第九十一話 帝国最終兵器討伐(前編)
リユイは背中に翼を生やすと天高く飛びあがると滞空し、中央カマクラ山を見つめる。
ユミも一部分〈化皮〉を解除することで背中に翼を生し、リユイの隣へと飛び滞空する。
サラとキャシャはキャシャが飼い馴らしていた小型ドラゴンに乗りリユイのところまで飛び滞空。
他の者達も各々飛んでリユイと同じ高さで滞空した。
「・・・・・行くぞ!!」
「「オォォォォォォォォ!!」」
リユイが勢いよく飛び出したのを合図に他のもの達も一斉に中央カマクラ山へと向かって行った。
リユイ達が中央カマクラ山へ到着するとそこには既に中央カマクラ山は無く代わりに600メートルはあろう巨大な翼のないドラゴンのような物がいた。
「これが帝国の最終兵器・・・・・?」
それは兵器とは言い難かった。
何故か?
その兵器は魔獣のような肌に爪や目、鱗までも持っているからだ。
だが所々皮膚が剥がれている場所を見てみると金属の様に光っているので生物ではないことが分かる。
そう言う生物なのかもしれないが。
「これは・・・・・最低だ!!」
突然チビドラが怒りで拳を握り絞める。
「どうした?」
「この兵器、沢山のドラゴンや龍人の体を使って作られているよ!」
「なっ!」
「そんな!」
チビドラの言った衝撃の事実にリユイとユミは驚くも納得する。
見た目があんなにもドラゴンっぽいのはそう言うことかと。
だが同時に怒りがこみあげてくる。
「ユミ、〈化皮〉解いてドラゴンの姿になってあの兵器を引き付けて。ならべくカマクラ国から遠い場所へあの兵器を誘導するんだ」
「分かった」
「あとは僕が――」
自分一人で戦う。
そう言いかけてリユイは思いとどまった。
『もっと、もっと私達に頼ってください』
昔サラに言われた言葉を思い出した。
いつも感情的になり自分一人で突っ走ってしまう自分に仲間を頼るように言ってくれたあの言葉。
リユイは言いかけた言葉を飲み込むと新たに言葉を発した。
「サラはキャシャさんの操作する小型ドラゴンに乗ったまま魔法剣による兵器の腕部分への魔法攻撃。チビドラは軍を率いて僕が合図したら遠くから魔法による一斉攻撃。ヒトミとシズクは兵器の腕部分へ魔法攻撃。ホムラとカエデとアレンは兵器の足部分を物理攻撃で破壊しろ。全員行動開始!!」
「「了解!!」」
リユイは命令をだし終えると兵器へと猛スピードで飛んでいった。
そして兵器ぶつかるように直前にだした刀を兵器の皮膚へと突き刺す。
そしてそのまま突き刺さっている刀を刺したまま兵器の体を駆け回った。
兵器のドラゴンの皮膚は脆くなっていたのもあってかするすると切り裂かれていった。
のだが――
「なっ」
突然兵器の鱗がマシンガンのような形になり大量の魔弾を放ってきた。
まさに魔法を使った銃だった。
リユイは急ぎ兵器から離れる。
だが魔弾はリユイを追尾してくる。
リユイは急いで回避しながら飛び回り魔弾同士がぶつかるよう仕向ける。
(凄い・・・・・ユミと戦った時みたいな感じだ。でもユミよりも鱗の数も球の発射速度も桁違いに違うし、何しろ色々な属性だから厄介だな)
リユイは放たれてくる魔弾を回避しながら空を飛びまた兵器に攻撃できるチャンスをうかがうなかそんなことを考えていた。
(何隙を与えるような・・・・・あ、仲間忘れていた)
「チビドラ、撃てぇぇぇぇ!」
「了解しました~。全員、てー!!」
瞬間、物凄い数の様々な種類や属性の魔法が兵器へと放たれる。
それにより既に剥がれかけていた鱗などが完全に剥がれ内部の金属部分が所々大きく見えるようになってきた。
(いける!)
リユイはそう思いまた兵器へと刀を突き立て切り裂いていく。
だが一拍遅れてまた鱗から連射魔弾が放たれるのですぐに空中へと戻る。
ヒット&アウェー。
リユイはこの方法ならいけると確信した。
その時――
兵器の肩辺りから数台、魔大砲がでてきた。
そして瞬時にチャージを終えると軍へと放ったのだ。
リユイは急ぎその球を魔法では相殺しきれないので刀で相殺しようと飛び急ぐが間に合わない。
ユミが火炎弾を放ったのでいくつかは相殺されたがまだ数段残っていた。
そしてそれが軍へと当たる瞬間――
物凄い勢いで軍と球との間に割り込んできた者により球は相殺された。
その者は大剣を軽く振り回すと龍人の一人を踏み台にすると兵器へと跳びかかった。
「・・・・クロードさん!」
「リユイ、か。先ほどと変わったな」
「砲撃開始!」
クロードが言い終えた瞬間その誰かの声を合図に兵器へと物凄い威力の大きな魔弾が数発放たれた。
兵器の背中の鱗が沢山吹き飛ぶ。
リユイは振り向くとそこにはカマクラ王率いる魔法大砲を操るカマクラ兵士達がいた。
「カマクラ王!」
「お、リユイ。協力してこいつを倒すぞ。お前たちはこいつの前面をやれ。俺達は背面をやるから」
「分かった。任せて」
「因みにだがあとから昔の元反乱軍なかまが来るから」
「なかま?」
リユイは誰だろうと思いながらも兵器へと目を戻すとクロードが大剣の一部を外し、剣を右手に、一部分ない大剣を左手に持つと大剣で魔弾を、剣で鱗を剥がしていた。
(す、すごい)
自分には思いつきもしなかった技術をクロードは一瞬で考えつき実行に移す姿にリユイは呆気にとられ思わず見入ってしまう。
だがそれを見ているうちにリユイもなんとなくだがやり方を覚えた。
リユイは右手に新たに小太刀を出現させた。
右手には小太刀、左手には刀。
二刀流だった。
リユイは右手の小太刀で超高速の連続して全方向から放たれる魔弾を相殺し、右手の刀で鱗を剥がしていった。
兵器の鱗はクロードとリユイによる鱗剥がしによりみるみる無くなってい金属部分が増えていった。
兵器は前からはリユイとクロードの二刀流による鱗剥がしに時々リユイ軍による一斉魔法発射、足はホムラとカエデとアレンによる物理攻撃による鱗剥がし、後ろからはカマクラ軍による魔法大砲による砲撃により完全に追い詰められていた。
そしてほとんど鱗が無くなったその時――
「なっ!」
「どうなってんだ?」
「やばいやばい」
皆がざわめき出した。
何故か?
兵器が巨大な翼を背中から出し、そして背中やら足などからジョットエンジンのような物を出し空へと飛び始めたからだ。
リユイはすぐさま近寄ろうと飛んでいくが兵器が翼をはためかす風圧やエンジンの熱で近寄れなかった。
クロードもまた兵器に掴まっていられず仕方なく地面へと降りた。
すると兵器は大きく口を開けカマクラ国の方へと向いた。
そして何やら周辺の魔素を大量に口の中に集め出した。
「リユイ、あれはマズイ! あの攻撃は核ぐらいの威力がある、急いでやめさせないと!」
「クッ、どうすれば・・・・・」
「リユイさん!」
近寄ることも出来ずただ空へと飛んでいく兵器を眺めていたリユイの所にキャシャが操縦している小型ドラゴンに乗ったサラが来た。
「受け取ってください! これで前みたいに!」
サラから投げられたものをリユイがキャッチする。
リユイは指を広げていき受け取ったものを確認するとそれはかつての指輪だった。
「ナイスだ、サラ!」
リユイは人差し指に指輪をはめると兵器の上へと開いた手を向けた。
サラも同じように開いた手を兵器の上へと向ける。
そしてお互いがお互いの魔力を感じ取った瞬間、巨大な魔法陣が兵器の上空へと浮かび上がった。
そしてその巨大な魔法陣から大量の聖なる矢が兵器へと放たれる。
大量の聖なる矢を浴びた兵器は少し高度を落としたがなお耐えて空を飛んでいる。
だが流石にチャージはやめ空を舞うのみになっていた。
だが流石にこれでは倒しきれない。
そう考えたリユイは思考をめぐらすがいい考えは浮かばなかった。




