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翌日朝早くに眼が覚めた。外を見るとちょうど日が昇るところだった。街並みが見えたけどヨーロッパのような感じだと思う。
庭らしきところで常磐さんが体を動かしているのが見えた。空手とかの型なのかな。さまになっていて見ていると、カッコいい。その内昨日の騎士さんの一人と剣をもって対峙し始めた。剣道とは違う構えだけど、あの人、剣も使えるの?剣の構えも妙にさまになっている。私は思わず見とれてしまった。
どっちが勝ったのかは分からないけどしばらくやりあったあと、剣を納め、騎士さんとなにか話をしていた。そして騎士さんがこっちを指差してーーーえ?2人ともこっちに来る!?
「おはよう。ゆっくり休めた?」
常磐さんが聞いてきた。
「おはようございます。あの……」
「気は付いてたよ。体をほぐしているときから見てたでしょ」
見ていたこと、気が付いていたんだ、と思ったら顔が熱くなった。
「ちょっと待ってて。汗を流してくるから」
常磐さんは騎士さんと行ってしまった。
戻ってきた騎士さんが、朝食を持ってきてくれたけど、多すぎます!!パンとスープと果物と、って種類はいいんだけど、パンが三つと、スープはカフェオレボウルを一回り大きくした感じのに入っているし、果物も何種類あるの?これ。結局スープとパンを1つ食べて他は残してしまった。常磐さんはペロッと食べていたけど。
騎士さんはデルソル・ベリーズさんと名乗った。金髪碧眼。絵にかいたようなイケメンさんだ。常磐さんと気が合うらしく今も笑顔で話している。でもここ、私の部屋なんですけど。
男の人が2人部屋にいると思うと恐怖が襲ってきた。どうしよう。あの時みたいになったら。そう思うと怖くてたまらなくなる。
話が終わったのか、デルソルさんは出ていった。食べ終わった食器も持っていってくれた。
「どうした?大丈夫か?悪い。女の子の部屋に入り込んで、デリカシーがないよな」
黙り混んだ私を常磐さんが気遣ってくれる。けど言えない。あの時みたいに、あの時の後みたいにまた期待を踏みにじられたら、怖い。
「何でもないです」
笑顔を見せたつもりだけれど、うまく笑えていなかったみたいで、常磐さんは私を心配そうに見ていた。
昨日のシスターさんが来てくれて、今日のスケジュールを伝えてくれた。朝の鐘が2つ鳴ったらまずこの世界の事とそれぞれの魔法属性について教えてくれるらしい。確か朝食の前に鐘が1つなっていたから、次に鐘が鳴ったときかな。それまでは自由にしていてくださいと言われた。
ホウキや雑巾が備え付けの棚の中にあったから、さっと掃除をして、シーツを軽く直しておく。
鐘が2つ鳴ったとき、シスターさんが来て、部屋を移動するという。机がいくつかとその上に昨日の水晶玉が2つと、金属板?が置かれていた。
ここは勉強するための部屋かな?ペンと何枚かの紙も置いてあった。私たちが座るとシスターさんが口を開いた。
「ようこそお越しくださいました、異邦人様方。私はこの神殿でシスターをさせていただいておりますスティーリア・クリスタと申します。今回トキワヤマト様とシロヤマサクラ様のお世話係を任されました。未熟者ですがよろしくお願い致します」
常磐さんは苦笑いをしながら挨拶をした。
「これはご丁寧にありがとうございます。ファーストネームは大和ですのでそちらで呼んでいただいても、ファミリーネームの常磐で呼んでいただいても構いません。よろしくお願いします」
私も挨拶をする。
「白山 咲楽、こちらの言い方でいうとサクラ シロヤマです。よろしくお願いします」
「ではまず最初にお詫びを申し上げます。昨日真贋判定の魔道具と言って触っていただいた水晶玉ですが、あれは真贋判定の他に魔力属性も調べることができます。昨日の判定の際に光ったと思いますが、あれで属性判断をさせていただきました。騙したようになって申し訳ありません」
スティーリアさんが頭を下げた。
常磐さんは笑いながら言う。
「そうじゃないかと思いましたよ。2人で光の色が違いましたし。それで?私達の属性はなんだったのですか?光の色のイメージでこれかな?と言うのはありますが。教えていただけますか」
「はい。トキワ様が火と地。シロヤマ様が水と風と地と光と闇でした。シロヤマ様は5種類と言う驚きの結果です」
「え?普通は何種類くらいなんですか?」
「一般の者で1~2種類です。たまに3属性持ちも居ますが。王宮魔術師様で3~4種類、王宮魔術師筆頭様は5種類です。シロヤマ様は筆頭様と同等なのです」
スティーリアさんが教えてくれる。
「まずは魔力を感じてみましょう。トキワ様、手を貸していただけますか」
スティーリアさんが常磐さんの手を取る。
「では今から少し魔力を流します。感じ取れたら言ってくださいね」
魔力かぁ。ラノベなんかだと暖かい感じが、とか、身体の中になにかが巡って~とか言っているやつだよね。自分では分からないのかな?うーん。うん?分かんない。私が一人でやっていると、常磐さんから透明な靄みたいなのが出ていることに気がついた。何あれ?よく見るとスティーリアさんも、身体を透明な靄みたいなのが覆ってる。
「あぁ、この暖かい感じがそうですか?」
ふいに常磐さんの声が聞こえた。
「そうです。それを身体の中で自由に動かせるように、少し練習しておいてください」
スティーリアさんが常磐さんの手を離してこちらに来る。そして私の手を取ってにっこりと笑った。
「ではシロヤマ様もやってみましょうか。少し魔力を流しますね」
そう言うと手がほんわかと暖かくなる。同時にスティーリアさんの身体がうっすらと透明な靄みたいなのに覆われ始めた。
「スティーリアさん、その身体を覆っている透明な靄みたいなの、何ですか?」
私が聞くとスティーリアさんはビックリしたように私を見る。
「え?シロヤマ様は魔力が見えるのですか?」
魔力って見えるものなんだ。
「なんだかスティーリアさんの身体を透明な靄みたいなのが覆ってるんですけど……」
「ホントに見えてる……。と、とにかく魔力を感じ取るところまでやってしまいましょう」
うーん。あ、スティーリアさんに握られている手から、暖かいのが腕を伝って心臓の辺りまで広がってきた。
「なんだか暖かいのが心臓の辺りまで来ましたけど」
「それが魔力です。ではシロヤマ様も身体の中で自由に動かせるように、練習してみてください。あ、シロヤマ様、私の手のひらを見ていただけますか?」
ん?スティーリアさんの手のひらに赤っぽい靄みたいなのが見える。
「赤っぽい靄みたいなのが見えますけど」
「では、これは?」
今度は白っぽくなった。
「白っぽい靄みたいなのになりました」
「ええっと……属性の色も見えてる、みたいですね。これはちょっと私では役に立たないかも……」
スティーリアさんは呟くとにっこりと笑った。
「お二方とも、この魔力を感じ、動かすと言うのが魔力操作の第一段階です。これができないと魔法が使えません。ただ、魔力を動かす、と言うのはすぐにできることではありません。なので授業が終わってからも、練習しておいてくださいね」
そうなんだ。ん~。ちょっと動いた気がするんだけど?
ふ、と常磐さんを見るとなんだか変な顔をしている。百面相みたい。ちょっと面白い。
しばらく練習を続けていると、スティーリアさんがパン、パンと手を叩いた。
「では、この世界の事をお話しさせていただきますね。机に置いてある筆記具やメモはご自由にお使いください。この世界には魔法があり、魔物がいます。お二方のいらした世界には魔法はなかったのですよね?」
私たちは黙ってうなずく。
「この国はコラダーム王国と言います。隣接しているのは西にヘリオール王国。北にモリオン皇国。東と南が海に繋がっています。東の海は龍神さまの住まう海、と伝えられております。なので船を出す方はほぼいらっしゃいません。竜神さまのお怒りに触れると災害が起こると言われておりますから。南の海は風光明媚な場所です。こちらは沖に出ると海魔が襲ってくることがあり、浅瀬で水遊びはできるのですが、沖に出ることができません。南のコーラル様の治めておられるコーラル領は暑い季節にはそれはもう、賑わいを見せるのですよ。今はもう涼しくなってきましたから、賑わいも落ち着いた頃でしょうか。
この世界には4つの季節がございます。一番寒いのがコルド、次に花の咲き誇るフラー、一番暑いホア、コルドへと向かう今の季節がアウトゥと言います。
次にその一つ一つの季節を3つに分けます。順にフラーの花の月、風の月、水の月、ホアの熱の月、酷熱の月、実りの月、アウトゥの空の月、眠りの月、星の月、コルドの一番から霜の月、氷の月、芽生えの月となっております。今は空の月ですね。1年の始まりは花の月です。
1つの月は30の日に分けられております。それを6日毎に光、火、土、緑、木、闇に分けます。闇の日は安息日となっておりますので商人の方もお休みになられる方が多いです。今日は実りの月、緑の日ですね」
と、言うことは、1年が360日、12月に分けられる。季節が4つあって、一週間は6日ですか。地球と大きく違うと言うことはないみたい。
「1日は一刻毎に鐘を鳴らします。朝の1の鐘から2の鐘、3の鐘でお昼、昼の4の鐘、5の鐘、6の鐘、5の鐘から6の鐘の間に夕食を取られる方が多いですね。夜の7の鐘、8の鐘。8の鐘は気が付かれない方が多いですね。皆さんお休みになっておられますので。鐘守の方がいらして、この方々のお陰で時刻を知ることができるのですよ。鐘守は大変名誉な仕事なのです」
1日に8回鐘が鳴ると。1刻が3時間くらいかな。
「ここ、神殿では1の鐘で朝食、3の鐘で昼食、5の鐘で夕食となります。もちろん神殿ですから、朝食の前のお祈りの時間がありますけどね」
朝の6時と12時、夕方6時が食事時間かぁ。
「そろそろ3の鐘が鳴るでしょうか。本日はここまでにいたしましょう。魔力操作の練習はしておいてくださいね。シロヤマ様は魔法の授業になったら専任の方がつくかもしれませんね。やはり、女の方のほうが良いですか?」
スティーリアさんに聞かれた。うーん、男性と2人きりで、ってなると怖いかも。
「はい。女性の方でお願いできますか」
私が答えると、スティーリアさんは頷いて部屋を出ていった。
「白山さんは魔力が見えるのか」
ふいに常磐さんに聞かれた。
「あ、はい。あれがそうなんですかね。モヤモヤっとしたものが身体の周りに見えたんですけど」
「モヤモヤ?俺には見えないんだけど」
常磐さんが何か言ってる。その時、スティーリアさんが慌てた様子で戻ってきた。
「すみません。魔力量を測るのを忘れていました。この板に手を置いていただけますか」
常磐さんが銀色の金属板に手を置くと、ガコッと音がして紙が出てきた。あの紙どこから出てきたの?
「トキワ様は1500ですか、神殿騎士様並ですね。ではシロヤマ様、どうぞ」
私も手を置く。同じ様にガコッと音がして紙が出てきた。
「シロヤマ様は……え?37000?魔力量も王宮魔術師筆頭様位って……」
「あの、普通はどの位なんですか?」
私が聞くとスティーリアさんはハッとしたようにこちらを見て、答えてくれた。
「魔力量は一般の者で500位。神殿騎士になるには1000以上と定められております。私ども神殿の者で1000から3000位でしょうか。魔術師様で10000位、王宮魔術師様になりますと20000以上と言われております。今の王宮魔術師筆頭様が40000と言われておりますね」
「じゃあ、白山さんは王宮魔術師も夢じゃない、と」
常磐さんが言う。
「はい。夢じゃないどころか余裕でなれるでしょうね。あ、言い忘れておりました。異邦人であられるお二方には、一度陛下に謁見していただきたいのです。これは何もこの国所属や臣下となれ、と言っているわけではなく、一般の暮らしができるようになるまで神殿が保護をした、と言う顔見せのためですね。シロヤマ様の魔力量を他の貴族に知られると煩わしいことになるかもしれませんが、神殿の保護対象と言うことを知らしめれば、少なくとも無理にどうこうする、という輩は湧きませんでしょう。謁見の日時が決まればお知らせいたしますが、お衣装はどういたしましょうか。トキワ様は騎士風のお衣装、シロヤマ様はドレスをお作りいたしましょうか。この神殿の衣装部の者にお任せいただければ素敵なお衣装を作ってくれますでしょう」
スティーリアさんがニコニコしながらとんでもないことを言ってきた。
え?衣装を作るって……。えぇ?ドレスを作る?この格好じゃ、ダメなの?
「正式な衣装でないと駄目ということでしょうか」
常盤さんも戸惑いを隠せないみたい。
「そういう訳ではないのですが。最近衣装部の者がシスターの服にアレンジを加え始めまして。雑巾に刺繍を入れたりし始めましたので……ダメですか?」
スティーリアさん、ズルい。そんなうるうるした目で見られたら断れない。スティーリアさんって金髪に深い緑の瞳の美人さんだから、そんなおねだりされたら断れない。
常盤さんも困ってる、よね。そっと常磐さんを見ると苦笑していた。
「その辺りは相談したいのですが。いつまでに返事をすれば良いですか」
「明日の授業の時にお聞かせいただけますか。多分、謁見が10日後以降となりますので。神殿の衣装部の者は優秀ですので、5日もあれば出来ますよ」
5日でドレスが出来るの?早すぎない?
と、鐘が3回鳴った。
「お昼ですね。ご一緒にいかがですか?」
「このメモを部屋に置いてきて良いですか?」
「ご案内は……」
「……お願いします」
部屋へと移動しながら、スティーリアさんが言った。
「お二方とも、言葉は崩していただいて結構ですよ。特にトキワ様、騎士ベリーズ様にうかがっております。朝から一緒に鍛練されていたとか。どうぞ普段通りのお言葉でお話しください。シロヤマ様もお願いしますね」
にっこりと微笑まれた。
部屋に着いてメモを置くと、食堂に案内される。
食堂には20人位の人がいた。交代でお昼を取るので全部でこの神殿には50~60人くらいいるらしい。門番さんとか清掃の人とか、闇の日にも働いているので、交代で休みの日があるんだって。
お昼はやっぱり多かった。パンが3つに薄切りのお肉を焼いたの山盛り、飲み物。
多すぎることを伝えるとビックリされたけど、残すのも悪いから、と、パン1つとお肉は半分くらいにしてもらった。
「シロヤマ様は少食なのですね」
スティーリアさんにそう言われたけれど、無理なものは無理です。常磐さんは普通に食べてた。皆さん、あれだけの量はどこに入るんだろう?
お昼を食べたあとまた部屋まで送ってもらい常磐さんと衣装について相談をした。
「衣装、どうする?堅苦しいのはあまり好きじゃないんだが」
「正直に言いますと、私も堅苦しいのは好きじゃないです。けど、あんな風にお願いされたら断りにくいです」
「だよなぁ。断りにくいんだよ。申し出を受けておくか?できるだけシンプルな形でって条件を付けて」
「それしかないような気がします」
ふぅーーっと二人でため息をつく、そのタイミングが同じで、思わず笑ってしまった。すると常磐さんが笑顔で言った。
「やっと笑ったな。昨日から無理していたんじゃないのか?俺は今朝から身体を動かして、少しは発散できたけど、白山さんはそういう訳にもいかなかっただろう?」
「え?」
「気になっててな。昨日は『帰った人の記録がない』って言われてから暗い顔してたし、俺も含め、男性と一緒だと固くなっている気がしたし。このまま閉じ籠ってしまうんじゃないかってヒヤヒヤしてた。夕べは少し魘されてたみたいだし」
気付かれてた!?どうしよう……
「そんな顔しないで。迷惑だなんて思ってないし。何かあったんだろうな、って気にはなるけど、無理に聞き出したりしないから。白山さんは笑ってる方が可愛いよ。それに今、ここにいる日本人は俺達二人だけみたいだし、いつまでもよそよそしいのも何か違う気がするし」
優しくそう言われて、頼ってしまいたくなる。でもダメ。常磐さんも異世界転移なんて、異常事態に巻き込まれて大変なんだし、それに頼ってしまって、いざという時にあの時のアイツ等のように裏切られたら……
「とにかく、言いたくなったら言って。迷惑だとか気にしなくていいから。そうじゃなくても何かあったら、話し合った方がいいと思うしね」
そう言われて涙が溢れてきた。今まで我慢してたのに。
「はい。すみません。ご心配をおかけして」
そう言って泣いてしまった。常磐さんはそこにいてくれた。何も言わず。その優しさが温かかった。
ひとしきり泣いて落ち着いてから顔を冷やしていたらドアの外が騒がしくなった。
「……お願いします!!少しでも……」
「……もう少し……」
「……そんな……」
「あぁー!!お待ちください!!」
なんだろう?常磐さんがドアを開ける。そこにはスティーリアさんと騎士さんと知らない女の人3人がいた。
スティーリアさんが困った顔で言う。
「申し訳ございません。この者達が神殿衣装部の者の代表でして。どこからかお二人の事を聞き付けたらしく、どうしてもお衣装を作りたいと。お騒がせして申し訳ございません」
「騒がしくして申し訳ありません。神殿衣装部です。是非ともお二人のお衣装を作らせてください!!お願いします!!」
常磐さんと二人、顔を見合わせる。
「衣装の件は頼もうと思っていましたから。よろしくお願いします」
常磐さんがそう言うと、きゃあ、と歓声が起こった。
「「「こちらこそお願いします!!」」」
3人の声が綺麗にハモった。
採寸は明日にしてもらって私は衣装部の方々に取り囲まれ、ドレスの型を決めることになった。
常磐さん?あっという間に決まってたよ。衣装部の方達が常磐さんを見たとたんに凄い勢いで言うんだもん。
「この方は騎士服風の衣装、一択です。異論ありませんね!?」
って。
「出来るだけ、シンプルなデザインでお願いします」
常磐さんも苦笑いしながらそう言うしかなかったみたい。
私のドレスはAライン、プリンセスラインの2つのパターンで揉めた。
私はシンプルな方がいいからAラインが良いって言ったし、衣装部の3人は私が小柄だからってプリンセスラインを推してくる。ただ3人の内の1人、コリンさんが途中からAライン推しになってくれた。とは言ってもどちらも譲らなくて、付いてきた騎士さんのプロクスさんが
「トキワ様が騎士風なのなら、スッキリとしたこちら(Aライン)の方がいいのでは?ごてごてしたものより、シロヤマ様の可憐さを出した方が……」
と、言ってくれて、Aラインに決まったんだけど……可憐さ?誰の事?
まぁとりあえず、シンプルな型になって良かったよ。
ドレスの型が決まった頃には5の鐘が鳴る直前だった。
私がドレスの型を決めているときにスティーリアさんと常磐さんは、何かを話していたけど、何を話していたんだろう?
後から常磐さんに聞いてみた。
「大したことじゃないよ、こっちの暮らしはどうだ?、とか、不自由はないか、とかそんな事だよ」
そう言われてしまった。本当ならそれで良いんだけど、考えすぎなのかな。ちょっと深刻そうだったんだけど。
ーー異世界転移、2日目終了ーー