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全て桂のせいだ


 学生時代の恋人関係になるには、無謀なラブレターとアポ無し告白を除いて、色々と前準備期間が存在する。


 1 知り合いになる。

 

 2 毎日の他愛のない会話。


 3 授業&部活や委員会の通常イベント(登校&下校、放課後イベントもこのカテゴリー)。


 4 男女の友達同士遊びに行く(合コン)。

 

 5 そして一対一で遊びに行く(即ちデート)。 ←早乙女はこの段階。


 今回のターゲットの能力はこの恋愛マニュアルを一気に縮める効果がある。

 その証拠に、隣にいる男と知り合って1週間ぐらいしかたってないそうだ。


 そうこう大層なことを並べている内に、最初のミッション開始に近付いてきた。


 1 良い雰囲気に発展しないように早乙女と相手の間にはいる。


 だからと言って直接対面する必要もない。

 具体的に説明すると、次の段階へステップアップしないように邪魔をする。

 その手段は問わない。


 俺達の緊張を他所に前方の二人は和気あいあいと話が弾んでいる。


 聞き耳を立てると、


『はははっ! この前は最悪だったよ。皆を喜ばそうとしただけなんだけどね』

『――君は優しい良い人よ。皆は校内ネットで晒されて馬鹿にしているけど、凄い勇気がなければあんな事なんて出来ないわ』


 そう笑顔を浮かべて早乙女は男を励ます。


『ありがとう。早乙女さんだけだよ、そんな風に俺を擁護してくれる女の子は』

『そんな事ないわよ。皆思っていても口に出さないだけ』

『それもこれも全部桂のせいだ』


 む? 何故にここで俺の名字が出てくる?

 生まれてこの方、人様に迷惑を掛けて恨まれる事をした覚えはない。

 俺は胸を張って断言できた。

 なに、桂なんて紅葉ヶ丘に腐る程いる。

 他人の空似って奴だろう。


『本当に酷いわよね、桂 勘太郎って人。こんなにボランティア精神に溢れている久保田君へ酷い仕打ちして、のうのうとまだ学校に通っているなんて私は怖いわ』

『大丈夫だよ。一応人間としての道徳は形だけは守っているから、獣のように襲ってはこないよ』

『それならいいのだけど……』


 ボランティア、酷い仕打ち、久保田……何か引っ掛かるワードだ。


「思いっきり桂ちゃんの事なのだ。言い逃れ出来ない」

「いや、全歴史、全世界に目を向ければ桂勘太郎なんて捨てるほどいる。結論を出すのは性急過ぎだ。それに久保田って誰だ?」

「うわぁ、まだ認めないつもりだ」


 相方が後退あとじさった。

 そんな酷い事を俺が?


『桂め、円谷さんを巻き込んでなんて酷い奴なんだ』


 あー、訂正訂正。

 俺だったわ。

 円谷にまで因縁付けたから静かにぶちギレ。

 全校生徒の晒し者って、一条がくれた作戦だと最終までの禁じ手だったんだ。


『鬼か悪魔、魔王の所業だね』


 すいません元魔王です。

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