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異世界を信じる者たちへ 〜何故かエルフになった僕〜  作者: さつき けい


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第四百四十三話・王都の滞在予定


 歩きながら、僕はサンテに確かめなきゃならないことを思い出した。


「サンテ、一つ訊いていいか?」


「なに?」


「魔力も安定してきてるし、王都でおねえさんセンセーと一緒に生活してもいいんだが、どうする?」


ヤマ神官なら預かってくれるだろう。


サンテの気配がピリッとした。


「え、だって、おれ、アタトの弱み握ってんだぜ」


それがどうした。


ハナを対象にしたらビビってたくせに、えらく強気だな。


「いや。 世界中どこにいたって契約は有効だから、別に傍にいなくても監視出来るけど?」


そう言ったら不満そうに頬を膨らませた。


「アタトはおれたちのこと、邪魔なの?」


そんなことを言い出す。


「いや、まったく。 ただ、辺境地は遠いからさ」


会いたくても気軽に来られる距離じゃない。


今回はたまたまモリヒトが協力してくれたけど、基本的にはアレは僕の傍を離れたがらないからな。


「ううん、おれはへーき。 おねえさんはエルフだし、水の精霊様もいるなら大丈夫だと思うし」




 そして、サンテは立ち止まる。


「たぶん、おれがアタトの傍にいたいんだ」


なんだか声が明るい。


「やっと、なんだか生きてて良かったって思えて来たとこでさ」


子供のくせに何言ってんだか。


僕はサンテの背中をバシッと叩く。


「楽しくなるのはこれからだぞ」


まだサンテたちの人生は始まって間もない。


これからこれから。


そう呟きながら、僕の胸の中に淀む不安。


早くあっちも方をつけないとな。




 別室にはイブさんやハナ、ティモシーさんとグレイソン神官が、ヤマ神官の見習いたちと一緒に待っていた。


アダムとサンテが一生懸命説明しているが、要領を得ないようで。


「ちょっと聞いて参ります」


痺れを切らし、グレイソン神官が部屋を出て行った。


まあ、僕でもそうなるよ。


「アダム、任せていいか。 僕は少し休むよ」


部屋の隅に衝立を設置、その影に小さな寝台を置く。


適当に野営用の寝具を出して横になった。


 まったく、どうしてこんなに疲れるのか。


魔力消費に問題はないはずなんだがな。


その辺りで会話は聞こえなくなったから、僕は睡魔に完敗したみたいだ。




 目が覚めると、辺境伯王都邸の部屋に居た。


ちゃんと着替えてベッドに。


『おはようございます』


えっ、もうそんな時間?。


「まさか、またやったのか」


『はい。 アタト様はまだ肉体が幼いのですから、ご養生頂きませんと』


つまり、モリヒトが勝手に僕を眠らせていたということだ。


『完全に回復するまでは目覚めないようにしただけです』


あーそー。


お陰様で夢も見なかったよ。




 軽く朝の身支度を済ませてテーブルに着く。


甘いコーヒーとバター付きパン、チーズに温野菜と果物が並ぶ。


お腹が空いていたのは、あれから食事を取っていなかったからだろう。


「アタト!、起きたか」


乱暴だな、サンテ。 静かにしろ。


「おはようございます」


ハナは静かに入って来た。 偉いな、ヨシヨシ。


「朝食がまだなら一緒にどう?」


「いいの?」


僕ではなく、モリヒトに確認する。


『はい。 どうぞ、お座りください』


「ありがとうございます」


いやいや、僕との対応がずいぶん違うな。


「でもすごく心配してたんですよ。 アタト様、丸2日寝たままでしたから」


は?。


「2日?」


「うん。 今日で3日目」


なんなんだよ、もう。




 モリヒトを睨んだら、食後のデザートにケーキが出た。


『私は教会で水の精霊の住処をつくる作業に駆り出れていましたので、その間、アタト様には休んで頂きました』


はあ、まあ、モリヒトがいないと僕は外出も出来ないからなあ。


しかし、ケーキは子供扱い過ぎないか?。


双子は喜んでるから良いが。


パクッ。 うん、美味い。


「なあ、モリヒト。 これ、どこの?」


王都の菓子店か、この館の料理人か。


今まで出された中で一番美味いよ。


『ヨシローさんの店でご指導頂き、私が作りました』


え……、これをモリヒトが?。


『材料がなかなか手に入りませんでしたが、王都の市場で見つけましたので』


凝り性のモリヒトらしい。 材料にも拘った逸品。


「すごいです、モリヒトさん。 とっても美味しい!」


「ウンウン」


双子も大絶賛である。


扉の近くに立っているキランがドヤ顔なのは意味不明だ。




「で、教会のほうは終わったのか?」


『はい、概ね出来上がりました。 後は実際に住んでもらって調整するだけです』


ん?、それって。


「何日くらい掛かりそうなの?」


『そうですね。 天候や気温の変化での耐久もみたいので一年』


な、なんだと?。


『というのは長過ぎますので、短くても半年ですね』


冗談じゃない!。


僕は立ち上がり、テーブルを叩く。


「半年も王都にいろっていうのか!。 そんなこと、出来るわけない」


僕には商会の仕事があるんだ。


「モリヒトだけがたまに顔を出せばいいだろ!」


『ええ、そのつもりです』




 頭が痛い。


「どういうこと?」


『おや。 アタト様はまだ寝ぼけていらっしゃるようですね。 私はずっと王都に滞在する必要があるとは言ってませんが』


やーらーれーたー。


僕は眷属精霊に言い合いで負けた上に、テーブルに突っ伏す情けない姿を双子に見せてしまった。


はあ、ヤダヤダ。


『滞在期間につきましては、そろそろ雪の季節なので、こちらで冬越しもよろしいかと存じます』


約3ヶ月か。


モリヒトがそれで良いならいいよ、もう。


アタト商会から急ぎの連絡があれば、モリヒトが連れてってくれるんだろう。


『アタト様の修行も兼ねて、往復すればよろしいかと思われます』


ガーン。


どうやらその間、空間移動の修行をさせられるらしい。




『アタト様は最近、魔法や戦闘の修行が疎かになっておりますから』


体が睡眠を要求するのは、基礎が足りないせいなんだとさ。


『魔力ばかり増えても正しく使えないから、体に負担が掛かっているのではないですか。 日頃の鍛錬が足りないからです』


「いや、だって本当に忙しくて」


『アタト様は他人の面倒を見過ぎです。 だから、ご自分の時間が不足するんです』


クドクドクド……。


眷属に説教される僕を、双子とキランが哀れみの目で見ていた。



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