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異世界を信じる者たちへ 〜何故かエルフになった僕〜  作者: さつき けい


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第四百二十三話・二度目の王都への旅


 僕は王都行きの日程を考える。


「モリヒトの空間移動はどこまで行ける?」


『アタト様だけを運ぶのでしたら地の果てまでです』


はあ?、冗談だよね、それ。


『きちんと情報が入っている場所ならば可能です。 自分ひとりならば何もなくても行けますが』


さすモリ。


移動先に変動がないかを確認して、障害物があればそれを避けて到着する。


僕を運ぶ場合は勿論、モリヒト自身が念の為、一度飛んで確認はするそうだ。


精霊だけなら、本体は光の玉だから多少のことがあっても問題なし。


どこでも行けるらしい。


「でも、王都に一直線で行くのはちょっとヤバいな」


確かに、王宮に入っても良いという承認証はもらってある。


だけど、これは緊急事態用だ。


どうせ騒ぎになるのは目に見えてるが。




 しかも今回の行き先は教会本部。


そっちの出入りに関しては確約がない。


最悪、不法侵入で捕まる。


「やっぱり、アリーヤさんの街までにしよう」


そこから馬車で王都入り。


馬車1台と馬3頭かな。


それと精霊2体だから護衛は十分だろうし。


アダムが戦えるのかどうかは知らないが、まあ大丈夫だろ。




「そういえば、同行者は決まったの?」


あれから2日経っている。


モリヒトがピラッと1枚の紙を渡して来た。


ん?、名簿か。


「イブさんは分かるけど、サンテにゼイフル司書、スーにキラン。 護衛がティモシーさん、バムくん、ドワーフ治安隊のドンキって」


なんだよ、これ。




『はい。 実はイブさんが司書さんに随行する形にしたいと教会に申請いたしまして、ティモシーさんの同行を条件に許可が下りました』


許可が出たなら、まあいいか。


やはり2人は顔見知りだったようで、味方が増えるのは有難い。


司書さんなら安心だ。


『女性がイブさんひとりというのは拙いとのことで、ハナ、ガビー、スーで誰が一番相応しいかを協議したところ』


「スーが勝ったと」


口論でスーに勝てる女性はいないだろうな。


『以前から、ドワーフ族が旅をする場合、他種族の中でひとりというのはダメだと言われておりまして。 保安隊からドンキくんが参加になりました』


ドワーフ族の行商人ロタ氏がそう言ったというなら、そうなんだろう。


聞いたことはないが。


ドンキくん、やけに早く来たと思ったら、ちょうどエンディ領から辺境地のドワーフ地下街に戻る途中だったらしい。


 キランとバムくんに関しては、交代で馬車の御者と馬の世話をするためである。




「分かった。 だけどサンテは拙いだろ」


たとえ本人の希望でも、せっかく王都の悪い仲間から引き離したのに。


『それが。 ご領主にアタト様が王都へ行く話が教会から漏れまして。 それならサンテリーくんを連れて行ってほしいと要請が来ました』


グヘッ。


例の隣国からの亡命者絡みか。


おそらく、ご領主は王宮の外交部辺りから、ねじ込まれてたんだろうなあ。


「とりあえず、一度会わせて様子を見たいのかもな」


ご領主にすれば、自分の足元で騒ぎが起こるのは嫌だし、領民に何かあっては困る、は理解出来る。


だけど、問題はサンテ自身だ。


「親や自分の出自しゅつじの話をどこまで知ってるのやら」


たぶん詳しいことは知らないんじゃないかな。


『サンテは王都行きを希望しています。 会わせるかどうかは別として、連れて行くことは構わないと思いますが』


まあなあ。


「ハナはなんて?。 サンテが王都に行くと、しばらくは会えないけど」


寂しいはずだが、決定には従うと言う。


『ガビーさんが面倒を見るそうです』


ああ。 絵画をやりたそうだったからな。


寂しさは紛らわせるか。


また何かあればモリヒトの分身に報告してもらうようにして、僕たちは王都への旅に出ることになった。




 その日は秋にしては冷え込んだ。


モリヒトが商会本部の前庭に空間移動用の結界を張る。


『受け入れ先を確認してまいります』


「うん、頼む」


一旦、モリヒトがアリーヤさんの家を訊ね、僕たちが出現出来る場所を確保する。


その後に第一陣として馬車1台と、馬は騎乗用も合わせて4頭。


馬たちと共にキランとバムくんが先行して飛ぶ。




「冬が近いですからね」


僕は食堂の老夫婦から弁当を受け取る。


「ありがとうございます。 皆さんも暖かくしてくださいね。 冬用の食材は多めに仕入れても構いません。 雪で遅れることもありますので」


「分かった分かった。 そんなに心配しなくても大丈夫だ」


「どっちが年寄りか分からん」と旦那さんに呆れられた。




「スー、荷物は忘れないように」


「分かってるわよ、ガビー。 昨夜から何度も煩いわね」


「だってー、心配で」


ドワーフ娘の2人の横で、ドワーフらしい体形の巻き毛の若者が笑っている。


「荷物はオレが持つよ」


そう言ってスーから荷物を奪うと、サッサと馬車に放り込んだ。


「もうっ、乱暴ね!」


スーはプリプリと怒る。


あの2人は相性が良くないのかな、先が思いやられる。




 ケイトリン嬢とヨシローが見送りに来ていた。


「ティモシー、気を付けてな」


「ああ。 ヨシローは私がいなくてもおとなしくしていろよ」


「大丈夫ですわ。 私が見張っております」


ヨシローはかなり一緒に行きたそうだったが、領主館での仕事が溜まっているので却下である。


ていうか、今回、ヨシローは呼ばれてないからな。


「アタトくんも、あまり無理はしないように」


「はい、皆様も。 何かあれば遠慮なく報告してください」


僕はニコリと微笑んだ。




 モリヒトが戻って来たので、最初の組が出発。


向こうで到着分の整理が終わり、モリヒトが戻って来たら残り全員をまとめて飛ぶ。


「では、行ってまいります」


「あ!、アタト様、これを」


ガビーに小箱を渡された。


「少し早いですけど、お誕生日の贈り物です。 もしかしたら、その日は会えないかも知れないですから」


へえ、覚えてたのか。


 僕の誕生日というか、身寄りのない僕が森で拾われた日だ。


冬の真ん中の日。


その日まで約2ヶ月、戻って来られるかどうかは微妙だな。


「ありがとう。 その日に開けるのを楽しみにして持っておくよ」


僕がそう言うと、ガビーは嬉しそうに微笑んだ。



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