンドロン家の紋章をつけていますね」

「……」


エミリに言われて見やると、カップルに続いて二人の騎士の姿が見えた。

確かに、見覚えがある騎士服だし、腕の紋章はエミリが言う通りベラドンナの婚約者であるマティアス・デンドロンの家の家紋だった。

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