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仕返しとある部屋と

ハープって弾いたことないな...


というかあんまり見ないし。


1音1音弾いていく。


それと同時に儚く綺麗な音色が辺りに響く。


「弾いたことあるのか?」


「全く?」


「全くって...」


呆れたようにそう呟く寒珋。




そういえば金魚...


仕返しみたいな感じのやつしないのかな...


そんなことを考えていたせいだろうか。


ハープを弾くと共に、


私の周りに水の渦が舞っていた。


寒珋が驚いているのを他所に、


その水の渦は徐々に青い金魚へと姿を変えていく。


七匹くらいだろうか。


水から変わった青い金魚達が


一斉に赤の地の方へ泳いで行った。


「小娘、一体何した?」


眉間にしわを寄せながら聞いてくる。


「仕返しはしなきゃでしょ?」


そう言うと目を丸くした後、


くくくっと笑っていた。


その時、ヒヤリと冷たい何かが私の頬に触れた。


何かと思い、上を見る。


と、そこには雪の姿があった。


食パンの真ん中の白いふわふわの美味しい部分みたいな雪。


ふわふわと舞い落ちいてく。


だけど、床に落ちる前には溶けて消えている。




なんで屋敷内に居るのにも関わらず、


雪が降ってくるのだろうか。


ボロ屋だったとか?


睨むように寒珋を見ていると


「なんだ?」


と言われてしまう。


「なんで屋内なのに雪降ってんの?」


「寒いじゃん」


そう言うと、またもや目を丸くする。


「寒いのか?」


まるで雪が冷たいのを知らなかったように、


そう聞いてくる。


「寒いでしょ、冷たいし」


そう私がぶっきらぼうに言うと


「しょうがない」


「あの部屋に連れて行こう」


そう言って私を抱えた。


「ちょっと!降ろしてよ!!」


ジタバタと足を動かすが、ピクリともしない。


「暴れるな」


そんな声を最後に、眠気が襲ってきた。




目を開けるとそこは真っ赤な部屋だった。


真っ赤というより、


" 紅葉の景色がある部屋 " であった。


「ここは...?」


仄かに温かい。


先程の寒い部屋とは大違いだ。


「...赤の女帝専用の部屋だ」


え?


嫌いじゃなかったの?


「今は使っておらん」


「だから小娘、お前が好きに使え」


そう言い、降ろされる。


今は使ってない...?


昔は使ってたってこと?


「返事」


「...分かった」


そう私が言ったあと、


「仕事するから邪魔するなよ」


と言って部屋から出て行ってしまった。


仕事って何してんだろう...




そんなことを考えながら部屋の内装を見る。


埃が一切被っていない。


まるで新品のような家具たち。


きっと毎日では無いけど、


多い頻度で掃除をしているのだろう。

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