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試験


「理由があるのだろ?」

「お悩み相談室サイトに迷惑書き込みする輩みたく、ただのストレス発散かもしれない」

「桂ちゃんは良い奴だ。人の好意を弄んで喜ぶことなんてしない!」

「買い被りすぎだ。俺は半年前、お前をガン泣きさせた奴だぞ」


 正式名称は『桂 勘太郎、邪気眼覚醒事変』だ。


 授業中突如発症した重度の中二病で、桂 勘太郎は凶暴化して学校中暴れ回ったのだ。

 実際は予言者が魔王の記憶をダウンロードした影響で、一時的に魔王ガンナム・レイドラームになっていたのが要因だが……。

 

 止めに入った一条の心を折って、結果的に光属性を消す事に成功したが、お陰さまで1ヶ月の停学処分と、絶賛学園一の嫌われ者さ。

 仲良し四人組のメンバー仲介で謝罪したが、今でも俺の中にはしこりが残っている。

 それ以来、一条は俺の事をちゃん付けで呼んでいるが接点はなかったので、仲良しのカテゴリーには入らない。


「全て敵に回しても、僕だけは桂ちゃんの味方になりたい」

「信用できない」


 あれだけ傷付けた俺に肩入れしても、何もメリットが無いだろう? 

 それよりアンチ桂を掲げたらジャンヌダルクとして祭り上げられたのではなかろうか。


「じゃ、どうすれば信用してくれるのさ?」

「だから別に……」

 

 初っ端で言い淀む。

 待てよ。

 もうここまでバレているのだから、別に隠さなくても良いのでは? 

 それに諦めさせる為にも、一度勇者討伐を自らの手で経験させた方がいい。

 浅はかな考えだと重々承知の助だ。

 

「じゃあ、これから川で対象が偶然流れてきた猫を助ける事になっている。その善意を挫きたい。出来るか?」

「何だそれは?」


 一条は腕を組み首を傾げる。

 マンガならクエスチョンマークのエフェクトが欲しい所だ。

 まあ、そうなるわな。


 それと、光属性の事は伏せておくことにした。

 別に光を消したからといっても悪人になる訳じゃない。

 中には一条みたく性格が豹変する奴もいるが害はない筈。

 それに話したところで理解できないだろう。


 フリーズにしか見えない暫しの熟考後、一条は昭和の変身ヒーロー並のオーバーアクションしながら、「成る程、僕を試すのか? 良いだろう、誰にものを言っている。もう既に数パターンの戦略を構築済みさ」そう言い放ってウインク。


 勝手に解釈してくれるのは有りがたいが、それは流石に風呂敷広げすぎだろう。

 幾ら戦略に長けていても、立案するのと実行するのでは訳が違う。

 じゃなければ何時の世も文官と武官が対立なんて無いはずだ。


「それと、どうしてそんな未来を知っているかは悪いが聞かないでくれ。良い答えを提示する自信がない」

「オッケー。まぁ、大体の見当はついている。異世界関係だろ? だが、ここは信用してくれたバディの顔を立てて余計な事は言うまいて」


 あながち間違ってはいないが、虚無と真実、異世界のニュアンスがズレている。

 でも、こっちも余計なことは言わない。

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