自転車に乗ったいつもの帰り道
デートの帰りは君の自転車で、2人乗りして、よく君ん家まで送ってたっけ…。
ステップに立つ君。
坂道を勢いよく降りると、冬だから風が冷たかった。
君はよく、「寒い寒い」って、僕の背中に抱きついて夜風から隠れていた。
今でもあの温もりは、はっきり覚えている。
いつも少しの時間しか会えなかったから、別れ際はいつも名残惜しかった。
だからちょっとだけ寄り道なんかもしたんだよね?
自転車のスピードを出して、急いで夜の遊園地を見に行ったんだ。
だけどたまたま休園日で…。
あの時はホントついてなかったよ。
でも僕らは、その遊園地を外からずっと眺めていたんだ。
「そろそろ帰らなくっちゃ…。」
しばらくして君がそう言って、僕らはまた自転車を漕ぎだす。
帰り道は、さっきの下り坂が上り坂に変わる。
君は自転車から降りて走り出す。
そして平地になると、またステップに立って僕につかまった。
ねぇ覚えてる?
ほら、交番の前を通ったとき、気がつかなくて注意されたことを…。
君はそのとき、僕のことをふざけてくすぐってたんだ。
なんか懐かしいよね…?
僕らはあのとき、お互いの夢を一緒に進んでいた。
だから、まさか君と会わなくなってしまうなんて、あのときは夢にも思わなかった。
あれから僕も新しい自転車を買った。
こうして1人自転車に乗っていると、時々君のことを思い出すんだ。
あれは冬の日の思い出だけど、なぜだか暖かく感じた。
君の夢は、もう叶いましたか…?