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全てバレてた


「次は僕の番だよん」

「一条?」


 一条はおもむろに手を握る。


「僕は桂ちゃんに出逢えて良かった。昔、家庭の事情もあって、どうして良いのか分からない僕に光を射してくれたのは間違えなく貴様いや君だよ。この中二病スタイルに出会わなければ僕は確実に心が壊れていた」


 一条は自分を偽ることによって厳しい現実から心を維持していたということか。

 ただ、暴走時の俺を真似ていた訳じゃないのだな。


「今更何を言っている。俺はお前の最高の相棒、それ以上は敢えて語ることなどない」

「桂ちゃん~!」

「ええい煩わしい! やめろ! 泣くな! くっつくな! 鼻水がつくだろ!」


 抱きつこうとする銀髪タヌキを無理矢理引き剥がした。


「さあ、今度は凛子の番なのだ。言いたいことあるのだろ?」

「私は勘太郎が今まで何をやっていたのか全部知っている」

「……何を言っているんだ?」

「本当の事なのだ」


 一条は俺に告げる。

 マジか?

 今までの中で一番ショックがでかい。


「お前は最初から知っていたのか?」

「うん、勘太郎のイタズラをサラサに教えていたのも私よ。止めてほしかった」

「じゃ、あの香月へ送ったメールもお前か?」

「そ、私も現場で見ていたから」


 合点がいく。

 視線の正体は一条だけかと思ったが凛子も把握していたんだ。

 抜かった……油断からによる失敗を表すこの動詞が、抜け作みたいな今の俺に一番しっくり来る。

 親友ネットワークを甘くみていた。


「だから今回の事件も、本を正せばあんたが元凶なのは分かってた」

「そうか。皆に迷惑を掛けて悪かったと思っている」


 結局、俺は凛子に迷惑ばかりかけてしまうな。

 俺が昔暴走した時も、後で止めに入った先生達やクラスメート達へフォローをしてくれた。


「どうしてこんな無意味な事を続けているかは分からない。でも、あんたが目的もなくこんな馬鹿げた事を繰り返す訳もないよね?」

「理由は言えない。仮に話した所で信じてはくれないだろう」

「別にそんなのどうでもいい。それよりも何で最初に私を誘わなかった? それが悲しい」

「ボランティア部にいるお前にそんなこと出来る訳ないだろ?」

「それでも誘って欲しかった。昔の劇で勇者役勝負で負けてから、ずっと仲間にして欲しくて見ていたから」


 そうか。

 俺は昔、一回勇者になった凛子を倒していた。

 だから光属性でもおかしくない凛子が違う属性だったのか。

 光属性は信念が強い人間に現れる傾向がある。

 だが、強すぎる光は毒だ。


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