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勘太郎VS予言者


「それよりも予言者、俺になんか言わなければならない事は無いか?」

「ああ、無論あるとも」

「なら聞こう」


 訊きたい事は満漢全席並に沢山あるが、自ら切り出すのはボッチ主義に反するから、フィンガーボウルの水で渇いた喉を潤すみたいな気持ちで丁度良い。

 陰キャラはあくまでも受け身だから陰キャラなんだ。

 アグレッシブでポジティブな引き篭もりはアマテラスぐらいだろう。


「分かっている褒美であろう。私は予言者だ。本来は私情に使うのは許されないが今回の功績に相応しい。どれ、魔王の輝かしい未来を教えよう」

「慎んで辞退させてもらう。俺が訊きたい事ではないし、将来に興味がないと言えば嘘になるが、それは今聞くべき事ではない。まして先が分かっていたら必ず驕って道を踏み外す。ならばまだ一寸先は闇の方がましだ」


 顔を隠し草色のローブに身を包んでいるその姿、人間なのか魔物なのか判断する事が難しい。

 ただ言える事は身の丈は1メートル70センチ位だ。

 何でそんなにハッキリと言い切れるって? 

 答えは簡単、俺の目線と合致するからだ。


「提案したこっちが言うのもなんだが、予想通りの受け答えだ。なら、なんだと言うんだ?」

「予言出来ないか。良いだろう答えを言おう。お前は俺にいや、俺達に嘘をついた。それに対しての釈明をしてくれないか?」

「なんだい、藪から棒に」


 借金期日過ぎても平然としている友人に問い正す様に疑問を投げ掛ける。

 こいつは相当な弁舌家で策士だ。

 恐らく一介の学生程度じゃ太刀打ち出来ないだろう。

 

 今のも遠回しにこれ以上の詮索は無用で、君の知りたがっている未来を教えると提案したのが、如何にもイヤラシイこいつの常套手段だ。


「惚けるなよ。お前は俺に言ったよな。一回消えて復活した奴が勇者王の転生体だと」

「何のことだ? ……おお、確かに言った、言った」


 演技なのかそれとも素なのか、言葉使いは紳士だが、大袈裟に頭を押さえる動作は何処か飄飄としていた。

 この間にも全く別次元の事を模索しているんだろうな。


「だが、三人の復活した光属性を再び消しても勇者王は現れなかった」

「そうみたいだな。実に残念無念だ」

「俺を騙したのか?」

「騙す? 人聞きの悪い。何を証拠にそんな世迷言を口に出すんだ」


 悪人の定番決め台詞トップテン。

 だいたい時代劇だとこのままチャンバラに移行するが、腕力で何でもかんでも解決したがっているのは何時の世も野蛮でならない。

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