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異世界を信じる者たちへ 〜何故かエルフになった僕〜  作者: さつき けい


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第五百六十九話・王族のお茶会と王子たち


 ズラシアス国の宮殿に到着。


昼食にはギリギリ間に合った。


「ようこそ、いらっしゃいました」


国王の侍従長らしき老人の出迎えを受ける。


「こちらへどうぞ」


老人はニコリともせずに歩き出す。


なーんか不機嫌っぽいなあ。


外見が普通の人間の子供だから侮られてるのか。




 扉を開くと明るい室内に、国王と、他にも何人かの姿があった。


あー、侍従長の不機嫌はコレか。


相手は国王様なんだから、待たせたらイカン。


時間には間に合ったとしても待たせたのだから謝罪しないとな。


「遅くなり、大変申し訳ございません」


すぐに礼を取る。


侍従長の指示に従い、侍従やメイドたちが動き出した。




「構いませぬよ。 どうぞ、こちらにお座りなさい」


お気楽脳筋の国王が気さくに手招きする。


宰相がいないとこんなに穏やかな人なのか。


教会で見た印象と違い過ぎるな。


 丸いテーブルには椅子が5脚。


王女から簡単に紹介された。


国王、ティファニー王女、僕、そして見た覚えのある顔は第二王子のバリバトール様。


もう一つの席は渋い顔をした三十代といった感じの男性。


バリバトール様と顔が良く似ている。


ということは、この方が第一王子様か。


あれ?、数が合わない。


「混乱させて申し訳ありません。 実は兄は双子なのです」


顔を顰めていたらティファニー王女が気付いて、コッソリ教えてくれた。


あー。


なんで、第二王子が年上だった時に気付かなかったんだ。


確か、国王の子供は3人でティファニー王女と兄と弟だと聞いていたのに。




 国王が少し申し訳なさそうに話す。


「双子というのは、昔から国が荒れる元凶だと言われておる」


同じ顔、同じ血筋。


どちらの王子に着くかで貴族が、民衆が二分化する。


「だから、生まれた時に王子だとは公表したが」


双子だとは言えなかったらしい。


この国王は体は大きいのに気は弱そう。


「幼い間は人前だけはどちらか一人が、もうひとりは留守番となった」


第一王子バルバトーリは筋肉好きの父親と共に訓練が多かったが、留守番の第二王子バリバトールは王妃や側近と勉強ばかりしていた。


「今ではバリバトールは主に政務を、バルバトーリには軍務を任せておる」


お蔭で性格はきっちり分かれたので、体格も仕草も違う人間に育っているのだとか。




 筋骨隆々で目付きの鋭いバル王子と、そこまで脳筋ではない知的な印象のバリ王子。


似ているが、双子には見えない。


二卵性だとあまり似ないんだったか。


「ティフが生まれた時に、幼い娘には流石に隠しきれなくてな」


ティフというのはティファニー王女の愛称だ。


もう一人王子がいることを公表し、国民にも隠していたことは謝罪した。


 しかし、王子が2人に増えたことが上手く伝わらず、王女の下に弟が出来たという誤解が生まれてしまったそうだ。


大国は広く、地方や他国にまではその認知は進んでいない。


そこを宰相に付け込まれてしまったらしい。


公表されても認知が進まなかったのは、宰相の妨害もあったようだな。




 国王は、まだ話を続ける。


「やはり息子たちも妹には甘いようで、今は三人で仲良くやっておるよ」


はあ、それは良かったですね。


で、これ、なんの話?。


そんな他国の事情なんて僕には関係ないんだが。


 顔には出さないが、僕はイラッとした。


「ご用件をお願いします」


おっと、子供らしくない低い声が出た。


「ああ、申し訳ない。 我ら家族はティフのことは愛しておるし、なんでも話を聞いて来たつもりじゃった」


国王も兄王子たちの顔も暗くなる。


「それが今回のようなことになり、ティフは王籍停止まで思い詰めてしまった。 我々の責任じゃ」


国王様、我々って王子たちも巻き込んでるけど、実際には宰相に任せてたアンタの責任ちゃう?。




 第二王子がため息を吐いて父親を睨む。


「宰相の言葉を鵜呑みにして、私の話を聞いてくださらなかった陛下の責任が一番重いと思いますが」


言っちゃえ、言っちゃえ。


「そんな話より、俺はこの坊やの話が聞きたいんだが」


第一王子の目は僕を真っ直ぐに見ている。


ふむ、割と冷静な方のようだ。


「おお、すまぬな。 今回はアタト殿からの申し出であった。 我々に何か話があるとか」


デカい息子に言われ体を縮こませる国王。


大丈夫か、この国は。




「はい。 面会のお願いをいたしましたところ、本日はご招待を頂き感謝いたします」


あまり大袈裟にするのも今さらだし、座ったまま軽く礼を取る。


「実は、私はエテオール国で商会を経営しておりまして。 ズラシアス国との商売を考えています」


僕は、この国の魔獣素材や魔道具に興味があることを伝える。


「出来れば、うちの商会で取り引きをさせて頂きたいのです」


双子の王子が顔を見合わせている。




 第二王子が口を開く。


「お力になりたいのは山々だが、今は我が国でも魔石の供給が間に合っていない状況でして」


国政を取り仕切るバリ王子は難色を示す。


 マテオさんに調べてもらった結果、魔石の流通についてはやはり国の施設に優先的に回されていた。


宰相はこのままでは魔石が枯渇するのでは、という危機感はあったようだ。


それを『異世界関係者』に任せるのはどうかと思うが。


「魔石を供給出来る場所が近くにあれば良いのですが」


魔獣が棲む地域は、人々の生活圏内から遠い場所になる。


それは仕方ない。


エテオールでも辺境地の魔獣の森が一番の供給地なのだ。


しかし、その場所からの往復だけでも移動魔法陣による魔石の消費は大きい。


つまりは供給と消費の均衡の問題なのだ。




「魔石を供給する場所が近ければ、消費は多少減るのか」


僕は考える。


近くて、一般の民衆には被害が出ない場所なら良いのかな?。


「迷宮……」


ポツリと言葉が漏れた。


「ブワッハッハ、迷宮か!。 魔獣の棲む迷宮なら、管理さえしっかりすれば魔石の供給場所にはなるな!」


バル王子は豪快に笑う。


脳筋王子は迷宮探索の方が嬉しいようだ。


 僕は、後ろに立つモリヒトを振り返る。


「いける?」


『主様のお望みとあらば』


無表情ではあるが、邪魔臭そうなのは雰囲気で分かった。



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処理しない人の死体捨て場作んの?迷宮よいう名の
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