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本心


「勘太郎、私の事はどう思っているの?」

「んー? 幼馴染み」

「他には?」

「うるさい奴」

「他には?」

「姉ちゃん」

「……他、には?」


 目が真剣だ。

 マムはここで白黒つけろと仰せなのか。

 どうやら、この前贈ったプレゼントだけでは上手く気持ちが伝わらなかったらしい。


 ならば折角の御膳立てだ、俺の本心を打ち明ける事にしよう。


「改めて言うが、あの時、凛子を振ったのは演技だ。勇者王を復活を阻止する為だったからな。だがな、付き合うつもりもないんだ。そこまでの覚悟と自覚がまだ俺に備わっていない。女側から告白させておいて酷い事を言っているのは自覚しているが、お試し感覚でほいほいと恋人になるのは間違っている。自分勝手なのは重々承知しているが敢えて言う。これが今の素直な気持ちなんだ」

「じゃ、私の事、嫌いじゃないんだね?」

「ああ。逆に何でお前を嫌うんだ? 幼少の頃からガキ大将だったが面倒見が良くて散々助けてもらっていたのに。生涯感謝こそすれど毛嫌いする要素が見当たらない」

「そう。そうか、そうなんだ♪」

 

 あれれ、何でふったのに喜んでいるんだ?

 正直に言い過ぎたか。


「勘太郎、私は諦めが悪いのよ。覚悟してね。はいこれ海苔弁の代わり」

「これは……」


『時は今、あめが下しる、五月かな』


「………………」


 ヘビー過ぎて絶句。

 渡されたおにぎりに明智光秀の連歌が張り付いていた……海苔で。

 そのどや顔止めて。

 芸が細かくて食べにくいというか、相変わらず色々と重かった……。


「負けないよサラサ!」

「応さ、正々堂々と勝負なのだぞ!」


 通じ合っている姉枠と弟枠、何故か女同士でガッチリ握手した。

 

「桂さん、意外と律儀」

「凛子、大切にされてるなぁ。あーしだったらもう、その場でチュウだし! チュー!」


 と、香月はふざけ半分に小泉の頬に無理矢理接吻しようとするも、「はいはい」表情変えずにクールにガードされる。


 何を言っているんだ?

 凛子が本気で俺の事を好きなわけ無いだろうに。

 思考は重いがとても良い女だ。

 なので、こんな冴えない男に思いを寄せているなんて、不釣り合いどころか有り得ない事象。

 LOVEに対して免疫の無い俺でもその位は分かる。

 母性本能が強いから友情と愛情を勘違いしているだけだ。

 近い内、本当の恋に出会うだろうよ。

 その時は弟分として笑顔で送り出してやろうじゃないか。

 うんうん。

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