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異世界を信じる者たちへ 〜何故かエルフになった僕〜  作者: さつき けい


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第四百五十八話・辺境の助っ人が来た


 僕は、モリヒトが戻って来てから教会に向かうつもりだ。


キランの馬車もイブさんたちを送り届けて戻って来た。


僕は、動かない馬車の中で昼食のパンを齧りながらモリヒトを待つ。


「お待たせしました!」


聞き慣れた声がして、僕は馬車から顔を出す。


「ガビー、なんでー」


ヘヘッと笑うドワーフ職人のガビーが居た。


いや、笑いごっちゃない。


モリヒトが困った顔をしている。


『スーとドンキを送り届けましたところ、交代で行くと聞きませんで』


モリヒトは、僕の次にガビーとの付き合いが長い。


断り切れず押し切られたのか。


「工房は心配いりません!。 優秀な後輩を副工房長に任命して来ましたんで」


いやいや、そんなこと勝手に決められても。


「だって、アタト様は春まで戻って来ないって言うじゃないですかー。 アタト様がいないと辺境はつまんないんですよ」


そう言って、馬車に乗り込んで来た。




 見送りに出ていたサンテが、ガビーの行動を見て驚く。


「え、ガビーさんも行くの?」


僕はため息を吐いた。


「仕方ない。 今日だけだぞ」


追加で固形墨と硯が必要になるかも知れないからな。


「ありがとうございます!」


ガビーが満面の笑みを浮かべた。


「ズルい!、おれも行く」


は?。


仕事用の執事服を着たサンテも馬車に乗り込んで来る。


『アタト様、急ぎませんと』


モリヒトが冷静に急かす。


分かってるよ。


「キラン」


馬車が動き出した。




 目の前でガビーとサンテが近況を報告し合う。


キャッキャッと楽しそうな笑顔に「今日だけだからな」と、念押しする。


「はい!」「分かってますー」


能天気そうな2人を見ていると本当に頭が痛い。


「……モリヒト」


『はい』


「サンテの容姿を変えられるか?」


日頃から人出の多い教会は、御神託の影響でさらに人が増えている。


『防御結界と認識阻害を掛けましょうか?』


いや、もっと簡単でいい。




「髪と目の色だけを誤魔化せないかな」


しばらく考えていたモリヒトは、サンテに話し掛ける。


『サンテ、少し触ってもいいですか?』


「あ、はいっ」


サンテはビクッとして、頷く。


モリヒトの手がサンテの頭に触れ、ブツブツと呟くと髪と目の色が黒くなった。


『幻惑の魔法です。 スルスル、この魔力は吸わないようにしなさい』


サンテの服の隙間から顔を出したスルスルはピョコピョコと縦に揺れた。


『キツく固定しましたので簡単には解けないでしょう』


そか、助かる。


サンテは当分の間、金髪青目を封印し、黒髪黒目で過ごすことになった。


「ガビー。 サンテが容姿を変えていることは内密にな」


「は、はいっ」


サンテはガビーに、先日、拐われかけた話をする。


ガビーは驚きながら「無事で良かった」と喜んだ。


「なるほど。 だから、なんですね」


容姿を変える必要があると納得した。


教会に着いたらイブさんたちにも口止めが必要かな。


まあ大人だから察してくれるだろ。




 白馬の馬車が教会前に到着。


キランは辺境伯邸に戻り、領兵やバムくんと訓練をしたり、貴族街の噂を集めたりする。


「夕方までに迎えを頼む」


「承知いたしました」


馬車から離れ、教会内に入る。


 人の多さにガビーが目を丸くした。


前日と同じようにまた男性の神官見習いたちが駆け寄って来て、僕を囲む。


「アタト様、お待ちしておりました!」


「神官長様がご立腹なのです。 私が取りなしてー」


ワーワーと煩い。


こういう時は子供の体はありがたい。


するりと抜けてモリヒトの後ろに着き、アダムたちがいる場所へと向かう。




 中央から教務堂に入ると人が減る。


そこへやって来たのは、教会王都本部警備隊の隊長の老騎士である。


「こんにちは」


「うむ」


ぶっきらぼうに挨拶を返された。


警備隊の若者を数名、連れているけど、何かあったのかな?。


「ここから先は、用の無い者はご遠慮願おう」


僕を追って来た見習いたちを睨む。


「いやいや、我々は神官長のために早くご案内しようと」


「そうです!。 お役に立てるようにとがんばっております」


見習いたちが食い下がるが無駄な抵抗だった。


「そなたらは昼食配膳の時間であろう?。 サッサと仕事に戻られよ」


老騎士は、それぞれの顔や仕事も把握していて、諭すように穏やかに追い払う。


さすが年の功だな。




「ありがとうございます。 助かりました」


僕がそう言って礼を取ると、老騎士はため息を吐く。


「失礼だが、エルフ殿が来られると必ず騒動になるの」


白い髭を撫でながら苦言を溢す。


「何かありましたか?」


ピクリと片眉が上がる。


「ちょうど同じ所に向かっておるようだ」


僕たちを囲むように警備隊員たちが動く。


ヒヤリとした汗を感じ、イブさんたちが心配になる。


アダムからは何も言って来ないから大丈夫だとは思うが。




 前回の教室に向かっていると思ったが、子供たちの食堂の近くに出た。


廊下にティモシーさんの姿が見える。


「どうしたんですか?」


ティモシーさんは目を逸らし、黙って小部屋の扉を開く。


「あれ?」


イブさんと3人の子供たちが居た。


年長の少年は相変わらず何もしていないが、残り2人の少女は一生懸命に墨を磨っている。


「アタト様?、どうしてこちらに」


それより、アダムとゼイフル司書がいない。


「まあ、サンテくん?」


黒髪黒目の姿を見て、イブさんは珍しそうにジロジロと眺め、


「サンテくん、カッコいいですね」


と、微笑んだ。


色々と事情は聞いているのだろう。




「アダムはどうしました?」


守れと命じたはずだ。


しかも、お気に入りのイブさんの傍を離れるなんて。


「すみません。 私から説明しますので、こちらに」


ティモシーさんから声を掛けられ、廊下に出る。


老騎士と警備隊員たちは先に行ったようで、そこにはいなかった。


「ガビーとサンテはイブさんの手伝いを頼む」


「分かりました」


不穏な空気を感じ取り、2人は部屋に残る。


僕とモリヒトはティモシーさんの後ろを着いて行く。


「実は、先日の教師の方々なんですが」


イブさんが話そうとしても意味の無い質問や嫌味を言い、ただ騒ぐばかり。


それでイブさんだけを子供部屋に移したそうだ。



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