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再び魔王城へ


◆◇◆◇


 夢は儀式。

 夢は神託。

 夢は願望。


 そして古代で最も神聖、または幻想だった遥かなる夢路へと俺を再びいざなう。


 俺は霞として浮遊後、蜃気楼からゆっくりとたゆたう。

 存在として確定した頃には漂着して地面に足をつき感触を確めた。


 鉄紺色を更に暗く闇の濃度を増した異世界。

 ブルーベリーを深く煮詰めたと表現したら上手く伝わるこの光景に、思わず甘酸っぱい香りがしないか息を深く吸い込んだ。


 どうやらこちらも夜が訪れていたみたいだ。

 

 ただ違うのは周囲が明るい。

 煉獄の焔燃え盛る星が落ち、代わりに赤と青の双子月が存在感をアピールしているからだろうか。

 加えて神が整えた天然のイルミネーションによる大パノラマ。

 広大な天井は星々で満たされていた。

 これが全部ペンライトなら世界的アーティストとして君臨しているに違いない。

 

 床は切り出した岩盤を使用。

 一個一個丁寧に磨かれているので、覗き込むと鏡またはハイビジョンな画像としてクリアに映し出された。

 ここなら俺のイケメンと清んだ心根も隠し通せないなと思いきや、残念ながらホタル並に発光していないからくすんでいた。

 これからは蛍光塗料で露出狂に負けじとペインティグする事も視野に入れよう。


 景色は幻ながら相変わらずリアルに描かれている。

 クリエイターが一年以上命懸けでこさえた緻密なCGも色褪せる精巧さだ。


 そう、俺は再び懐かしきもう一つの故郷、『ローグエンドバーグ』へと静かに足を踏み入れていた。


 そして、我が古巣にして栄光のシンボル、魔王城リオパレス最上階『魔王の間』は野外演劇場の様相。

 音をたてて近づいて来るもう一人の共演者に対して、勿論ながら拍手喝采は無く静寂で答えた。

 

「魔王よ大活躍だったみたいだな。心から賛辞を述べさせてもらうよ」

「ああ、お陰様で何とかなったわ」

「同時攻略が本当に成功するとは思わなかった。無理難題を押し付けて心苦しかったよ」


 出迎えた予言者は、貴族の如く相変わらす態度が尊大だった。

 本当に俺の部下だったのだろうか?

 ここで改めて疑問に思う。


 何故なら、ダウンロードした記憶の中に奴に関して一切の情報が無いからだ。

 障害で一部失ったといっても、都合よくこいつの記憶だけ無くせるものだろうか?


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