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勘太郎騙される


「……………………迫真の演技だと僕的には評価しているんだけど」

「突っ伏している時点で、お前の下手な演技を隠す為だとまるわかりだっつうの。たわけ」

「桂ちゃんのおたんこなす! 折角のシナリオが台無しだよん」


 ゾンビっぽくムクッと立ち上がった相棒は、悪びれもなく悪態をつく。

 

「馬鹿め。大体、めっさ責任感の強い凛子は催眠術に掛かろうが、マインドコントロール化にあろうが、こんなとちくるった事する訳がないんだよ」

「一理ある。ってかもうロボだよねぇ」


 最初は魔法でも掛けられていると疑ったが、こいつの精神力は尋常じゃないからあり得ないのだ。


「信用してくれてて嬉しいけど、勘太郎めちゃくちゃ動揺していたよね?」

「知らん」


 流石は付き合いが長いだけあって鋭いところをついてくる凛子。

 気付いたのが今し方とは言うまい。

 墓場まで持っていこう。


 贈り物が気に入ったのか普段の仏頂面は影を潜めご機嫌スマイルを向けてきた。


 対して俺は事件の発端になった地面に放置してある殺人未遂の凶器を回収。

 勿論この包丁はオモチャだった。

 激しい立ち回りだったので銀紙が所々剥がれ、プラスチックがむき出しになっている。


「輪投げの残念賞。ナイフか包丁だったんだよ」

「ここで一条との電話の内容が繋がるって事か?」

「yes! わざとキーワードを言うことによって、凛子が発狂したと勘違いするように誘導したのだ」 

「疑わないように事前に固定概念を植え付けておいたって訳か」


 相変わらず小賢しい事をする子狸だ。

 だが、この腐っても元魔王を詐称したんだ、これだけではあるまいて。

 

「ばかつら、ドヤ顔うざ」 

「香月も共犯か?」

「御名答」 


 今まで姿を消していた紅葉ヶ丘の舞姫が舞い戻っていた。

 手には何処で手に入れたのか、数枚の交通止めのプレートを抱えている。

 人が全然通らなかったのは大方、香月が足止めしていたからだ。


「あーあ、桂さんには一杯食わしてやりたかったのだけどね」


 口調が変わった早乙女は地毛だと思っていたウイックを帽子を取るように無造作に脱ぎ捨てる。

 すると中から何処かで見たことがあるボリューム感タップリの三編みが姿を現した。


「お前小泉か?」

「正解。地味子なのは変わらないけど」


 流石に俺でも度肝を抜かれた。

 小泉はトレードマークの赤いフレームメガネを装着。

 

「――でも、ちょっとまて、なら早乙女は何処に行った?」

「早乙女さんは元々いないよ。桂ちゃんをハメる為に用意した架空の人物なのだ」

「おいおい、まさか事前に俺達が早乙女を尾行していたのも、本物だと信じこませるお芝居だったって事か?」

「架空の生徒手帳偽造するの大変だったんだよ」


 現役コスプレイヤーの手のこみまくった演技に俺はあんぐりした。

 ここまでやるか?

 ここはハリウッドか?

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