第八十八話 カゲインの過去(6)
場面は変わりカゲインは魔王城の中にいた。
「カゲイン! 久しぶり~」
「うわ!!」
椅子に座っていたカゲインの横にいつの間にかに大魔王がいた。
「ビックリした」
「そりゃそうだよ、ビックリしなかったらこっちがビックリだよ」
「で、なにしに来た?」
「相変わらずだね~まあその方が話しやすいけど。今回は危険因子の暗殺だよ」
「危険・・・・・因子?」
「うん。僕と同じ亜人の子だ。後々僕らの脅威となりうる存在。後半年後にこの世界に転生してくるから準備をよろしくね」
(僕のことか・・・・・こいつが、こいつが僕の事を殺せといった・・・・・そしてカゲインはそれに従っただけ・・・・・でも仕方なかったよね)
リユイの中でカゲインを殺したとこへの後悔が生まれようとしていた。
だがそれも自分の民を殺させた事を思い出すと仕方なかったと思いた。
「それでこの子を使ってくれ」
大魔王がその言葉と共に自分の背後にいた顔をフードで、体をマントで隠した者が一歩前へと出て来てカゲインへとその姿をさらす。
「ユミって言うらしい。西聖国からよさそうなのを連れて来た。今はスキルで人間の見た目をしているが大型ドラゴンだ」
「大型ドラゴン!?」
(ユミ・・・・・!? 西聖国から? どういうことだ?)
カゲインはユミを見つめ険しい顔をした。。
カゲインが昔西聖国で修行していたときに部屋にあった本を読んでいた時にあった物語の中で一番印象に残っていたのはドラゴンが魔王を殺す話だった。
それを思い出したカゲインは少し身の危険を感じる。
「ハハハハ、怖がることないよ。・・・・・たぶん」
「お、おい、たぶんって・・・・・」
「まだ心操魔動機械が完璧ではないんだよ。すまないねぇ~。あそうそうこの心操魔動機械何個かあげるね」
カゲインは大魔王から数個小さい機械を手渡しされる。
「なんだよこの機械?」
「これを操りたい人の心映武器に取り付ければ取り付けた人がその人を操れるって言う魔動機械。じゃあ頑張ってね」
そしてまた大魔王は手を振ると消えていった。
「見つけた・・・・・!」
カゲインが今持っている物は水晶だった。
そして水晶の中には既に大きくなったサラが写っていた。
「死んだ・・・・・と思っていたのに」
カゲインは喜びのあまり涙が流れる。
だがその涙を歯を食い縛り止め、そして拭うと顔をしかめた。
今カゲインの目の前にはサラがいた。
ユミのもつスキルにより呼び出したのだ。
カゲインは思わず泣き出しそうになった。
だがそれを必死に堪えると厳しい顔つきになり話し出した。
「お前は私にとっては最悪の存在だ。
人間だった時のことを思い出させる。
だがお前がもう二度と私の前に現れず、あの老人と静かに暮らすと言うならば何もしないでやろう」
サラははいと言うとその場から立ち去った。
その後ユミがカゲイン前に出てくる。
「なんで実の娘にあんな事を言うのですか?」
「本当はこれからずっと一緒にいたかった。でも俺と一緒にいたらサラを悲しませてしまう。これが一番いいんだ・・・・・行ってくれ、そして娘に・・・・・いや、サラに魔法の制御の仕方を教えてあげてくれ。期間は二週間だ」
「・・・・・分かった」
「で、なんでまた居るんだ?」
「え、ビックリ。驚かないなんて」
またしてもいつのまにかにいた大魔王にカゲインは今回は驚かなかった。
「ビックリ、じゃない。用件はなんだ?」
「もう~せっかちだな~。用件は東聖国を陥落させろ、だ。君のお得意な国を滅ぼすことだよ」
「嫌味か?」
「うん!」
「・・・・・」
「・・・・・?」
大魔王は消えていった。
ユミが獣人族に心映武器を取り付けたカゲインが名前をつけてから数日が経った。
「ユミ」
「なんですか?」
「獣人達の力を知りたい。近くの町を襲わせてみろ」
「了解」
「ルシファー」
「は!」
「東聖国の攻略を開始せよ」
「了解しました」
「例の者がこの世界に転生してきました」
透き通ったユミの声はいつもと変わらぬ冷ややかな声でそう言う。
「それでは作戦を決行しろ。半年前から仕掛けていたのだ、絶対に失敗するなよ」
「了解」
魔王カゲインの前にはユミがいた。
「申し訳ございません。失敗しました」
カゲインは少し驚く。が、すぐに表情はにやけた。
「奴は私が直々に戦う。東聖国との戦争を早めるようルシファーに言っておけ」
「了解した。だが本当によろしいのか? その転生者と戦って。逃したら厄介だぞ。何せ奴は一度見たスキルは覚えるのだから」
「なに見えればの話だろう。それに心配するな、殺せばいいだけなのだからな、ユミよ」
カゲインはそう言うと高らかに笑い出した。
「ルシファー」
「は!」
「転生者の戦闘能力を調べてこい」
「畏まりました」
「カゲイン様、東聖国陥落を開始いたしました」
「よし。ユミ、リユイをここまで連れてこい」
「了解した」
カゲインの目の前には魔王の魔気をあび汗を流しているリユイはいた。
その様子を見ているリユイは複雑な気持ちだった。
「お前は?」
「我が名は魔王カゲイン。お前に決闘を挑む」
カゲインは手の甲から心映武器を出現させた。
リユイがソレイに小声でなにかを話している。
そしてリユイは魔王に向き直ると刀を出現させて構える。
「ほう、魔王相手に冷静とは肝が据わっているじゃないか。それでこそおびき寄せた甲斐があると言うものだ。そのガキは返してやるよ」
そう言うとカゲインはソレイに向かって子供を投げる。
何とかソレイは背中で子供を受け止め来た道を引き返していく。
「では始めようじゃないか」
そのカゲインの冷徹な声により死闘が始まった。




