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慕い慕われ


「こらサラサ、お行儀が悪いからおにぎり食べてからにしなさい。それと勘太郎、顔汚いよ」

「「はい、マム」」


 周囲に迷惑しか掛けないイタズラデュオは綺麗にユニゾン。

 指摘された一条ハムスターは愛らしい仕草でもくもくと口に入れる。

 

 補足。

 汚いのは面と向かれ熱弁されたお陰でご飯粒ガトリングが毎朝入念の洗顔を欠かさない顔面を汚染されたせいなのと、こいつらに崇高な行為が全部バレたのは、この合法幼女の口がフェザー級なのが主な原因。

 よって誤解されると甚だ迷惑なのでここに付け加えておこう。


 ウエットティッシュで顔面を入念に拭く。

 その際、魔が差した訳じゃないが然り気無く最後の一粒つまんで口に入れると、「へー、ご飯粒食べる程、最近サラサと仲が良いんだね」幼馴染みがニコニコと普段ならあり得ない位のスマイルで俺の心臓を鷲掴み。

 冷や汗と共に脳内で夏祭りの悪夢が甦った。

 自然に行ったつもりがかなり目敏い。

 お前は忍者か家政婦か?


「良く見ているな」

「まあね」

「程かどうかは分からないが、頼りにはしている」

「ふふーん、運命共同体、生まれた時は違えども逝く時は一緒なのだぞ」


 定規で測っても計測が難しいであろう無い胸を張り自慢する一条。

 どちらかというとストーカーレベルで付き纏われている感はあるが……。

 それと何の漫画から引用しているかは知らんが、正式の桃園の誓いで使用したセリフはもっと長いかった。


「ふーん、本当は嬉しいのでしょう? この子可愛いもんね」

「桂ちゃんそうなのか?」

「弟みたいなものだ」

「ぶう、また、僕を弟扱いするぅ」


 一条は不満なのか両頬が紙風船。

 最大限のフォローのつもりが中々伝わらない。


「サラサ、それって最大の信頼って意味だよ」

「そうなの?」

「勘太郎は弟溺愛しているから基準が弟からなのよ」

「確かに普段の言動から推測すると、そういう嫌いはあるのだ。――ということは桂ちゃんの中では、もう僕はお嫁さんなのでは……」

「違うからな」


 凛子にナイスカバーと言い掛けたが、何でも恋に繋げる年頃の恋愛脳を甘く見ていた。

 一条の事は信頼しているが恋愛とはまた違う。

 男と女に友情があるなら同士の友と朋友が適している気がした。

 

 それよりもだ、お互い知り尽くしている幼馴染みはやりにくい。

 あちらを立てればこちらが立たず、こちらを立てればあちらが立たず。

 分かっててからかってる様はイタズラ猫だ。

 こいつは何が言いたい?


「ぬぐぅぅ! 勘ちゃんぬっ殺すぅぅ!」

「ああああ! 俺の海苔弁当!」


 飢えているヴァンデットと化した村重に、俺の海苔弁がどさくさに強奪されて補食されてしまった。

 男の嫉妬は醜いぞ。

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