決戦の朝
◆◇◆◇
朝だ。
早朝6時。
快晴、ブルースカイ、晴れ渡る空。
梅雨入りして間もないが雲ひとつない。
五月晴れとは良く言ったものだ。
でも、旧暦では6月なのだが何一つ当たってはいない。
対して俺は憂鬱。
寝不足なのもあるが、同学年のJKに翻弄されっぱなしで正直グロッキーだ。
さもあらん、今日に備えて協議を重ね現在に至る。
一条のメールの速さがめっさぱねぇす。
気が付いたら雑談にすり変わっていたが、中々寝かせてもらえなかったのが事の顛末だ。
気が付いたら明け方。
お陰で予言者との連絡が取れなかった。
「ふぁぁ~!」
「大きなアクビだな」
「誰のせいだ?」
「仕方ないだろう、作戦の為だ」
「途中からアニメの話しにチェンジしていたぞ」
「そ、そういえば、桂ちゃんはジャージなのだな?」
切り抜けられないと判断したのであろうか、銀髪たぬきちはこれみよがし話題をすり替えてきた。
「着替えるのが面倒だ」
ついでにお前を問い詰めるのも面倒だ。
「僕はこのままだな」
「誰も聞いてない」
登校中軍服着用している奴が隣にいると、目立つのでいつ補導されるか冷や冷やもの。
しかし、コスプレに寛容な地域なので特に何事もなかった。
「桂ちゃん機嫌が悪いのだ」
「最近弟の相手しなかったから朝むくれてな。なだめるのに時間が掛かったんだよ」
「それは災難だったのだ」
「それは良いんだ。弟はワガママいうのが仕事だからな。それより時間が作れなかった自分が憎い」
「うわぁ、重度のブラコンだ……」
「ありがとう」
偽りなく素直に感謝。
それは俺にとって最大の誉め言葉だ。
「まぁ、精進すればお前も弟にしてやってもいい」
「僕は女の子で同い年だぞ。しかも、その上から目線が何故か苛つくのだ」
頬を膨らませる一条。
何がいけないのか、残念ながら俺の信頼が伝わらない様だ。
本日は年に1度の奉仕の日。
日頃お世話になっている地域に恩返しをするという主旨だ。
なら、お世話になってないと思っている元魔王は参加しなくて良い筈。
なのにせっせと属性狩りとは俺はほとほと人間が好きらしい。
奉仕は毎年、ボランティア部主導で執り行う。
1日だけ全校生徒で行う大イベントなので、事前に一ヶ月前から依頼は受けている。
朝露で濡れた路面、雀の囀ずり、遠くから聴こえる電車の走行音。
この時間特有の静寂な空間が、アスファルトに響く俺達の足音も新鮮に感じ取る事が出来た。
それを意中じゃなくても女子と分かち合っているのは何とも不思議な気分に陥る。
無意識にオールバックの髪型をいじるのも、多感な少年である俺には詮無きこと。




