第八十九話 カゲインの過去(7)
(うわー)
リユイはカゲインにやられて地面につっぷするリユイを見て思わずそう思う。
カゲインは振り返りユミの方へと向かってきた。
が、
「グアアアアアアアア」
突然の背後からの唸り声にカゲインは驚き、反射的に闇魔法の闇弾を撃ち込んだ。
黒く禍々しい球体の形をする闇の魔法弾はいつの間にか立ち上がったリユイへと向かって行く。
瞬間リユイの魔気が青く光り、手に持っていた刀を一振りし闇の魔法弾を斬撃で相殺した。
(え? こんなの・・・・・知らない)
《恐らくこれが二人目でしょう》
カゲインは不適に笑う。
リユイはカゲインに向かって出鱈目に斬りこんでいった。
カゲインはリユイの猛攻に攻撃を返すことができなくなっている。
リユイの持っている武器は様々に形を変えカゲインを追いかけていく。
「ぎやああああああ」
カゲインは魔法やカウンターをする暇も無くひたすら回避に専念する。
だが突然カゲインは〈影転移〉を使い奴の背後の影へと転移する。
今度は確実に殺せるように〈影移動〉をしてリユイの背後に転移した瞬間、心臓を貫こうと突きの体制をとる、が二人の目があう。
カゲインは驚くも突きを繰り出す。
だがカゲインの短剣は右手に刺さった。
リユイは右の掌で受け止めた短剣の刃をそのまま指でつかむと自分の心映武器を刀にしリユイを斬りつける。
カゲインは急ぎバックステップしようとしたがリユイはいっそう強くカゲインの短剣の刃を掴み、それどころか自分の方へと引き寄せた。
「シャアアアア」
瞬間、カゲインの右目にリユイの刀が突き刺さる。
驚いた。
カゲインは右目から流れる血を触り左目で見てみると手がベッタリと赤く染まっていることに驚く。
「ぐわっ」
カゲインはそのまま連撃を放ってこようとするリユイの斬撃を闇の魔法弾が当たる衝撃で吹き飛ばす。
直ぐ様近寄り、立ち上がろうとするリユイを切り刻もうとした。
その時、普通の人間とは違うオーラを放つ聖騎士が短剣をはじいた。
(あれは・・・・・ライトさん!)
「お前、何者だ?」
「俺は東アカレフ聖国のファースト兵、ライトだ」
目の前の聖騎士はそう言うとリユイを抱え始めた。
カゲインは急いで攻撃するがライトは軽く剣を振り、流す。
カゲインはリユイを背負って逃げて行くライトを眺めながら突っ立っていた。
「ユミ」
「は」
木の陰に隠れていたユミが瞬時にカゲインの前に跪く。
「あいつを見張っていろ。機会があれば殺せ」
「了解」
「あ、ちょっと待て」
ユミが立ち上がりライトの後を追おうとするがカゲインに止められる。
「はい?」
「中央カマクラ山の西側にたしか三種族の魔人国があったよな?」
「はい」
「ではその三種族に戦争をさせろ」
「・・・・・了解」
今度こそユミはライトを追った。
すると今度はルシファーが木の影から出てきて跪いた。
「カゲイン様、東聖国のクリスタルの破壊を確認しました」
「よくやった。次の任務だ。リユイとユミを監視しろ」
「ユミもですか?」
「ああ」
「了解しました」
「カゲイン様」
魔王城の魔王の間で座るカゲインにサラは跪き報告する。
「リユイの暗殺を完了しました」
「・・・・・!」
カゲインは驚きのあまり絶句する。
だがすぐに落ち着くと少し声を震わせながら喋りだした。
「そう・・・・・か。よくやった。それではリユイに関わった者を全員殺しておいてくれ」
「了解した」
「リユイにユミの心操魔動機械が破壊されました」
「リユイは・・・・・死んだんじゃなかったのか?」
「生き返ったようです」
「は?」
ルシファーの報告にカゲインは驚く。
そして額には汗が流れた。
「そう、か。分かった。やはりリユイは俺が殺す。それまでにリユイの精神をズタズタにしておけ」
「了解しました」
「報告します。リユイは魔物の森にある龍人城とその周辺に国を建設するようです」
「ご苦労。カゲイン、ツミ、バツ。今回は先に龍人城に先回りしてリユイと戦いリユイの戦闘能力を調べてこい」
「「「了解しました」」」
「か、カゲイン様、報告します」
カゲインの目の前には今にも死にそうなルシファーが双子に支えられなんとか喋っていた。
「後ででいいから今は休め」
「は・・・・・はい」
「ツミ、バツ」
「「はい」」
「リユイの国に宣戦布告してこい。どうせなら民の数人でも殺してリユイを怒らせろ」
「「分かった」」
「フフ、フハハハハハハ」
突然高笑いを魔王カゲインがしだす。
「カゲイン!」
リユイは持っている刀を強く握りしめカゲインを見つけた。
(さっきの僕だ・・・・・)
カゲインは更に笑いの激しさを増し、そして数分間かけやっと落ち着くと話し出した。
「イヤー失敬。あまりにも君が面白かったからつい。久しぶりだな、リユイ」
「お前があの双子に僕の国の民を殺すよう命令したのか」
カゲインは口をにやつかせ頷く。
「そうだ。その方が、お前が俺の宣戦布告に気が乗るだろうと思ってな。現に今、少し早かったが挑発に乗り俺の目の前に君はいるじゃないか!!」
魔王カゲインは立ち上がり、そして両腕を上げながらリユイへと近寄っていく。
「やっと、やっとだ! 君と言う素晴らしい存在とやっと戦うことができる!!」
「貴様ァァァァ!!」
「俺にまた、あの狂気の戦闘を見せてくれないか?」
カゲインの呟くその言葉を聞いた瞬間リユイはカゲインに斬りかかった。
リユイはナイフを四本投げた。
ナイフはカゲインの両腕、両足を壁に縫い付ける。
そんな中カゲインはリユイの遥か後ろを見てとても驚いたような顔をした。
気になったリユイは後ろを振り返り見ると、そこに姫がいた。
姫とグラッドは、今まさにリユイに殺されそうなカゲインは涙を流しながら見ていた。
そして、リユイは刀をカゲインの心臓へと突き刺した。
瞬間カゲインの記憶が崩れていく。
《記憶の再生を終了します》




