表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

日常 一つ目の顔

 


 あぁ、、、

 あったかい。きもちいい。安心する。

 そして。落ちていく、、、



「おはよーーーっ!!

 昨日でてた髙橋ゆず先生の新刊よんだー?!?!」

教室に入るとやたらとテンションの高い女の子が声をかけてきた。

栗色の癖毛で素朴だけどかわいい女の子。まなだ。


「昨日はバタバタしててまだ読めてないんだよ。そのテンションって事は最高だったのですね」

私はにやけ顔で返す。


「やーーーーもーーーー良すぎてさ。一旦電子で買ってたんだけど紙でも絶対欲しい!」


「テンションですぐ分かっちゃったよー!私も今日の講義終わったら帰って速攻拝読させていただきます」


「受けが可愛過ぎるし攻めのヤンデレが尊過ぎる。

 神作の誕生に立ち会ってしまった感じよー!」


「立ち会ったって。笑

 まなは別に制作側にいませんが?」


「またそーゆーこと言って水をささない!」

 ぷくっと膨れ顔でこっちを見た後お互い吹き出す。

 

 そう。私たちは世に言う腐女子。

とはいえ、私はにわか。ガチ勢と呼ばれる方々には全く及ばない。大学に入って仲良くなったまなと話すうちに興味をもって、おすすめだからと勧められる物を読み漁っている。

 最初はただの会話のネタくらいで話を聞いていたが、興味を持った事がよほど嬉しかったのか押しに負けて読み始めた。正直少女漫画も中学生で卒業した。TLなんてもっての外。恋だの愛だのは物語の中だけ。現実味のないストーリーにはいはい。と冷めてしまっている自分がいた。

だけど、なんだかBL作品にはすごく心が動かされた。

布教大成功ってやつなのかもしれない。


「けど、ゆあって不思議だよね?」

「?」

 突然の言葉に驚く。

「だってさ。めちゃくちゃ美人なのに彼氏とかいないし、正直私とつるんでるタイプじゃないじゃん?」

 あぁ。私が嫌いなやつ。。。

 美人だから彼氏ができるわけじゃないし、つるむタイプなんで見た目で決まることじゃない。

まなに悪気がない事はわかってる。純粋に不思議に思った事が口にでちゃったんだろう。

「そーかな?私はまなといるの楽しいよ」

 まなは嬉しそうに私を見て

「私もゆあとこうして話してるのすごく楽しい!」



「ゆあーーーー!おはよー!

 きいてよーーー!昨日夜中にたけるがいきなり電話してきてさ!」

 派手な見た目の2人が教室に入ってくる。

 ロングで明るい髪色の可愛い顔ギャルあやかと肩で切り揃えた黒髪の下に青のインナーカラー。個性的なファッションで王道美人のかほだ。

まなは少し気まずそうな顔をする。

そう。さっき言っていたのはこうゆう事なのだ。

私は本来こっち側だとまなは思っているんだと思う。


「おはよーっ!夜中はきついね!何の電話だったのー?」


「今男3人で飲んでるから一緒のもうって。可愛い女の子連れてきてねだって!都合よく使いすぎ!しかも絶対ゆあをよんでほしかったんだと思う!」

あやかはたけるが好きみたい。そんなものに巻き込まれなくはない。

「そんな事ないよ」

笑って返すが、正直全否定もできない。私だって別にそこまで鈍感じゃない。


「あやか。そんなこと言ったってゆあが困るじゃん」

かほがなだめると


「違うもん!べつにゆあのこと攻めてるわけじゃないもんっ!あたしだってゆあが大好きだし仲良くなれて嬉しいっていつも思ってる。たけるが気にいるのも仕方ないって思ってる!けどさあー!使われてる感じが嫌なのっ」

うん。私に連絡して来なかった時点であやかの気持ちは分かってる。けど、話したくないなら無理に聞かない。


「まなちゃんとなんか話してたんじゃないの?」

 かほはクールだけどすごく気が使える。

「あ!なんか大事な話してたの?」

「昨日の。。。」

「たいした話じゃないよっ!あたし席あっちだから!」

 遮るようにまなは離れた席に移動した。

「ん?邪魔しちゃった感じ?」

 気まずそうなあやか。



まなはこの2人に自分の趣味を知られたくないらしい。

 私は正直相手にどう思われるかを考えることが少ない。好きなものは好きでいいと思うし、いつも誰かと一緒にいる必要はない。と思うのだけど、世の中ではそうじゃないらしい。周りが言うには上の人はわからない事があるらしい。上って何?スクールカーストってやつ?誰が考えたんだろう。私は上にいるの?わからないことばかり。

私は周りが言うほと自分の容姿が優れていると思わない。

別にブスだと卑下する程でもないし、まあ。整っている方なのかもしれない。けど、そこらへんにいるレベルだ。


「ここ空いてるー?」

あ。このチャラい感じ。

ふわふわ人懐っこい笑顔で声をかけてきたのはたけるだ。

犬系?って言うやつか。最近まなに教えてもらった。

「昨日はいきなりごめんねー!結構飲んでてさ―」

「いいけど、いきなりは無理だからね!」

 え?いいんだ。

 かほと目が合って笑う。同じ事を思ったんだろう。

 恋してるなあ。


「結局朝方まで男ばっかりよ。けんとも昨日一緒に飲んでたのに最後いなかったよね?」

 唐突に話をふられたのはたけるといつも一緒に居るけんとだ。伸びた黒髪にシンプルな服装、整った顔をしているけど、何を考えているかわからない。

「あー。長くなりそうだったから途中で帰った。」

「冷たいーーーっ!!!」

 けんとに戯れて抱きつくたける。

 あぁ。これ。腐女子の方々のご馳走ってやつ。

 まなを見るとにやけて下を向いている。


 平和な日常。

 これが1つめの私の姿

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ