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それぞれの主張

 

「じゃ、俺が今、どんな気持ちか分かる訳だな?」

「可愛い元部下のお願いを断る分けないと思っている」

「全然当たってない。昔はともかく、楽隠居しているただの高校生だぞ。そんなものより、俺の平穏な学園生活を返してくれ」 


 この自称予言者が俺の夢に現れるようになってから、平凡な日常が幾分か変化した。

 今の記憶と前世の記憶で暫く混乱。

 その結果、気付いたときには陰キャラ+邪気眼が重なり、クラスでは浮きまくって、痛々しい電波な可哀想な人に確定してしまったのだ。

 それが半年前の悲劇だ。

 最近、ようやく噂が鳴りを潜めて元の平穏な生活を手に入れたが、それと引き換えに大切な何かを多数捨てる事になったのは致し方無い事だ。


「何でだ?」

「俺が第三次聖魔大戦の総大将なんて、未だに実感が湧かないからだよ」 

「魔族の奴隷解放を実現させた英雄が何を言っている」

「ただの学生には荷が重い、必要の無い記憶だ」


 覚えているが、迫るこの大空の青の幻より、殺伐とした毎日を送るより、今の何気ない毎日が愛おしい。

 生前の記憶をダウンロードしなかったら、今でもただの普通が大好きな陰キャラだったろう。


「魔王の方が良くないか? ただの凡人より格好いいだろ?」


 いやいや、中二病にランクアップしてこれはこれとして、非常に生きにくいものがあるのだが。

 それに魔王と言っても、魔力が無く力も無ければただの肩書きだし。


 なので、「平和な毎日に感謝してます」素直な気持ちを吐き出した。


「それより、中々勇者探し順調じゃないか?」

「誤魔化すな、俺の青春返せ」

「私が予言でピックアップした人物も大分減った」

「俺はこの世界の生活が気に入っているんだ」

「何事も地道にやっていれば当たりを引くはずだ」

「これから来るかもしれないモテ期、切ない恋愛物語も台無しだ」

「それはない。予言者として断言しても良い」

「するな。断言するなよ。夢見勝ちな思春期の少年の心はガラスより脆いんだぞ」


 悔しさからドラムを鳴らす感覚で床をぶっ叩く。

 精巧に出来ていても所詮は幻、幸い床を叩いても手は痛くないが心が痛い。


 予言者はカップに注いだら茶を啜って一旦間を置き、「すまない、先程から未来予測の波長が乱れている」と、ほざいているが、なら何でそんなに棒読みなんだ?


「それに何度も聞くが、こんなんで本当に勇者王を探し出せるのか?」


 俺のやっていることといえば、前途ある若者の尊い行為を邪魔しているだけだ。

 そこら辺は勇者の邪魔していた魔王と類似している部分も多々ある。

 だが、コスかった。

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