推理
「だが、舞台背景が朧気ながら見えてきた」
「ほう、こんな危機的状況でも頭は正常に働くとは恐れ入った」
「褒めるなら自由にしろ」
「それは出来ぬ相談だ」
怖くないと言ったら嘘になる。
しかし、この状態を打破するにはひたすら前に進むしかない。
ならば、可能性が有る限り足掻くしかないだろう。
一旦纏めよう。
予言者はこちらの世界へ渡りたかった。
目的は侵略。
しかし、おいそれと実行は無理だった。
それは俺のユニークスキルが妨害して魔法が一切合切ジャミングされるから。
そこで一計を講じた。
光属性を集めてワームホールを形成する事。
科学を応用すればアンチファンタズマに介入されることはない。
だが、その為に人間の光属性の回収をしなければならなかった。
そこで記憶を中途半端に回復した俺を利用。
余計な説明も省けてさぞかし使いやすかったのだろう。
計画は予定通りに進むと思っていた。
だが、そこにイレギュラーが発生する。
俺の脳細胞が魔王の癖に使い物にならなかったという事実。
そこで予言者は頭の良い一条 サラサと数ある選択肢を駆使して引き合わせた。
「――予言者、こんな感じで合っているか?」
「見事。その通りだ」
俺の推理を聴くと、予言者は静かに祝福の声をあげる。
「俺は仮説を立てた。もしかして光を折っているのは勇者王を探す為じゃない。お前が狙っていたのは希に出る光属性の再生じゃないのかと。それが強大な力、若しくはレアな光属性なら、三人同時に発現した時、予言者が酷く心を乱していたのも頷ける」
俺は確証を持っていた。
何度も何度もリフレインして、ここまで行き着いたのだ。
「ふふふっ、ここまで見事に暴かれると逆に壮観だな。とうとう魔王の頭の切れが戻ったか」
「いや、一条と出会った頃と何一つ変わってはいないさ」
「そうか。だが、そんな事はどうでも良い」
「――!?」
予言者の様子がおかしい。
今まで静だった気配が動にスイッチの如く切り替わる。
「ばれたらしょうがない。ならお前の体を乗っ取って自ら動くことにしよう。その方が光を多く手にはいる」
「それは俺のスキルで出来ないんじゃないのか?」
「そうだな。だが、この空間内なら先程の様に僅かながら魔法が使える」
って事は俺の不思議消去技が通じないというわけか?
だが、神は魔王でも見放さなかった。
『――ちょっと待たんかい! レイドラーム今助けるでぇ! 喰らえ、天下一通天閣フレアじゃあぁぁぁぁ!』
「「え?」」
轟音と爆音と第三者のステージオンと共に、俺と予言者の間を割って床に大きな風穴が開いた。




