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命の欠片たち

抱えきれない その痛み

作者: 羽入 満月

 握りしめた拳の掌に私の爪がぐぐっと食い込む。

 机のしたで握りしめていることをあなたは気付いていないでしょう。

 私は澄ました顔をしてあなたの前に座っているから。


 話の最後にあなたは、「何か言うことはないか」って聞いて、私は「本当に答えていいのか」と聞き返した。

 普通の人は、状況的に泣くか黙るかしかないのに言い返すなんて予想外だったでしょう。

 私は負けず嫌いだから。


 最近できた友人にこんなことがあったんだって話をしたら、笑いながら友人はいった。

「言われたのがあなたでよかったね。他の人だったら言われっぱなしだっただろうし、人になんて話せないでしょう。だから、言われたのがあなたでよかった。」

 その言葉に私は、何となく笑って答える。

「そんなことないですよ。私だって嫌ですもん。」


 笑って答えているけれど、心のなかは大号泣。

 だけど、それを悟られたら私が私じゃなくなっちゃうから。


 でもこれは、私から見た心情と真実で、相手には相手の心情と真実があって、友人には友人の心情と真実がある。

 一概にすべて相手が悪いと言えないかもしれない。

 真実はいつも一つじゃないでしょう。見る立場が違えば全てどっちかが悪いとは言えないかもしれない。

 だからと言って、言っていいことと悪いことがあることは本当。


 生きることは痛みを伴う。

 その痛みを抱えて生きていかなくてはいけない。

 この痛みがいつか消えることを願ってる。


 掌の爪痕が消えるように。

 心の痛みも消えるといい。


 いつか、痛みが抱えきれなくなる前に。

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