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アー・ユー・レディ


「必要悪だ」

「…………………」 


 わーい、一条の軽蔑の眼差しが痛いよう。

 なので俺は、


「わたあめ食いたくないか?」


 魔法少女クレシェントカレンのキャラクターが描かれているわたあめ袋へ指をさす。


 物で釣る。


 いたってイージー、いたってシンプル。

 別に全然汚くはない。

 太古から続く立派な兵法の一つだ。

 だから胸を張って誇っても良い。


 だが奴は……、「おじさん、ボップコーンキングサイズでキャラメル味」と屋台の親父に注文。

 

「嬢ちゃん1500円だよ」

「桂ちゃんシクヨロ」

「うっ! 高い……」


 今からテレビの業界用語をマスターしたら、一条の将来はどうなるのかと娘を心配する親並みにハラハラする。

 だが、それよりも、値段が高くて足りるかなと、もう半分も食べてしまって返却不可能な暴風を横目に別の意味でハラハラした。

 屋台でこれでは映画館ではとんな暴挙に出るのかとても恐ろしい。


 暫くの間、視界を遮ぎるように前をあるっていたボブカットの少女と三編みの少女が道から離脱すると、いつの間にか久保太郎は、それとなく早乙女と手を繋ごうと既に臨戦態勢に入っていた。


 論議するまでもなく、こうなる事は予想済み。

 想定内だ。


 屋台で購入したおもちゃのモデルガンで、『痛い!』足の関節部分を狙い撃ちした。

 くじで引き当てた銃は2等なりの威力は持っていたようだ。

 キャラやカードを信じてなくても結果は出る。

 今回はこれを証明されたのではなかろうか。


『どうしたの久保田君。随分痛そうな顔だけど?』

『何でもないよ早乙女さん。ちょっと躓いて足を捻っただけ』

『そう、混んでいるから気を付けてね?』

『ありがとう。気を使ってもらって嬉しいよ』


 二人は気遣いあっている。

 良い雰囲気だ。


 だが、秘密裏に久保作は懲りずに再トライ。

 英語にするとTRY。

 NTRと何処か類似しているだけで、卑猥な気分になるのは何故だろうか。


「さて、次は僕のターンだよ」 

「お手並み拝見」

「まぁ、見てて、一発でムードをブレイクするよん」


 無い胸を張ったら矢鱈目立つから止した方が良いのだけれど、折角気合いを入れているのに余計な茶々を入れるのは野暮ってものだろう。


 再接近を狙う久保なんちゃらの首に目掛けて、「喰らえ、通天閣フレアやぁぁ!」ヨーヨー釣りでゲットした水風船を躊躇い無く放った。


 黒龍のまねか? 

 きっと草葉の陰で喜んでいるだろう。



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