打ち明ける
「状況が変わって、もう一度やらなければやらなくなった」
「決行日は明後日」
「もしかしてボランティアの日?」
「そうだ」
急なのは分かっている。
だが、勇者王エドウイン復活を阻止するにはどうしてもやらなければならない。
「仕方ないな。気は進まないが勇者討伐隊の一員になったからには上の指示には従おう」
「ああ」
セリフはまともだが、食べかすが口周りを彩っていて台無しにしていた。
指摘しないのは武士の情け。
無言で渡したハンカチで拭きながら、「ただし、僕は桂ちゃんのパートナーだ。協力するんだし、そろそろ話してはくれないだろうか? もう、オチがテレビのドッキリでも驚かないぞ」
一条にはまだ最低限しか内容を話していなかった。
また失笑されたり、馬鹿にされたり、掌を返されるのが怖かったのかもしれない。
「それだったらどれだけ楽だったか。もっとお前好みのロマンス溢れる理由だぞ」
「なんと、それは楽しみ……、いや恐ろしいな」
顔と言っていることが反比例している。
もう一蓮托生だ。隠していてもしょうがない。
だから子供が新たな遊びを見つけたみたいなキラキラした顔を、こちらに向けないで欲しいものだ。
「――――」
「ほうほう」
一通り説明した。
信用してくれるとは思ってない。
だが、この気持ちを共有してくれる味方がいるのなら俺は楽になると思った。
ちなみにここは、かくかくしかじかと表記した方がシーン割愛としては的確なのだろうが、世の中に意味もなく逆らっている陰キャラとしては敢えて言わない使わない。
「――という訳だ。面倒だろ?」
「そういう設定、いや理由だったのだな」
「ああ。でも、お前信用してないよな?」
貴方、今言い直しましたよね?
そんなに俺って不憫なのか。
「宣言したであろう。僕だけは最後まで桂ちゃんの味方だって。どんな奇想天外な理由だって無条件で信じるよ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
「でも、なら何故設定と言った?」
作り一切なしのノーマルフェイス。
対して隣人は雨に当たってないのに大量に流れ落ちる。
目が泳ぎ、無理な作り笑い、口元が強ばった。




