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ザ・ブラウン  作者: 古口 梅影
3/3

緑茶

「お嬢様・・・」


「京花?あれ、私どうして寝てたんだろう?」


 Red Blue Skyを飲んでからしばらく寝込んでいたお嬢。

 京花は紅印から戻ってきていた。


「お紅茶を飲んでシフォンケーキを食べていたと思うんだけど」


「ああ、お嬢様がお口にしていなかったので私が食べてしまいました」


「え!?どういうこと?私のシフォンケーキとお紅茶はあなたが食べた!?」


「お嬢様、お昼寝をなさっていた時、夢を見ませんでしたか?」


「え?あ、そうね、悪夢を見たわ」


「当てて見せましょうか?」


「そうねいいわ、じゃあ当てられたら何か一つお願いを聞いてあげるわ!凄い夢だったから

 おバカな京花じゃ当てられないかもね」


「お紅茶を飲んでいたお嬢様に誰かが紅茶の品切れをつげ別のお茶をお勧めします。

 それは緑茶、コーヒー、紅印の新商品。

 そしてお嬢様はどれも冷たいじゃないと文句を言うものの、紅印の新商品が気になり

 手を付けます。それが毒薬のような飲み物で倒れてしまうのです。

 そしてお嬢様は紅茶を求めますが残念ながら品切れで、仕方なく何か別の飲み物を飲んで

 それから起きたでしょう」


 一呼吸で言い上げた京花、ほんの少し口角が上がった。ちょっと嬉しそう。


「・・・違うわ」


「お嬢様嘘はいけません。この私、茶の間の番人こと京花、

 茶の間の茶番なら見てなくても分かります」


「・・・番人なのに見てなかったり茶番だの茶の間だの分けわかんないわよ茶番の京花。

 まあいいわ、とりあえず京花、お紅茶お願い。紅印の黄昏茶よ」


「お嬢様、クソベンチャーの茶の間で作られた紅茶は品切れでございます」


「夢の話はいいわよ。てか茶色好きね」


「本当でございます。タソティーは今後一切手に入りません」


 眠たげだったお嬢の目が据わる。


「嘘よ、ちょっとまって紅さんに貰いに行ってくるわ・・・」


 行く手を阻む京花。

 ゆっくりとお嬢の視線が京花の顔に向けられる。


「ちょっと・・・どきなさいよ」


「お願いを聞いてくれると仰ってましたよね」


「そうね、でも今はお紅茶が先よ!」


 なおも行く手を阻む京花。

 再びゆっくりとお嬢の視線が京花の顔に向けられる。

 とても目が据わっている。


「邪魔よ!あなたこの紅勢力に仇を成す別勢力ね!」


「お嬢様・・・」


「さては緑勢力って所かしら?あなた緑茶好きだものね」


「私のお願いは・・・」


「私達紅派は負けないわ。たとえ困難があっても何をしてでも乗り越えるんだから」


「お嬢様に緑勢力に加わってもらいます。お飲み物はこれから緑茶のみです」


 京花の隙を伺っていたお嬢は一変、すっと体の力が抜け、

 張っていた肩は落ち、お嬢は間抜けな顔をしてしまっている。


「え?」


「ではお嬢様、こちらに緑茶をご用意いたしましたのでどうぞ。

 お茶菓子は抹茶餅です」


「け、京花?嘘よね?私紅茶中毒よ」


 自らを中毒者と言うお嬢。自分でも認めている。


「お嬢様は今日から緑茶中毒者になってもらいます。

 紅い毒素はきれいさっぱり抜き去ります。

 これからの時代は緑ですGreen Age!」


 京花のよく分からないセリフに困惑しながらも、気の抜けたせいかどこか体が

 怠くなってきたお嬢は諦めの表情を浮かべている。


「ホント、何言っているの?

 まあいいわ。何だか私少し調子悪いみたいだし、今日のところはこのお茶で我慢するわ」


 かくして元緑茶の国のお嬢様をオールグリーンにすべく、

 陰で暗躍を始めるお目付け役もとい従者京花。

 この赤い海が緑色になることはあるのか。彼女なら可能なのか。

 お嬢様は緑茶に、京花は弱肉強食の血なまぐさいレッドオーシャンに足を踏み入れた?


 (そう、私がかつてのお嬢様を取り戻す)


「そういえば京花、お湯と白湯の違いって分かるかしら?」


「しょっぱいかどうか、じゃないですか?」


「え!?白湯ってしょっぱいの?知らなかったわ」


「白湯ですよね?白湯スープ」


「スープ?あなたサユとパイタン間違えてない?」


「そうですね」


「ちょっと!なんでそんな冷たいのよ!」


「お嬢様程じゃありませんよ」


「なによ!紅茶切らした分際で!というか私は温かい事ばかり話しているわ!

 サユもパイタンスープも温かいわ!」


「お嬢様は冷えた緑茶ですよ」


(今はまだ冷たい緑茶ですが、きっとまた沸騰します。

 温かい緑茶になって、忘れてしまった熱き心を取り戻すと信じていますから。

 アオイお嬢様)

序章の終わりって感じですが、お終いです。ありがとうございました。

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