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気が付いたら石造りの部屋に横たわっていた。


「ここどこ?」


床には絨毯が敷かれていて固さは感じるけど痛みはない。と、思ったその時、頭を殴られたような痛みを感じた。頭痛はどんどん酷くなって、その余りの痛みに私は意識を手放した。


「君、君、大丈夫か!?」


肩を叩かれる感覚に意識を取り戻す。


あれだけの頭痛だ。もしかしたら脳出血とか脳梗塞の類いかも、と思い、手足の不具合を確かめる。右手足、麻痺無し。指もちゃんと動く。左も同様。


ゆっくり目を開けると短髪のお兄さんが心配そうに覗き込んでいた。


その顔の近さにビックリすると同時に恐怖が襲ってきた。


「大丈夫そうだな」


とお兄さんは呟いて離れてくれた。


その時、部屋の外に複数の足音がした。慌てて立とうとしたけど、目眩(めまい)がして倒れそうになる。お兄さんが支えてくれた。肩を抱かれる形になった。


恐怖がまた襲ってくる。


ドアらしき所が開き、入ってきたのは西洋中世風の鎧を身に付けた男の人2人と白い修道女のような服を着た女の人2人。


「結界の揺らぎを感じてきてみれば、あなた方はどなたです?」


女の人の年上の方の人に聞かれたけど、ここがどこか分からない。答えあぐねていると、お兄さんが先に答え始めた。


「私は常磐 大和(トキワ ヤマト)と言う。ここはどこですか?」


私も少し震えながら名乗った。


「私は白山 咲楽(シロヤマ サクラ)です」


女の人が言う。


「トキワヤマトさんとシロヤマサクラさん?あなた方はどこから入ったのですか?この部屋には結界が張ってあって外からは入れない筈なのですが」


「ここはどこなのですか?」


と、常盤さんが再び聞いた。


「ここはコラダーム国の王都、ルビアの神殿です。あなた方はどこから来たのです?」


女の人のその答えに思わず2人で顔を見合わせる。聞いた事の無い国だ。もちろん私は世界の国名を知っているわけではないけれど、コラダーム国なんて知らない。


「常磐さん?コラダーム国って聞いた事、あります?」


「いや、知らないけど……」


「教主様、こちらの女の方、顔色が悪いです。少しお休みいただいては?」


私達の戸惑いを見てとったのか、もう1人の女の人が言ってくれた。


その言葉を聞き入れた教主と呼ばれた女性に応接室らしきところに案内され、しばらく休んだ後にもう一度話を聞かれることとなった。


2人にされると常磐さんが言い出した。


「初めまして、だよな。俺は常磐 大和と言う。32歳だ」


私も慌てて自己紹介することにした。


「あ、初めまして、白山 咲楽です。21歳です」


「21歳?成人してる?ホントに?」


私は童顔で、年より若く見られる事が多い。だから慣れているんだけど、こうもまっすぐ聞かれることは珍しかった。


「本当ですよ。成人してます。あの、コラダーム国って聞いた事無いですよね。どこなんでしょう」


「良くあるラノベ展開だと、異世界ってことになるけど、違うよな」


ハハハッと笑いながら常盤さんが言う。


「それより顔色がホントに悪いけど、大丈夫?」


「大丈夫です。すみません、心配かけて」


30分位すると教主様と呼ばれた女性が部屋に来た。大きな水晶玉のようなものを2つ持って。ますますラノベのような展開に2人で顔を見合わせる。


「これは真贋判定の魔道具です。ここに手を置いてください」


おっかなびっくりそれぞれに手を置くと水晶(魔道具?)が光り出した。常磐さんは赤と黄色に、私は青と緑と黄色と白に。


その状態のまま質問を受ける。


「あなた方はどこから来たのですか?」


「日本からです」


「ニホン。聞いた事がないですね。真贋は……偽り無しですか……これは……」


教主様も騎士さん達も首を傾げている。というより、この水晶、魔道具って言った?


「すぐに王宮に連絡をいれなさい。異邦人らしき人たちを保護したと」


騎士さんの1人が慌てて出ていく。


「失礼しました。ようこそ異邦人の方。私はこの神殿の責任者のエリアリールと申します。この世界には百数十年ほどの単位で異邦人の方が現れると伝承されております。この事は王家と神殿の者しか知りません。しばらくは神殿で暮らしていただき、この世界の常識や魔法などを覚えていただくこととなります」


魔法?!このときの私達の心境は同じだったと思う。異世界来たー!!だ。


ただ、気がかりがあった。それは元の世界に、日本に戻れるのかどうか、だ。


「あの!元の世界には戻れるのでしょうか?」


勢い込んで聞く私に教主様は首を振る。


「元の世界に帰られたという事は、伝えられておりません」


目の前が真っ暗になった気がした。


その後の事は余り覚えていない。常磐さんが主に話を進めてくれた。

この世界の事を学びながら魔力や魔道具の使い方、魔法等を学ぶということらしい。


気が付いたら話は終わっていて客室に通された。


私が余りに不安気だったからか続き部屋に案内された。独立はしているけどドアで繋がっている部屋だ。机と椅子と、清潔なベッドと二人掛けくらいのソファーがおいてあった。シンプルだけど清潔感があってホッとする。


ソファーに座っていると、常磐さんが隣の部屋から声をかけてきた。お互いの情報を知りたいという。了承して部屋に入ってもらう。


椅子を持ってきて向い合わせで座ると、常磐さんが話し始めた。


「大丈夫?まだ顔色がちょっと悪いみたいだけど。色々とありすぎだよな。まさか異世界転移なんて本当にするとは思わなかった」


力なく笑う常磐さんを改めて見る。


髪は栗色の短髪。顔は……精悍な顔つき?でもかっこいいと思う。体型は結構鍛えてるみたい。じっと見ていると常磐さんも私を見ていた。


「なぁ、あんたのその目、カラコンとかじゃないよな」


私の眼の色は(ハシバミ)色と言うらしい。ちょっと緑がかっている。


中学生の頃にはこの眼が原因で虐められた。主に男子に。だから男性は怖かったりする。中学卒業後にも無理矢理閉じ込められた、とかあったし。


その思いが顔に出ていたんだろう。常磐さんはスッと眼をそらして謝ってきた。


「ごめんな。じろじろ見て」


「いえ、こちらこそごめんなさい。眼の事で虐められたとかもあったからちょっと怖かったのを思い出してしまって」


失礼なことをしてしまった。この人はアイツ等とは違う。


「んじゃまぁ、改めて。俺は常磐 大和と言う。32歳だ。仕事は実家の道場の手伝いだな。一応護身術とかも教えられるぞ」


「あ、改めまして、白山 咲楽です。今21歳、もうすぐ22歳です。大学の看護科に通ってました。あと少しで国家試験だったんですけど、無駄になっちゃいました。帰れないって言ってたし……」


「看護学生?未来の看護師さんか。凄いな。そういえばここに来る前に何をやってたか、白山さんは覚えてる?」


「休日だったから友人と待ち合わせて買い物を予定してましたけど、気が付いたらあの部屋で倒れていて。気がついた直後ぐらいに凄い頭痛でもう一度意識を失ったみたいです」


そう話すと、常磐さんは気がかりそうに聞いてきた。


「頭痛で意識を失った?大丈夫なのか?どこか違和感があるとか無いか?」


「大丈夫です。常磐さんに声をかけられて気が付いたときに、手足の痺れの有無の確認もしましたけど、違和感はなかったですし。常磐さんは何もなかったんですか?」


「何もなかったな。体が軽く感じるってのはあるが」


話していると暗くなってきた。灯りはどうやって点けるんだろう?ご用があれば押してくださいと書かれたボタンを押すとあの時教主様ーエリアリールさんと一緒にいたシスターさんが来てくれた。灯りは魔道具になっていてスイッチに触れればいいと教えてくれ、灯りを点けてくれた。


そう言えば文字は何故か読めるようになっていた。常磐さんも読めてるみたいだし、転移者特典みたいなのかな。


「まぁ、とにかくもう遅いようだ。休んだ方がいい」


常磐さんによると時計が役に立つかどうか分からないが、大体同じくらいの時間だと思うとの事。


その日は清潔なベッドに横になると、疲れていたのかあっという間に寝てしまった。



ーーーー大和視点ーーーー



気が付くと石造りの部屋だった。


「どこだ。ここ?」


起き上がる前に全身状態のチェック。


全身に痛み無し。感覚の異常も無し。違和感は無いな。周りに人の気配……1人?


用心しながらゆっくりと体を起こす。やけに身体が軽く感じる。


周りを見回すと、倒れている女の子が目に入った。身長は150ちょい下位か?小柄な子だ。


意識がなさそうだ。脈は……平常だな。とりあえず、起こしてみる。


「君、君、大丈夫か!?」


肩の辺りを叩く。脳内で何かが起きている時があるから、揺さぶってはいけない。

出来るだけ頭に振動を伝えないように。


「んんっ」


小さな声をあげて、女の子が目を覚ます。と、俺を見て全身に力が入った。


「大丈夫そうだな」


そう言って離れる。


その時、部屋の外に複数の足音がした。女の子が立ち上がろうとしてふらついた。慌てて支える。肩を抱いた状態になった。


途端、女の子の身体に力が入る。……恐怖か?この子が感じているの。


ドアらしき所が開き、入ってきたのは西洋中世風の鎧を身に付けた男2人と白い修道女のような服を着た女2人。


「結界の揺らぎを感じてきてみれば、あなた方はどなたです?」


女の年上の方が聞く。


女の子は答えない。そりゃそうだよな。現在地不明、相手の正体も不明。不安にもなる。


「私は常磐 大和(トキワ ヤマト)と言う。ここはどこですか?」


彼女も少し震えた声で名乗った。


「私は白山 咲楽(シロヤマ サクラ)です」


女が言う。


「トキワヤマトさんとシロヤマサクラさん?あなた方はどこから入ったのですか?この部屋には結界が張ってあって外からは入れない筈なのですが」


「ここはどこなのですか?」


再び聞いてみた。


「ここはコラダーム国の王都、ルビアの神殿です。あなた方はどこから来たのです?」


女の人のその答えに思わず2人で顔を見合わせる。聞いた事の無い国だ。コラダーム国なんて紛争地帯にもなかった。知らない国名だ。


「常磐さん?コラダーム国って聞いた事、あります?」


彼女ーー白山さんが聞く。


「いや、知らないけど……」


「教主様、こちらの女の方、顔色が悪いです。少しお休みいただいては?」


俺達の戸惑いを見てとったのか、もう1人の女が言った。なるほど、彼女の顔色が悪い。もしかして俺が肩を支えているせいか?


その言葉を聞き入れた教主と呼ばれた女性に応接室らしきところに案内され、しばらく休んだ後にもう一度話を聞かれることとなった。


2人にされると、とりあえずの確認だ。


「初めまして、だよな。俺は常磐 大和と言う。32歳だ」


慌てて彼女も自己紹介してくれる。


「あ、初めまして、白山 咲楽です。21歳です」


「21歳?成人してる?ホントに?」


思わず聞いた。どう見ても16~18歳、高校生くらいだろ!?


「本当ですよ。成人してます。あの、コラダーム国って聞いた事無いですよね。どこなんでしょう」


気を悪くした様子もなく彼女が言う。


「良くあるラノベ展開だと、異世界ってことになるけど、違うよな」


ハハハッと笑いながら言ってみる。


「それより顔色がホントに悪いけど、大丈夫?」


「大丈夫です。すみません、心配かけて」


30分位すると教主様と呼ばれた女性が部屋に来た。大きな水晶玉のようなものを2つ持って。ますますラノベのような展開に2人で顔を見合わせる。


「これは真贋判定の魔道具です。ここに手を置いてください」


真贋ねぇ。それぞれに手を置くと水晶(魔道具?)が光り出した。俺は赤と黄色に、白山さんは青と緑と黄色と白に。


その状態のまま質問を受ける。


「あなた方はどこから来たのですか?」


「日本からです」


「ニホン。聞いた事がないですね。真贋は……偽り無しですか……これは……」


教主様も騎士達も首を傾げている。


そう言やこの水晶、魔道具って言ったか?真贋判定の方に気を取られていたが。


「すぐに王宮に連絡をいれなさい。異邦人らしき人たちを保護したと」


騎士の1人が慌てて出ていく。


「失礼しました。ようこそ異邦人の方。私はこの神殿の責任者のエリアリールと申します。この世界には百数十年ほどの単位で異邦人の方が現れると伝承されております。この事は王家と神殿の者しか知りません。しばらくは神殿で暮らしていただき、この世界の常識や魔法などを覚えていただくこととなります」


魔法?!このときの俺達の心境は同じだったと思う。異世界来たー!!だ。ただなぁ、こう言うのの典型だと帰れないんだよな。


「あの!元の世界には戻れるのでしょうか?」


勢い込んで聞く彼女に教主は首を振る。


「元の世界に帰られたという事は、伝えられておりません」


一気に意気消沈したな。気持ちは分からないではないけどな。


とりあえず話を進めないとな。


「こちらでの扱いとしてはどうなるのでしょう」


「はい。何日か掛けてこの世界の事を覚えてもらうことになります。魔法の使い方も覚えて貰わないといけませんし。魔力操作ができないと、魔道具を動かせませんから、かなり不便だと思いますし」


「それまでは何処かから通うと言うことに……?」


「いえ、流石にこのまま出ていって貰うと言うことは出来ませんので、しばらくこの神殿に留まって貰うことになります。不自由をお掛けしますが……」


「しばらく部屋を提供いただけると?」


「はい。ここは神殿ですし、幾つか客室も用意してございます」


「それはありがたい。彼女の様子も気になりますし」


と、ここでシスターの方が言葉を挟んだ。


「そうですね。さっきは顔色も優れないようでしたし、心配ですね。トキワ様はシロヤマ様と以前からのお知り合いですか?」


「いえ、さっきここで初めて会ったばかりです」


「こんなことをトキワ様に頼むのは筋違いかもしれません。けれど、シロヤマ様の事をお願いしたいのです。ずいぶんと心細そうなご様子ですし。トキワ様も大変だと言うのに、こんな事を頼むのは心苦しいのですが」


「構いませんよ。この状態の彼女を放っておくほど、人でなしでないつもりですからね。それなりに非常事態には慣れていますし」


笑顔で答えると、深々と頭を下げられた。


その後、部屋に案内してもらう。彼女の状態から見て、何かあったらすぐ対応出来るように続き部屋に案内してもらった。独立はしているが、ドアで繋がっている部屋だ。


机と椅子と、清潔なベッドと二人掛けくらいのソファーがおいてあった。シンプルだけど清潔感がある部屋だ。


情報だけでも仕入れておかないと、いざと言う時動けない。お互いの情報を知りたいと声をかけると了承してもらえたので、部屋に入れてもらう。


彼女がソファーに座っていたので、椅子を持ってきて向い合わせで座り、話し始めた。


「大丈夫?まだ顔色がちょっと悪いみたいだけど。色々とありすぎだよな。まさか異世界転移なんて本当にするとは思わなかった」


話し始めるとこちらをじっと見る。観察されてるな。こちらも彼女を観察する。


結構可愛い顔立ちをしている。髪は漆黒、背中の半ばまでの長さ。眼は?あれって(ハシバミ)色だよな。ウチの先祖に何人かいたって言う、超常のモノを見る眼。


「なぁ、あんたのその目、カラコンとかじゃないよな」


途端に身構えられる。これは恐怖、嫌悪が入り交じってるな。


眼をそらして謝った。


「ごめんな。じろじろ見て」


「いえ、こちらこそごめんなさい。眼の事で虐められたとかもあったからちょっと怖かったのを思い出してしまって」


あぁ、そうだよな。そのせいで虐められると言うのはあっただろう。


自己紹介をしてみる。


「んじゃまぁ、改めて。俺は常磐 大和と言う。32歳だ。仕事は実家の道場の手伝いだな。一応護身術とかも教えられるぞ」


「あ、改めまして、白山 咲楽です。21歳、もうすぐ22歳です。大学の看護科に通ってました。あと少しで国家試験だったんですけど、無駄になっちゃいました。帰れないって言ってたし……」


答えてくれた。看護学生か。


「看護学生?未来の看護師さんか。凄いな。そういえばここに来る前に何をやってたか、白山さんは覚えてる?」


「休日だったから友人と待ち合わせて買い物を予定してましたけど、気が付いたらあの部屋で倒れていて。気がついた直後ぐらいに凄い頭痛でもう一度意識を失ったみたいです」


頭痛で意識を失ったって?大丈夫なのか?


「頭痛で意識を失った?大丈夫なのか?どこか違和感があるとか無いか?」


「大丈夫です。常磐さんに声をかけられて気が付いたときに、手足の痺れの有無の確認もしましたけど、違和感はなかったですし。常磐さんは何もなかったんですか?」


何もなかったと。看護学生ならその判断は信用してもいいだろう。こちらも状況を伝える。


「何もなかったな。体が軽く感じるってのはあるが」


話していると暗くなってきた。灯りはどうやって点けるんだ?ご用があれば押してくださいと書かれたボタンを彼女ーー白山さんが押す。あの時の教主ーエリアリールと一緒にいたシスターが来てくれた。灯りは魔道具になっていてスイッチに触れればいいと教えてくれ、灯りを点けてくれる。


そう言えば文字は何故か読めるようになっている。彼女も読めているようだ。


「まぁ、とにかくもう遅いようだ。休んだ方がいい」


身に付けていた時計は役に立つかどうか分からないが、大体同じくらいの時間だと思う。


白山さんの部屋を辞し、自分の部屋に戻る。一応所持品の検査でもしておくか。


と言っても、持っているものは時計とスマホと財布ぐらい。バッグなんかは普段から持ってないし。時計は動いている。鐘の音が聞こえるな。6回。時計をみると21時だった。これは時間に関してはズレはないと言うことか。


次はスマホ。まぁ異世界だって言うなら当然だな。圏外だ。


財布の中身は……なんだこれ?見たことのない硬貨だな。紙幣は一枚もない。いつの間にか両替されたのか?どう言うことだ?


しばらく考えたが結論も推論もない。仕方がない、寝るか。


ベッドに横になる。流石に客室と言うだけある。清潔だな。


横になって眼を閉じたが、眠れない。少し外に出てみた。当然と言うべきか、知っている星座は一つもない。仕方がないな。超常現象ってやつだ。部屋に戻ることにした。


彼女は眠れたのか?かなりショックを受けてたようだったけど。彼女、もうすぐ22歳と言っていたな。俺より10も下か。


と、隣から何か聞こえた。そう言えば頭痛で意識を失ったって言ってたな。何かあったのか?


音ーー声が大きくなってきた。魘されてる?気になって間を隔てるドアをノックする。返事はない。


悪いが入らせてもらう。その途端彼女の声がした。


「……ごめんなさい。……来ないで。……誰か助けて……!!」


なんだ?見ると眠ったままだ。魘されたままと言うべきか。ベッドのそばまで行き思わず頭を撫でる。


「大丈夫だ。助けに来たよ」


そう言うと彼女の身体から力が抜けた。


その後しばらく眺めていたけれど、もう魘されることもなさそうなので、部屋に戻る。


何やってんだよ。何が「大丈夫だ。助けに来たよ」だ。行動的には変質者じゃないか。でもなぁ、何となく放っておけないんだよな。


そんなことを考えながら眠りについた。



ーー異世界転移1日目終了ーー



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