なんてこった
「お前は誰だ?」
「これは心外な。僕の名前は一条 サラサ、同じクラスメートだよ。今から痴呆は早すぎるぞ」
「1は万物の始まり、1は唯一無二の存在、1は数字の出発点、それがこの世界で僕という個体を表す――」
「それはもう良いから」
埒が明かないので酷くなる前に拒絶した。
出席番号一番。
良いところのお嬢様。
品行方正、頭脳明晰、一騎当千、縦横無尽、誉め言葉の四字熟語をだしたら切りがない。
だがな、
「そんな事を聞いていんじゃない。一体何者なんだ?」
「くくっ、僕はラスボスさ。この世界に最期を与える者。この世界の魔王よ」
今度は広げた掌の間からこっちを覗き、お約束の魔王ぽいというか邪気眼ぽいポーズを決める。
それにしても、こいつ自分に陶酔しているだけか?
それとも真実なのか?
認識可能なのは、眼前に写った姿は重度の中二病患者という事実だけ。
一条は元々感受性が高い赤毛のアンの転生体みたいな奴だからな。
「さあ、問おう。僕と契約する気になったか? 異世界の魔王ガンナム・レイドラームよ」
大袈裟にマントをたなびかせた。
なので普段拝むことが不可能な領域、つまり一条の制服全容が明らかになる。
と言っても上は赤一色、スカートはチェックの標準装備だから面白くも何ともないけど。
胸がホライゾンだと再確認した程度だ。
ただ、ボタンが目立たぬ金のどくろマークなのが残念な自己主張。
「おいおい一条さんや、色々とはしょるなや。話が見えない」
「これだけヒントを挙げているのにまだ気づかないのか? 魔王なら、魔王なら――、何だっけ?」
おもむろにカンペと思わしき謎メモ帳をポケットから取りだし覗き見たロリ銀髪は、「おお! そうだった」喜びそうになるも己のメンツ上、口角が広がるのを堪えている。
それよりカンペに『ぐりもわぁる』とマジックで書かれていてとてもシュールだった。
「これだけヒントを挙げているにまだ気づかないのか? 魔王ならアカシックレコードにアクセスが可能であろうに」
「出来るかよ!」
思わず突っ込んでしました。
それ何処の魔王?
っていうか、これってテイク2。
「そんな筈は―― はっ! まさか不可視境界線いや、平行世界の影響か?」
「はいはい、お願いだから俺を中二仲間のカテゴリーに入れないで欲しいのですが。それといちいちポーズをとるな」
「くくっ、世界からはみ出した者よ。虚勢を張るな」
張ってません。
一時、予言者のせいでモロはみ出しちゃったけど。
そのお陰でヤバい奴の光属性を摘んでしまったようだ。
すっかり闇落ちして今にも世界を滅ぼさん勢いだ。
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