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アフターケア


「で、僕は合格かな?」

「はぁ、次からお前も誘う」


 そうしないとまた無茶やりそうだからだ。

 

「リアリー? 良かった……」

「一条?」

 

 静かに目を閉じた。

 呼吸が聴こえるから気を失っただけだ。

 心臓に悪いな。

 でも、ここまで計算していたのか? 

 おちゃらけて実は相当な狸なのが判明した。


 それよりも動いている腹より上には5の1と縫われてある布切れ1枚。

 これは学園初等部指定水着。

 まさか当時から成長が止まっているとは……。

 頑張れ一条、その内良いことあるさ。

 目頭から熱いものが流れてきた。


「桂ちゃん、今凄く失礼な事考えていたよね?」

「なんの事やら」


 狸姫は狸寝入りも得意だったのさ。


 再び、小泉達の事も心配になって戻ってみると、


「くそ」

「ぐすっ」


 戻ると二人は泣いていた。

 川のど真ん中でさめざめと泣いた。

 相変わらず気持ちの良いものじゃない。

 でも、良かった。

 一条は遠くにいるから、あの二人の姿を見なくて済んだ。

 もし、目にしたら自責の念にさいなまれただろう。


「ぶにゃあ♪」

「ああ、分かっているって」


 にゃん太郎は呑気に頭の上で鳴く。

 毛がモサモサして毛糸の帽子状態。

 耳当たりが痒かった。

 

 光の濃度を示した白いビー玉は透明になる。

 二人の光の反応が消えた。

 どうやら成功したようだ。


 しかたねぇな。

 このままでは目覚めが悪いし、お節介なあいつが悲しむ。


「おい、お前ら泣く必要はないぞ」

「ぶにゃあ♪」

「猫!」

「ネコが生きてた!」


 びしょびしょな美少女二人が、蓮根畑を移動するかのようにゆっくりと移動。

 月面着陸したアームストロングも中々進めず同じ思いをしたのだろうか。

 ちなみに一緒に同乗していた操縦士エドウインと宿敵である勇者王エドウインは赤の他人だ。

 だから、俺が格好つけて地球が青かったと言っても中二病的ネタにしかならないたろう。


「ばかつら、あんたが助けたのか?」

「いや、勝手に泳いできたんだ。俺はただ単に拾っただけ」


 何事もないように淡々と語る。

 これで弟とのポーカーが勝てないのは、滅法駆け引きが弱いからだ。

 兄ちゃん嫌いと言われるぐらいなら、接待麻雀と言われた方がまし。

 

 それとそのあだ名止めようね。

 ウツボカツラの新種みたいでとてもナンセンス。


「ずぶ濡れなのに?」

「ああ、そうだ」

「……そうか。分かった。そういうことにしておく」

「助かる」


 属性を測る玉は白に戻ってない。

 光属性を完全に失った事を示す。

 自分達が失敗したと認識したからだな。

 

「それより、このメールあんたが出したの?」

「ん?」


『お前の親友が川で溺れている』


 スマホには御丁寧に現在地も載っていた。

 こんな事をしたのは誰だ?

 もしかしてこれも一条 サラサの仕業か。

 あの子狸なら十分有り得る。

 

「いや、知らない」

「だよね。教えてないのに送ってきたら普通にキモいし」

「……だな」


 キモい言うなし。


「――」


 ん? なんだ、また視線を感じる。

 でも、一条は向こうで動けずガリバーになっている。

 これはどういうことだ?

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