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異能世界で最強と謳われる可愛くて人殺しの男の娘が裏世界で暗躍するちょっぴりえっちなセカイ系の物語はいかがですか?  作者: 独りっ子
黒き彼は月を歩む

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十五話 コネ集め

短めです。

「草刈美舟を、恨んでいるのか」


 うち伏せられたことを全く気にせずにしゃべり続ける絢斗に、どこか痛ましさを西条は覚えた。どれだけ手荒く扱われようとも虚しく笑う彼はまるで、牙を抜かれた子犬のようだった。しかし、情けない笑顔の奥底には、どこか執念の炎がめらめらと燃え盛っているような気もした。


「もちろん」


 その答えと共に、瞳の奥の炎がきらりと揺らめいた。ああ、こいつはこんな取り繕いを八歳のときから続けているということなのか。西条は絢斗のその心の強さと、一途さに感服するほかなかった。彼は、いったいどんな目に遭っているのだろうか。彼は、どれだけ自分を救おうとあえいでいるのか。自分の大切な人の為に、その身をささげているさまは、美しい物語として昇華されそうだった。

 それを、助けるのが俺の仕事か。

 西条は、絢斗の助けとなることを決めた。己が一人のころから探し続けていた平凡さは、ここでは見つからなさそうだけど、その代わりの何かが、彼からもたらされるような、そんな予感がした。


「これから、あいつを倒すのか」

「うん」

「方法は」

「そのために今、仲間を集めている」

「今の時点で仲間の数は何人だ?」

「僕と君たち、それにさいきっかーずの二人」

「本当にたった五人で倒そうってのか!?」

「うん、言ってなかったかな?」


 あっけらかんと述べる絢斗が西条は不安で仕方なかった。こいつは一体草刈さんにどうやって復讐しようとしているのだろうか。彼が八歳のころから立ち直るのに二年経ったとして十歳のころから五年間だ。


「お前ならもっと仲間を集めていそうだと思ったんだけど」

「……ああ、そういうことね」


 そこまで西条が語ると絢斗は自分の発言と西条の理解の仕方に齟齬があると理解し、つづけた。


「確実に仲間であり、絶対に敵へ情報を漏らさず、いざとなれば草刈を手にかけるのに躊躇しないという意味の五人だよ」

「それはつまり、他にもいるという解釈で間違いないか?」

「さあね」


 以前の戦闘のようにごまかされたかと思ったが、悪戯っぽく笑っていると気づいて、西条は胸を撫でおろした。先ほどよりマシな笑顔を浮かべる彼に続けて尋ねた。


「それで、そのつてはどれくらいあるんだ?」

「さあね」


 首をかしげて今度は本当にわからないといった表情で答えが返された。自分で集めた仲間が分からないとはどういうことかと追及しようとすると、絢斗はそのまま続けて喋った。


「途中から数えるの疲れちゃった」


 特にひけらかすこともなく、無感情に述べる絢斗に西条は、こいつにとってはまだまだ足りないと思ってるんだろうな、と感じていた。しかし、それだけの数を小学生の時から集めているとは、どれだけ精神的な傑物だったのであろうか。見た目が美しいこいつの中身がそんな憎悪の権化というのはなかなか面白かった。


「そりゃあいいな。数を数える手間を集める方に遣ったってことだからな。その決断の分仲間を増えてるから、期待できるな」


 綺麗なバラにはとげがある、まさにその通りだと思った。少女のような見た目をした彼の腹の底は、どこまでも暗く感じられた。


「まあ、あくまで基本は薄いつながりだから過度な期待はしないほうがいいよ。今はあくまで、お互いにメリットあるってだけなことがおおいから」

「それでもそれだけの数があればなんとかなるだろう」

「だといいけどね。もうおやじたちと関わるのはまっぴらごめんだよ。あいつらえぐい性癖ばっかなんだよね」


 それはどういう意味と言葉にしようとするが、チャイムの音が家の中で鳴った。新たな来訪者であった。


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