第九十三話 消えたリユイ、その後
リユイの捜索後、皆で一旦集まることにカマクラ王の提案によりなった。
「・・・・・」
「・・・・・」
だがリユイが見つからなかったこともあるだろう、暗い空気になっていた。
「取り敢えずお礼を言わせてくれ」
そんななかカマクラ王は喋り始めた。
全員が一斉にカマクラ王を注目する。
「わざわざこんなところまで駆けつけてくれて助かった。リユイ達が抑えてくれていたお陰で国への被害が最小限にすんだ。本当に助かった」
「元々あの兵器が動き出したのはリユイが魔王を殺したせいよ。だから私達が兵器を止めることは当たり前」
「そう・・・・・か」
いつもと少し違った口調のユミが俯いたままそう冷たく言いカマクラ王はそのユミの雰囲気にそれ以上の事を言えなかった。
「・・・・・なあ」
「あ、なんだ?」
英雄がカマクラ王にそっと話かける。
「これ、俺達はもう帰った方がいいんじゃねえか?」
「俺もそう思うんだが」
「・・・・・そうだな。来てくれて助かった、ありがとな」
「ん」
「じゃあな・・・・・おい、行くぞエミー」
エミーと呼ばれた浮いている水晶はゆっくりとアレンへと近寄った。
『腕、どうしたの?』
「え、あ、ああ、これか? えっと・・・・・仲間庇った時に、な」
『そう・・・・・あの、義手つけてみない?』
「え、作ってくれるのか?」
『はい。よかったら』
アレンは水晶をガシッと右手で掴むと何回も頷いた。
「ありがとう!」
『あわわわ。よ、酔っちゃうからやめてえええ』
「あ、す、すまん」
『い、いや、別にいいよ。それじゃあ・・・・・』
「ハア、分かってるよ。おい、ついてこい。エミーの研究所まで連れてってやるから速く来い」
「お、おお」
アレンはちょっと待っててくれと伝えるとユミの所へ行った。
「こんな時に自分勝手ですまない、でも・・・・・」
「いいよ、行ってきて下さい」
「あ、ああ。すまない」
アレンを含めた元反乱軍の者達は立ち去った。
「私達ももう行きますね」
「・・・・・分かった」
ユミ達もその一言で自国へと帰っていった。
「リユイ・・・・・どうしちゃったんだよ」
残されたカマクラ王の独り言は静寂に飲み込まれていた。
「アレンから聞いたわ。サラちゃん、リユイに会ったんでしょ? なんで止めなかったの」
リユイの国へと帰る途中、ユミはサラに聞いた。
「待ってって言いました。でも待ってくれませんでした」
「・・・・・そう」
「・・・・・」
「・・・・・」
「リユイさんは変わってしまったのでしょうか?」
「わからない。でも一つ言えることは」
ユミはサラと目を合わせる。
サラはユミの顔を見て初めて気づいた。
「リユイは私達を捨てたってこと」
本当はユミは心の強い人ではないのだと。
そのうちひしがれた顔を見て。
国に帰ると国民が不安そうな顔でユミ達を迎えた。
「あの・・・・・王さまは・・・・・」
子供達がサラの元へと駆け寄ってきて不安そうな顔で聞いてくる。
恐らく大人達にそう言うように言われたのだろうが本人も気になっている様子だった。
リユイがいかに慕われているかがよく分かる。
「・・・・・」
サラはなんと答えればいいか分からず狼狽えてしまう。
そんなサラを見たユミがすかさずその子供と目線を会わせるようにしゃがんだ。
「後で放送を流すから、それを聞いてね」
「「うん」」
子供達はユミの言葉に頷くと大人達の所へと戻っていった。
「放送って・・・・・?」
「魔法で声を拡散させて国民に聞いてもらおうと思うの。リユイの現状と今私達がやるべき事を」
「そう、ですか」
サラはユミの言葉を聞くと一人城へと戻っていった。
サラの態度に異変を感じたユミは少し不安に思ったが今は自分のことで精一杯だった。
『皆さん聴いて下さい』
普段のような明るい声ではないユミの声が国に響き渡る。
『今回の事件を知っている者も知らない者もいると思いますが・・・・・王リユイは魔王カゲインの所へ行き、そして勝ちました。ですが魔王との戦闘時に心身に深い傷を負ってしまったためしばらく静養することになりました。そこでですね・・・・・』
突然ユミの声が悪戯を考え付いた子供のような声へと変わった。
『リユイが帰ってくる前に凄くこの国を発展させてリユイを驚かせましょう! リユイが居なくたって私達はしっかりとやっていけると言うところを見せつけましょう!』
ユミの悪だくみが国中へと広がった瞬間皆が一斉に静まり返る。
が、次の瞬間国民の顔には悪そうな、でも嬉しそうな笑みが広がっていた。
「ユミ様、今のって・・・・・」
「国民はリユイが姿を見せないことを不安に思っている。だからリユイが帰ってきた時のことをイメージさせることで皆にその不安を最小限に抑えようとおもって・・・・・まずかったかな?」
「きっと国民の皆さんいい感じに笑っています!」
「とってもいいと思うかもなの」
「・・・・・良かった」
ひとまず安心したユミはため息を一つ着くと城の外を眺めた。
その目からは一筋の涙が流れていた。
(何が『リユイが居なくたって私達はしっかりとやっていけると言うところを見せつけましょう』だ)
ユミは目の前の光景に絶望していた。
リユイの配下は皆既に地に伏せていた。
ユミはなけなしの力で何とか立ち上がるもすぐに蹴られまた地面へと転がる。
武器は効かない筈のユミの肌には幾つもの刃物傷ができており絶え間なく血が垂れ流れていた。
起き上がる気力もとうとう無くなったユミは最後の抵抗と言ったように弱弱しく片腕を上げ心映武器である鉤爪を構えた。
だがその鉤爪も敵が降った剣に軽々と弾けれ無残に地面へと打ち付けられる。
「リユイ・・・・・!」
ユミはそう呟くとギュッと目を閉じ、死を覚悟した。




