ゲーム
「もう、これ以上は断るといったらお前はどうする?」
「これは異な事を」
「そうかな」
「発見しなければ勇者王に君が殺されるのだぞ?」
もし、予言者にとって光を消す行為が必要不可欠なら噛みついてくる筈。
俺が予言者より優勢に立てるポイントはここしかない。
「構わないさ。もしかしたら勇者王が目覚めない未来もあるかもしれない」
「友も家族も殺されるのだぞ?」
「勇者王が無闇に殺生するとは考えられない」
そう、俺は覚えている。
エドウインは友愛に満ち溢れていた。
なので無駄な殺生は好まない。
そのせいでモンスター退治も儘ならぬ、中々レベルが上がらず大変苦労した様だ。
「これは困った困った」
「なら本当の事を洗いざらい吐け。これからも協力するかどうかは内容次第だ」
「そうだな。魔王なくして勇者王は発見出来ない。そうなるとこれも許容範囲内なのかもしれないな」
観念したか?
だが、俺は予言者の言動に何処か違和感を感じていた。
「それに正体を現したらどうだ?」
「……正体?」
「お前は一体誰だ?」
興味本意だ。
別に予言者が何者だろうと、この状況に変化が訪れるとは到底思えない。
「ふむ、ならば私とゲームをしないか?」
「ゲーム?」
「些か喋り過ぎて疲れてしまった。本題は取り敢えず置いといて、私の余興に付き合ってはもらえないだろうか?」
「何が目的だ?」
予想外の行動は流石のマニュアルにも記載されていなかった。
もし、これも予言者は気付いているとすれば俺はお手上げだ。
「そう身構えるな。警戒する必要はない。ただの遊びだ。……そうだな、ならば私の正体を言い当てるってのはどうだろうか?」
「ふざけるな」
「いやいや、ふざけてはいない。お前は私の正体が気になるようだ。私はエンターテイナーとして趣向を凝らしたい。ならば利害が一致しているのではないか?」
ここは後回しにするか?
主導権を向こうにとられてしまう。
弁舌家に舵を取られては一貫の終わりだ。
「参考までに、どういう事をする気か訊いておこう」
「何、ルールは簡単。単純明快だ。私がヒントを出す。これに答えてくれればいい」
「自分当てゲームか」
これは難しいぞ。
情報がある程度揃ってないと予言者の正体を特定するなんて不可能だ。
それにこっちの存在なのかそれとも現実世界の存在なのかも重要だ。
 




