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真面目ちゃんの意外な一面


「まんまと騙されたってか」

「円谷さんの頼みじゃなかったら誰がこんな手の込んだイタズラやるか、ボケ」

「お前もグルか?」 

「ああ」


 凛子の絞め技が効いているのか、久保田は痛みをこらえながら立ち上がった。


「演技に見えなかったぞ」

「さもありなん。久保田君は演技下手そうなので本気で凛子が絞め落としたのだ」

「体張ってるなぁ」

「てめえにやられっぱなしなのがしゃくだったんだよ」


 久保田の動機からして察しがついたが、それでも聞かずにはいられない、「お前ら、揃いも揃って一体全体何のつもりだ?」日頃の行いが悪い俺が言うのも盗人猛々しいが、こんな嬉しくもないサプライズ誰得なのだろうかと、極度の心労から解放されて正常のリズムに戻った心臓へねぎらうように手を添えた。


「勘太郎、怒った?」 

「いや、騙されていたから驚きの方が強い。こいつは当分トラウマになりそうだ」


 しかし、不思議と怒りはない。

 そりゃそうだ、今まで散々皆を巻き込んでどの面が言っているってもんだ。

 なにより無事だったのが確認できて悪夢から目覚めた心持ち。

 

「疑い深い桂ちゃんを騙すにはここまでしないと効果がないと思ったんだよね」

「それより、一条がプロデュースしたのは言わずと分かるが、よく真面目ちゃんの凛子がこんなワルノリに参加したよな?」


 協力でなく参加って言うのがミソ。

 何故ならこの劇のメインヒロインだからだ。

 大方、後二人の親友達が収拾がつかなくなってその妥協案というのが妥当な線。


「やられっぱなしなのが性に合わないのは勘太郎が一番知っている筈だけど?」

「あーし達は止めたんだけど凛子は負けず嫌いだからなぁ」

「私的には凛子さんの新たな一面みれてラッキーだったけど」


 凛子は血みどろ改めてイチゴシロップタップリの浴衣を脱ぎ捨てると、中から明智光秀の家紋である桔梗紋が所狭しとプリントされてある浴衣が姿を現した。


「普段拝む事も出来ない面白い顔一杯みれたし、これで今までの事をチャラにしてあげるよ。私のか・ん・た・ろ・う♪」

「………………あー読み間違えたわ」


 前言撤回。

 こいつが主犯だ。

 最近鳴りを潜めていたキラキラと輝いている悪戯っ子のおめめが物語っている。

 信じられないだろうが凛子が男の子だと思っていた時代、イタズラで近隣の子供達から恐れられていたのだ。

 ハリウッドで良く登場するうざいライバルキャラ、それがガキ大将だった頃の凛子。

 


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