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それから季節はめぐり秋


◆◇◆◇


 秒針は刻む。

 まるでそれは俺達の駆け抜けた足跡みたいではなかろうか。

 しかしながら、青春と認識するのは毎日を突っ走っている少年少女達にとって時期尚早。

 そんな真っ只中に俺達はいる。

 知的生命体も魔王を入れて二回目だが、達観するには前回生きるのに必死だったので、ようは経験値がかなり足りない。

 なので、墨汁しかなかった寂しい思い出のパレットにパステルカラーの色彩が加わり、格段に豊かになっていく心持ちだ。

 これが勇者王エドウインが旧友へ残してくれた遺産なのかはまだ不明だが、余計なことをしてくれたと悪態をつくものあいつは織り込み済みなのだと思う。


 あの夏祭りのあと、夏休みに突入。

 みな思い思いにロングバケーションを過ごした。

 香月は日本舞踊の修練、小泉はコスプレイヤーとして同人イベントしながらヒーロー活動、凛子はボランティアとレスリング、それでブルジョアな一条は海外で世界遺産巡り。


 そんな中、俺は今年も一人で図書館……は出入り禁止なので、弟と借りてきた特撮ヒーローをコンプリートする予定だったが、仲直りした友達いない久保田 村重も加わり、毎日ヒーロー論争に発展。

 休み前半戦は野郎とマイエンジェルと俺で過ぎていった。

 村重は毎日顔を出す幼馴染みに色めき立つも、俺は自由恋愛主義なので関わらずにいたら、哀れ、夏祭りの厄災バーサーカーモードでまた絞め落とされる。


 後半戦は勇者王阻止イベントと海水浴場の水着イベントが同時発生。

 また凛子達を巻き込んで大騒動になったが、そのエピソードを語るのは別の時だ。


 何故なら今日から新学期が始まる。

 暦的には秋だが暑かった。

 

 二学期初日は体育館で校長のエターナルなお経より長いありがたい演説を聞き、何度歌っても覚えられない校歌を熱唱するという全国共通学校伝統行事で幕を開ける。

 教室のホームルームでオカマ先生から大して重要じゃない重要事項を適当に聞き流し、初日なので午前で放課後と相成った。


 普段ならマイブラザーと再会したくて速攻で帰宅するのだが、俺は一条と待ち合わせしていたので魔王城カッコ仮またの名を屋上へと足を運ぶ。


 そういえば唐突だが、夏は子供を大人へと変えるという伝説があった。


 久しぶりの教室でもイメチェンしたクラスメイトをチラホラ見かける。

 その一人であり注目株、ギャルから元ギャルにクラスチェンジした日本舞踊の家元の孫は、後継者になるべく黒髪に戻し装飾品一切外した。

 そんな香月が、タッパから取り出したサンドイッチをチマチマと食べながら、


「あーし、また筋肉ついたんだよねぇ」

「まどか、その内腹筋割れるのでは?」

「うー、嫌なこと言わないで」


 だが、方言の如く身についているギャル語を治すのはまだ時期尚早だろう。

 対して対面して座っているコスプレイヤーもメガネを外してコンタクトに変えた。

 だが、元々整った顔立ちなので注目度がアップ。

 後悔しているようだ。

 そんな小泉はカロリーを気にしているのか、水酸化物を避け野菜スティックをカリカリ噛っている。

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